同じ40代薬剤師でも年収に差が…その理由と年収をアップする方法
薬剤師として働いていて、経験やスキルは十分なのに、それが年収に反映されていないと感じることはありませんか?
40代になると、持っているスキルやキャリアによって年収にも違いが出てきます。
年収アップのために転職をするべきか、いまの職場に留まるべきか、迷いが生じるかもしれません。
ここでは、40代薬剤師の平均年収と、いまより年収をアップさせる方法について解説します。
40代薬剤師の平均年収
40代薬剤師の平均年収はどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータに基づいて年代別の薬剤師の平均年収を算出したところ、下のような結果となりました。
(表1)
年代 | 男女計 | 男 | 女 |
20~29歳 | 423万円 | 454万円 | 407万円 |
30~39歳 | 586万円 | 627万円 | 532万円 |
40~49歳 | 636万円 | 723万円 | 593万円 |
50~59歳 | 692万円 | 797万円 | 611万円 |
60~69歳 | 550万円 | 543万円 | 577万円 |
70歳~ | 558万円 | 544万円 | 585万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
表によると、40代薬剤師の平均年収は男女合わせて636万円となっています。
年代別に見ると、40代、50代でもっとも年収が高くなることがわかります。
スキルも経験も増えた40代は、これまでのキャリアが年収に反映しはじめる年代であるといえるでしょう。
ところで一般企業のサラリーマンの年収とはどれくらい違いがあるのでしょうか?
参考までに、全国の一般労働者と薬剤師の平均年収を比較してみました。(表2)
こちらは40代に限らず全年齢を対象としたものですが、一般労働者の平均年収は男女合わせて312万円となっています。
同じく全年齢を対象とした薬剤師の平均年収は男女合わせて583万円ですから、薬剤師の年収はかなり高めであるといえるでしょう。
そのなかでも40代薬剤師の平均年収は、一般労働者のほぼ2倍という高水準であることがわかります。
(表2)
男女計 | 男 | 女 | |
一般労働者 | 312万円 | 342万円 | 259万円 |
薬剤師 | 583万円 | 637万円 | 540万円 |
※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている
※薬剤師の平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
参照:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
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【男女別】40代の平均年収
次に、男女別の年収の違いを見てみましょう。
上記の表1を見ると、40代の男性薬剤師の平均年収は723万円であるのに対し、女性の平均年収は593万円とやや偏りがあります。
これは、40代女性の薬剤師は、子育てや家庭の事情から、ブランクがあったり短時間勤務だったりする人が多く、正社員に比べて労働時間が少ないことが影響していると考えられます。
正社員のまま働き続けている女性の場合は、男性の場合とほぼ変わりません。
しかし、標準とは異なる勤務体制を含めた数字だとしても、女性の一般労働者の平均年収259万円と比較すると、300万円以上も上回っていることがわかります。
40代薬剤師の平均年収は、男女ともに一般よりもかなり高いといえるでしょう。
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薬剤師の平均年収は?
