腹膜炎2
前回は、腹膜炎の分類と一次性腹膜炎の治療について見ていきました。今回は、その続き、二次性腹膜炎、三次性腹膜炎について見ていきたいと思います。
二次性腹膜炎
二次性腹膜炎とは、消化管が破れたり、生殖器に存在する微生物が腹腔内に漏れ出たりすることによって起こる腹膜炎です。症状として、腹痛、下痢、腹部の圧痛、筋性防御などの腹膜刺激症状を認めます。二次性腹膜炎を疑った場合には、腹部CTや腹部超音波検査などで感染源、穿孔所見、腹水、膿瘍などの確認を行い、また、腹水を認めた場合には、白血球数のカウントやグラム染色、培養を提出し、治療を開始します。もちろん、血液培養の提出は必須となると思います。推定するべき原因微生物は、それぞれ、患者さんの背景による異なると言われ、以下のようになります。
推定される原因微生物 | |
消化管に関連 (穿孔など) |
腸内細菌科、Entrococcus属、Bacteroides fragilis group、嫌気性菌など |
院内発症の場合 (抗菌薬使用症例) |
耐性傾向の強いグラム陰性桿菌(Enterobacter属、Citrobacter属、 Serratia属、Acinetobacter属、緑膿菌)Enterococcus属、Candida属 などを想定 |
女性生殖器に関連 | 嫌気性菌(B.fragilis group、Prevotella属、嫌気性Streptococci)、 腸内細菌科、streptococci、Neisseria gonorrhoeaeなど |
※グラム陰性桿菌の薬剤感受性は施設によってさまざまであることから、各施設におけるアンチバイオグラムを参考にする必要があります。