歯性感染症
さて、今回取り上げるテーマは「歯」。と言っても虫歯を取り挙げるわけではなく、歯周組織炎やその感染が顎にまで波及する顎炎などいわゆる歯性感染症を取り挙げてみたいと思います。
歯性感染症の原因となる主な細菌は、口腔レンサ球菌と口腔内嫌気性菌です。歯槽部に限局した炎症の初期では好気性菌が主体となりますが、炎症の重篤化に伴い嫌気性菌が関与する割合が高くなっていくと言われています。今回は、歯性感染症をその分類別に特徴と治療法を提示していきたいと思います。
1群:歯周組織炎
歯髄感染から起こる根尖性歯周組織炎と辺縁性歯周組織炎(歯槽膿漏)があります。これらが原因となって、歯肉膿瘍、歯槽膿瘍、口蓋膿瘍などを形成することがあります。
第一選択 | |||
アモキシシリン経口 | 1回250㎎ | 1日3~4回 | 3~7日間 |
(上記小児の場合) | 1回10~15mg/kg | 1日3回 | |
クラブラン酸/アモキシシリン経口(§) | 1回AMPCで250㎎ | 1日3~4回 | 3~7日間 |
(上記小児の場合) [1:14]経口製剤(§) |
1回48.2mg/kg | 1日2回 食直前 |
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アジスロマイシン経口 | 1回500㎎ | 1日1回 | 3日間 |
第二選択 | |||
シタフロキサシン経口 | 1回100㎎ | 1日1~2回 | 3~7日間 |
ファロペネム | 1回150~200㎎ | 1日3回 | 3~7日間 |
(上記小児の場合) | 1回5mg/kg | 1日3回 | |
成人でペニシリンアレルギーのある場合 | |||
クリンダマイシン経口(§) | 1回150㎎ | 1日4回 | 3~7日間 |
アジスロマイシン経口 | 1回500㎎ | 1日1回 | 3日間 |
アジスロマイシン徐放製剤 | 1回2g | 1日1回 | |
クラリスロマイシン経口 | 1回200㎎ | 1日2回 | 3~7日間 |
小児でペニシリンアレルギーのある場合 | |||
クラリスロマイシン経口(§) | 1回7.5mg/kg | 1日2回 | 3~7日間 |
アジスロマイシン経口(§) | 1回10mg/kg | 1日1回 | 3日間 |
セファクロル経口 | 1回10~15mg/kg | 1日3回 | 3~7日間 |
§:保険適用外
※小児のペニシリンアレルギーに対してセファクロルなどのセフェム系を用いる場合、ペニシリンアレルギー患児の約15%がセフェム系にもアレルギーを有すると言われているため、注意して用いることが必要である。