職場の種類や地域によっても薬剤師の平均年収は変わってきます。
薬剤師全体の平均年収について、業種別、都道府県別にみていきましょう。
業種別
薬剤師の主な職場である、病院、調剤薬局、ドラッグストアについて、平均年収を比較してみたところ、下のようになりました。
(表3)
業種 | 男女計 |
ドラッグストア(調剤併設) | 528万円 |
ドラッグストア(OTCのみ) | 500万円 |
ドラッグストア一律 | 514万円 |
調剤 | 517万円 |
病院 | 474万円 |
※薬キャリエージェント調べ
ドラッグストアと調剤薬局は、病院に比べてやや高めの年収となっています。
特にドラッグストアは、全国各地に店舗が増えていることと、他に比べて営業時間が長いために、人員確保は切実な問題です。
そのため高収入での求人を出すところが多く、年収が他より高くなる傾向にあります。
なかでも調剤併設型のドラッグストアの年収が高いのは、本来の調剤業務のほかに、レジ打ちや接客、医薬品以外の商品の販売など、一般的な店頭業務もこなさなければならないことが影響していると考えられます。
薬剤師の勤務先として、上記以外に製薬会社等の企業もありますが、企業の場合、業績が給与に反映する部分もあり、平均年収については一概には言えません。
ただ、研究職やMRなどは高収入を得られる可能性が高い職種といえるでしょう。
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都道府県別
都道府県別の薬剤師の平均年収を見てみましょう。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータに基づいて、47都道府県それぞれの薬剤師の平均年収を算出してみました。
(表4)
都道府県 | 男女計 | |
1 | 宮崎 求人を見る | 717.7万円 |
2 | 熊本 求人を見る | 684.1万円 |
3 | 栃木 求人を見る | 664.8万円 |
4 | 青森 | 651.9万円 |
5 | 静岡 | 638万円 |
6 | 茨城 | 637万円 |
7 | 京都 求人を見る | 633.8万円 |
8 | 大阪 求人を見る | 632万円 |
9 | 長崎 | 623.1万円 |
10 | 群馬 | 619.6万円 |
11 | 島根 | 617万円 |
12 | 富山 | 609.5万円 |
13 | 山形 | 607万円 |
14 | 鳥取 | 604.1万円 |
15 | 鹿児島 | 599.3万円 |
16 | 佐賀 | 596.3万円 |
17 | 秋田 | 591万円 |
18 | 新潟 | 590.8万円 |
19 | 徳島 | 590.7万円 |
20 | 長野 | 589.8万円 |
21 | 愛媛 | 589.2万円 |
22 | 広島 | 589万円 |
23 | 東京 求人を見る | 584.8万円 |
24 | 岩手 | 584.3万円 |
25 | 全国 | 583.4万円 |
26 | 北海道 | 583.3万円 |
27 | 千葉 求人を見る | 582.3万円 |
28 | 愛知 求人を見る | 581.1万円 |
29 | 石川 | 572.1万円 |
30 | 埼玉 求人を見る | 571.8万円 |
31 | 大分 | 571.8万円 |
32 | 岐阜 | 571.7万円 |
33 | 福井 | 569.6万円 |
34 | 兵庫 | 569.1万円 |
35 | 福島 | 568.3万円 |
36 | 山梨 | 561.5万円 |
37 | 高知 | 558.2万円 |
38 | 福岡 求人を見る | 556.8万円 |
39 | 香川 | 553万円 |
40 | 沖縄 | 551.9万円 |
41 | 神奈川 求人を見る | 547万円 |
42 | 宮城 | 543.7万円 |
43 | 滋賀 | 537.2万円 |
44 | 岡山 | 534.5万円 |
45 | 山口 | 524.2万円 |
46 | 奈良 | 520.7万円 |
47 | 和歌山 | 509.1万円 |
48 | 三重 | 491.2万円 |
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
参照:「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
上位10位までを見ると、ほとんどが地方都市であることに気がつきます。
大都市で上位にあるのは7位の京都、8位の大阪くらいで、東京はほぼ全国平均と同じ23位でした。
千葉や神奈川、愛知、福岡などはいずれも全国平均を下回っており、大都市のほうが年収は低いことがわかります。
理由は、地方に行くほど薬剤師の数が少なく、人材不足を補うため高収入での求人を出すためです。
大都市ではむしろ薬剤師の数が過密状態のため、年収が抑えられてしまう状態にあります。
勤務地にこだわりがない場合は、地方都市も視野に入れて求人を探してみると、年収アップの可能性が高くなるかもしれません。
40代薬剤師の年収の特徴
