腸管感染症1
このシリーズでは、腸管の感染症を見ていきたいと思います。原因としては、細菌、ウイルス、寄生虫など様々ですので、それぞれに対応する判断、治療薬が必要となります。
成人の細菌性腸炎(市中感染)
多くの細菌性腸炎は、口から原因となる細菌が入ることで成立します。主に飲食物を介することがほとんどですが、まれに汚染された手指や環境を介する感染や、性行為によって成立した感染もあり得ます。最も多い飲食物を介する細菌性腸炎は、集団事例の場合には、いわゆる食中毒を称されるものとなります。基本的には、自然に治癒する傾向が強く、抗菌薬が不要であると判断することが多い疾患ですが、その重症度や患者背景(年齢、基礎疾患、海外渡航歴、職業歴など)を加味して、抗菌薬の適応の有無を判断することが必要です。基礎疾患のない若い人に発症することも多いため、初めから抗菌薬投与が適応となるのはまれだと考えます。その中で、抗菌薬投与が必要と判断した場合の治療法を以下に示します。