薬の作用機序をマンガで学ぼう~おやすみんのおくすり処方されました~

更新日: 2025年7月17日 おやすみん

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスク

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクのメイン画像 RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像1

処方されたお薬を飲んだ青白さんは、なんと急性腎障害で倒れてしまいました。かかりつけ薬剤師のおくすりさんに相談したところ、青白さんは元々

  • 高血圧の治療薬としてRASI(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)
  • 利尿薬

を処方されていました。さらについていないことにぎっくり腰(急性腰痛症)になり、NSAIDsを追加で処方。その結果、三剤を同時に服用してしまいました。

この「RASI+利尿薬+NSAIDs」の三剤併用は、急性腎障害や慢性腎機能障害のリスクを高めることから「トリプルワーミー」と呼ばれています。では、青白さんの体内ではどのようなメカニズムで腎障害が起きたのか、改めて確認してみましょう。

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像2

別々の薬局で合計三剤処方 

お薬を受け取りに、いつもと違う調剤薬局に行った青白さん。
おうちでお薬を3種類飲みました。

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像3

治療薬の確認でRASIと利尿薬の処方が発覚

処方されたお薬を飲んだ青白さん。なんと急性腎障害で倒れてしまいました。
かかりつけの薬剤師さん「おくすりさん」に相談したところ、青白さんには高血圧の治療薬として、RASI(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)と利尿薬が処方されていたようです。

三剤併用(トリプルワーミー)

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像4

高血圧の治療薬に加えて、ぎっくり腰(急性腰痛症)でNSAIDsを処方された青白さん。
なんとこの三剤を併用すると、腎機能が低下してしまいます。急性腎障害や慢性腎機能障害のリスクが上がります。この三剤併用を「トリプルワーミー」と言います。

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像5

1. 利尿薬が循環血流量を低下 

それではトリプルワーミーはどのようにして起きたのか、詳しく見ていきましょう。

青白さんが倒れる前から遡ること◯日前。
青白さんの心臓は、高血圧によって負担を感じていました。そこで利尿薬が利尿作用によって、循環血流量を減らしてくれました。
これが腎血流量が低下した第一段階です。

RASI+利尿薬+NSAIDs「トリプルワーミー」が引き起こす急性腎障害リスクの画像6

2. RASIが輸出細動脈の収縮を抑制 

また、青白さんにはRASIも処方されています。
アンジオテンシンIIは輸出細動脈を収縮させて、糸球体内圧を上昇させます。RASIはアンジオテンシンIIを阻害することで輸出細動脈の収縮を抑制し、腎血流量がさらに減少しました。
ここまでは平和だったのですが…?

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

おやすみんの画像

おやすみん
おやすみん

かがくイラストレーター。薬学部卒。有機化学の研究室出身。分子や実験器具をキャラクターにした「そるべんつ」をSNSで投稿中。化学版フリー素材のサイト「かがくイラスト」を運営中。

キーワード一覧

薬の作用機序をマンガで学ぼう~おやすみんのおくすり処方されました~

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

がん 医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 病院薬剤師 マンガ 年収・待遇 新薬