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漢方製剤の解説

更新日: 2020年6月24日 河本 ちかこ

「柴胡剤」の一つとしてよく知られる~四逆散~

薬剤師が知っておきたい漢方製剤、前回は激しい咳の症状緩和に 使われる漢方「麦門冬湯」を取り上げましたが、今回は、「四逆散」を取り上げます。ストレスの多い社会になってきていることも伴って、ここ十数年の間に心の病を抱える患者さんは増加してきています。
普通に生活を送ることができるが、なんとなく精神的に不安定という人も加えるとかなりの人数になるのではないでしょうか。
これらの精神疾患がおこってくる背景にはさまざまな原因が考えられ、また複数の要因が入り交じってうまく解きほぐすことが難しく、それによって治療に時間がかかってしまったりすることがあるようです。

参考文献
「漢方294処方 生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「図説 中医学概念」汪先恩著 山吹書店
「中医薬膳学」 辰巳洋著 東洋学術出版

「柴胡剤」の一つとしてよく知られる~四逆散~の画像

精神情緒における気の調整は「肝」に注目

中医学においてはこういった心の病は気の動きの失調から発症することが多いと考えられています。そのため、体の気の流れをよくする漢方を用いることで心の病を治療することが多くみられます。精神情緒における気の調整は肝が関係しています。
肝は体の中で一番血液を豊富に含んでいる臓器で感情のコントロールや血液循環の調節を行い、それにより気の巡りをよくするという重要な役割を持っています。こういった肝の作用を疏泄作用(肝気を上昇、発散させる作用)といい、精神・情緒の安定を維持し、血液の流れを正常に保ち、消化と吸収を促進させているとされております。この疏泄作用が滞ってしまうと精神的安定が保ちにくくなり、心の病を抱えてしまうことになるのです。

柴胡剤は肝の疏泄作用を改善

肝の疏泄作用がうまくいかないことによる心の病を改善するには「柴胡剤(サイコザイ)」というものをつかうことがよくあります。「柴胡剤」とは「柴胡」を含む処方群のことを指していて、よく皆さん聞かれるのは以前にも一度取り上げたことがある「抑肝散(ヨクカンサン)」、そして「加味逍遙散(カミショウヨウサン)」かと思います。今回紹介する「四逆散(シギャクサン)」もその一つで肝に関連する処方になります。

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河本 ちかこ
かわもと ちかこ

薬科大学を卒業後外資系企業にてMR、新製品企画部にて勤務。その後、企業の経営を学ぶべく大学院でMBAを取得する。MBA取得後は医薬品業界の市場分析などを執筆する傍ら薬膳アドバイザー、食育インストラクターなどの資格を取得。健康な体は日々の食事からをモットーに、現在は薬局薬剤師として勤務しながら中医学の見識を深めるために中国人医師のもとで勉学にいそしんでいる。

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