筋肉のこわばりを伴う痛みの万能薬「芍薬甘草湯」の作用とは?
薬剤師が知っておきたい漢方製剤、前回は「大建中湯」について説明しましたが、シリーズ第3回目は「芍薬甘草湯」です。
参考資料
「中医学基礎理論」東洋医学研究会、神戸中医学院
「図説中医学概念」汪先恩著 山吹書店
「体質改善のための薬膳」日本国際薬膳師会 著 辰巳 洋 監修 緑書房
「漢方294処方 生薬解説 の基礎から応用まで」根本幸夫 監修 じほう
こむら返り、筋肉のこわばり、胃痛、腹痛などで使われる「芍薬甘草湯」。その成分は「カンゾウ(甘草)」と「シャクヤク(芍薬)」の2種類だけといたってシンプルで、こむら返りの頓服でも処方されることからわかるように、漢方製剤では珍しく比較的服用後の効果発現までの時間が短く、即効性のある漢方製剤です。また、筋肉のけいれんをともなう痛みなどにはその原因を問わず効果を発揮してくれる、使いやすい漢方製剤といえます。
構成成分である「甘草」は補気薬、「芍薬」は補血薬に分類されます。補気薬とは、気が不足している人に気を補い、また気を流してあげるための漢方薬です。気の上衡、沈滞、うっ滞など、気の運行に障害を生じたときなどに起きる、のぼせや動悸、精神不安、躁鬱、不眠、異常興奮、多夢などの症状を改善します。補気薬である「甘草」は脾胃を養い緊張を緩和させ、体にエネルギーを補充する働きを持ちます。
一方の補血薬は血液不足や血行不良、瘀血によっておこる症状に対して血を補ったり、血の滞りを改善したりすることでその症状を治していく薬になります。この補血薬に属する「芍薬」は肝の機能を高めて血を滋養する働きを持ち、さらに肝の気・熱を鎮める働きも持ち合わせます。
血と気を補いエネルギーを補充し、筋肉のけいれんを抑える
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