「テープ剤」「パップ剤」の違い〜いまさら聞けない「薬」のキホン
皮膚に貼り、薬の成分を患部に伝える貼付剤には、テープ剤とバップ剤があります。そのふたつの違いは、薬剤に水分を含むかどうかです。それ以外にどんな違いがあり、使い分けられているのかを見ていきましょう。
テープ剤・バップ剤の違いOne Point
テープ剤・パップ剤の違い=粘着力の違いによって使い分ける。
日本薬局方では皮膚に適用する製剤のうち、「テープ剤」は“ほとんど水を含まない基剤を用いる貼付剤”、「パップ剤」は“水を含む基剤を用いる貼付剤”と定義しています1)。パップ剤を貼ったときに少しひんやりするのは、この水分を含むことが影響しています。成分が同じであればどちらの貼付剤でも同等の効果を得られますが、今回は製剤的な観点から、これらの違いをご紹介します。
テープとバップの違いについて
①テープ剤・バップ剤の粘着力の違い
どちらも同じ成分(ケトプロフェン)であるモーラステープとミルタックスパップを比較したところ、明らかに「テープ剤」の方が『粘着力』において高い値を示したという報告があります2)。よって、肘や膝など可動域の大きい部位にはしっかり貼付が可能な「テープ剤」の選択が適しているといえます。
しかし『粘着力』が高いことはメリットになる反面、剥がすときには皮膚に負荷がかかることから皮膚炎を引き起こす可能性があります。よって皮膚が弱い人には、粘着力が弱く肌に優しい「パップ剤」の選択が適していることもあります。
②テープ剤・バップ剤の貼付回数の違い
各々の貼付剤の用法を見ると、以下のように分けられます。