NSAIDs副作用のメカニズムを再整理しよう(前編)
内科や整形外科、歯科などの処方、OTCもあり、とても身近な非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。鎮痛・抗炎症作用を持つNSAIDsは、患者のQOL向上に不可欠な薬であり、薬剤師が日々の業務で関わらない日はないでしょう。一方で、安易な漫然投与には多臓器に渡るリスクがあります。
前編では、作用と副作用の根源であるプロスタグランジン(PG)の合成経路と、頻度の高い消化管障害、そして要注意な腎障害について知識を整理していきましょう。
プロスタグランジン(PG)の合成経路とそれぞれの役割を知ろう
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することでプロスタグランジン(PG)の生成を抑制します。では、プロスタグランジン(PG)はどのように作られて、どのような働きをしているものなのかおさらいしておきましょう。
プロスタグランジン(PG)はアラキドン酸から合成されます。その際に中心的な役割を担うのがシクロオキシゲナーゼ(COX)です。1と2の2つのサブタイプがあります。
シクロオキシゲナーゼ(COX)の2つのタイプ
COX-1(構成型):
胃粘膜、腎臓、血小板など、正常な組織に常に発現。生体維持に必要なPGを生成する酵素。
COX-2(誘導型):
通常はほとんど存在せず、炎症や組織損傷により炎症細胞などで急速に誘導される。血管拡張作用などにより炎症を促進するPGを生成する酵素。
シクロオキシゲナーゼ(COX)によって合成されたプロスタグランジン(PG)は、それぞれの臓器で下記のような作用をしています。
プロスタグランジン(PG)の臓器への作用一覧表
| 作用部位 | 関与するPG | 主な作用内容 |
| 血管・血小板 | TXA₂(トロンボキサンA₂) | 血小板凝集を促進させ、血管を収縮させる(止血方向) |
| PGD₂ | 血小板凝集を阻害する(血液サラサラ方向) | |
| PGI₂ | ||
| 消化管(胃・腸) | PGE₂ | 胃粘膜を保護する(胃酸抑制・粘液分泌) |
| PGI₂ | ||
| PGF₂α | 腸管粘膜を保護する | |
| 痛み・発熱 | PGE₂ | 痛みを感じやすくする(発痛増強)、発熱させる |
| 腎臓 | PGI₂ | 輸入細動脈を広げて腎血流量を維持し、Na排泄を促す |
| 子宮 | PGE₂ | 子宮を収縮させる |
| PGF₂α |
NSAIDsの効果と副作用について
NSAIDsの主作用は、炎症部位におけるCOX-2の阻害による炎症・痛み・発熱を鎮めることです。しかし、非選択的NSAIDsはCOX-1も同時に阻害します。それにより生体維持に必要なプロスタグランジン(PG)が減少し、各臓器で副作用が引き起こされてしまいます。