40代は持っているキャリアやスキルによって年収に差が出てくる年代です。
40代薬剤師の年収の特徴についてみていきましょう。
管理職にならないと昇給ペースは抑えられる
40代は、これまで培ってきたスキルやマネジメント経験が年収に反映されやすい年代です。
認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得している人や、同じ職場で長期間に渡って勤務してきた人などは、管理薬剤師に昇進し、年収もアップしていきます。
ちなみに、厚生労働省の「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査)令和5年実施」によると、管理薬剤師の平均年収は734.9万円とあり、薬剤師の平均年収を大きく上回ります。
反対に、管理職を経験しないままだと昇給ペースが頭打ちになってしまう危険があります。
将来の年収アップを求めるなら、20代30代のうちに計画的に資格取得などのスキルアップに励むことが得策だといえるでしょう。
参照:厚生労働省/中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査)令和5年実施」 より
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昇進ルートが少ない
薬剤師がつくことのできる役職は、管理薬剤師や店長職、エリアマネージャーなどです。
役職の種類が少ないため、職場の環境によってはなかなか昇進の機会が巡ってこないということも起こります。
十分な経験とスキルがあっても、職場の管理職のポストに空きがなければいつまでも一般薬剤師のまま、ということにもなりかねません。
前述したように、管理職を経験しないままだと昇給ペースも抑えられてしまいます。
このような場合は、管理職につくための転職を考えてみるとよいかもしれません。
一般企業のサラリーマンよりは平均年収は高い
40代薬剤師の年収は管理職の経験の有無により大きく左右されます。
しかし管理職ポストが限られているため、実力がありながら管理職になれないというケースもあるでしょう。
そうなると、どうしても昇給ペースが上がらないままになってしまいます。
ただ、たとえそうなったとしても、一般企業のサラリーマンの平均年収と比べると、40代薬剤師の年収ははるかに高収入であることは先に述べた通りです。
パート勤務や派遣社員という働き方でも一般より高収入が見込める業種です。
自分の年収に疑問や不満がある場合は、40代薬剤師の年収の特徴と照らし合わせたうえで、今後の方針を決めるとよいでしょう。
40代薬剤師が年収アップするには
いまの年収が40代薬剤師の平均的な年収よりも低い場合、どうすればもっと年収を上げることができるのでしょうか。
ここからは具体的な方法について解説します。
昇進して管理職になる
確実に年収をアップさせるには、管理薬剤師などの管理職に昇進することです。
管理薬剤師は、通常その職場で3~5年ほど経験を積むことで昇進するというのが一般的なルートです。
特別な資格や試験は必要ありません。
ただ、管理薬剤師は薬局内の責任者として、医薬品等の在庫管理や、他の薬剤師を監督、指導する立場なので、知識や経験だけではなく責任感や判断力といった能力も必要となります。
経営側の信頼を得るためにも、常にスキルアップを目指し真摯に学ぶ姿勢を忘れないようにしましょう。
管理薬剤師の他にも、複数の店舗を管理するエリアマネージャーという役職があります。
こちらも特別な資格や試験は必要なく、勤務年数や実績、周囲からの評価などを基準に選ばれます。
職場によって金額に差はありますが、管理薬剤師では数万円、エリアマネージャーでは数万円から10万円程度の役職手当が基本給に上乗せされるため、年収アップが見込めます。
資格を取る
職場に資格手当の制度があるなら、薬剤師関連の資格を取得することをおすすめします。
主な資格に認定薬剤師、専門薬剤師があります。
職場によりますが、大体数万円程度の資格手当が基本給に上乗せされるので、年収アップが実現します。
資格取得のための勉強はスキルアップにつながりますし、管理職への昇進にも役立ちます。
また、転職の際にも、資格の保持は給与交渉の面でアピールポイントになり、年収アップが見込めます。
関連リンク
認定・専門資格薬剤師の資格取得体験記
給与の高い職場に転職する
いまの職場では管理職ポストが少なくチャンスが巡ってこない等、この先の昇給が見込めそうにない場合は、転職で年収アップを図るのも一つの方法です。
たとえば調剤併設型のドラッグストアは、薬剤師の業種のなかでは高収入を得られやすい職場です。
営業時間や営業日数の多さから、ほとんどの店舗がシフト勤務体制をとっているため求人が多く、病院や調剤薬局に比べると高待遇の募集も増えています。
年収アップのための転職先として視野に入れてみるのもよいでしょう。
あるいはすでに持っている資格を生かして、店舗の責任者として働ける職場を探してみるという方法もあります。
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40代薬剤師の転職は可能?
20代や30代に比べると、転職難易度が高くなるといわれる40代。
40代で条件のよい転職は可能なのでしょうか?
給与アップには管理職経験がカギ
40代の転職では、即戦力としてのスキルだけではなく、管理職経験者が求められる傾向があります。
つまり、職場全体をまとめるマネジメント能力が重視されるということです。
過去に管理薬剤師の経験があると求人の選択肢も広がりますし、給与交渉の際にも非常に大きなアピールポイントになります。
転職による年収アップを成功させるために重要なポイントです。
反対に、管理職経験がないまま転職回数を重ねていると、給与アップのみならず転職そのものが成功しにくくなってしまいます。
給与アップを目的とする場合、転職は慎重に考えて行うほうがよいでしょう。
大手ドラッグストアに転職する
全国でチェーン展開している大手のドラッグストアは募集が多いので、比較的転職しやすいといえるでしょう。
調剤業務以外に、品出しや接客、医薬品以外の商品の販売等、店舗運営の業務も兼務しなければならない点は注意が必要ですが、その分、他の業種よりも高収入であることが多いです。
また、業種未経験者であっても採用されやすいという利点もあります。
過去に管理職の経験があれば、店長やエリアマネージャー等の管理職での採用の可能性もあり、年収アップが見込めます。
ただしシフト勤務であるため生活リズムを整えるのに難しさを感じたり、土日祝日の勤務もあるため家庭との両立に苦労したりする可能性もあるでしょう。
家族の協力や支援が得られるかどうかについて、事前にしっかりと話し合っておく必要があります。
薬剤師が不足している地方、一人薬剤師
薬剤師が不足している地域なら、年収アップも兼ねた転職が成功しやすいでしょう。
前述した通り、地方都市では全国平均をはるかに上回る年収を得ているところもあります。
宮崎県や熊本県の薬剤師の平均年収は、全国平均を100万円以上越えています。(表4参照)
ほかにも働き盛りの人口が少なく高齢者が多い地方や、離島のように不便な地域では、薬剤師不足が深刻です。
場所を選ばなければ、かなりの高収入を得ることも可能でしょう。
また、一人薬剤師の職場も高年収が期待できます。
薬剤師の少ない地方に行くと、必然的に一人薬剤師となるケースもあるかもしれません。
一人薬剤師はこなさなければならない業務が多く、責任も重くなりますが、その分年収も高くなります。
一人薬剤師でも苦にならないという人にとっては選択肢のひとつとなるでしょう。
ワークライフバランス重視の転職も
体力的に厳しくなったり、仕事と家庭の両立を考えたりした結果、あえて年収アップを求めない転職という選択もあります。
管理職につくと収入は増えますが、仕事量や責任も増し、体力的にも精神的にも負担に感じてしまうかもしれません。
ワークライフバランスをとることを重視すれば、年収よりも勤務時間や仕事の負担を軽くするための転職を考えてもよいでしょう。
また、時短勤務やパート勤務に切り替えて、プライベートを充実させるというケースもあります。
薬剤師の場合、時短勤務や派遣でも、一般労働者の平均年収よりも高水準であることは確かです。
自分にとって満足のいく生活とは何か、そのために必要な年収はいくらなのかをじっくりと見極めることも大切です。
【土日休み】【年間休日120日以上】【~19時まで勤務】【残業無し】【有給休暇の取得推奨】の求人を見る [薬キャリアプリで見る]
まとめ
40代薬剤師の平均年収は、一般よりもかなり高水準であることがわかりました。
一方、資格の取得や管理職経験の有無により、今後の年収に違いが出てくるのが40代です。
転職による年収アップを図る場合も、管理職経験の有無が大きなポイントになります。
調剤スキルだけではなく、コミュニケーション能力やマネジメントスキルを身につけておくことが大切です。
そんな方は、転職コンサルタントに相談してみませんか?
・40代で初めての転職
・ブランクがある
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