1. 薬剤師トップ
  2. 薬剤師コラム・特集
  3. 服薬指導に役立つ、妊婦と薬の話
  4. 妊娠中のバイアスピリンの安全な服薬方法とは?

服薬指導に役立つ、妊婦と薬の話

更新日: 2025年6月11日 りーこ

バイアスピリン®の使い方を知ろう。妊娠高血圧症候群と不妊治療の最新知識

バイアスピリンの使い方を知ろう。妊娠高血圧症候群と不妊治療の最新知識のメイン画像
☞この記事でわかること!
  • 産科領域でバイアスピリンを使用する目的
  • バイアスピリンを妊娠高血圧症候群予防で使用する場合の注意点
  • 不妊治療でバイアスピリンを使用する際の目的
  • 妊婦がバイアスピリンを服用する際の服薬指導のポイント

バイアスピリン®に代表される低用量アスピリンは、血小板凝集を抑える抗血小板作用を持ち、心血管疾患の予防に現在も広く用いられている薬剤です。近年、周産期領域でもこの抗血小板作用を背景に、妊娠高血圧症候群の予防や反復流産・着床不全に対する治療として使用される機会が増えています。

しかし、「妊娠中に血液をサラサラにする薬を?」と不安を抱える患者や、戸惑う薬剤師も見受けられます。今回は、妊娠中のバイアスピリンの使用目的と、薬剤師が押さえるべきポイントを解説します。

バイアスピリンの基礎と産科応用の広がりについて

バイアスピリンはCOX阻害による抗血小板作用。周産期領域での予防的使用もある

バイアスピリン®は、一般名アスピリンの低用量製剤で、主に抗血小板薬として使用される薬剤です。アスピリンはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、トロンボキサンA₂の産生を抑制することで血小板凝集を防ぎます。この作用により、虚血性心疾患や脳梗塞の二次予防として広く使用されており、通常は1日1回81~100mgで投与されます。

産科領域ではこの抗血小板作用を活かし、妊娠高血圧症候群の予防や、着床不全・不育症といった不妊治療における補助療法としての使用が増加しています。薬剤師としては、用量、使用目的、副作用リスクを正しく把握した上で、適切な情報提供を行うことが求められます。

妊娠高血圧症候群の予防としてのバイアスピリン

日本ではバイアスピリンの妊娠高血圧症候群予防への使用は保険適用外なので十分な説明が必要

妊娠高血圧症候群(HDP)は、妊娠20週以降に高血圧を呈する疾患群で、母体や胎児に重大なリスクを及ぼします。HDPは発症時期により「早発型(34週未満で発症)」と「後発型(34週以降で発症)」に分類され、早発型は胎盤機能不全が強く、重症化しやすい傾向があるため、母児ともに管理がより慎重に行われます。

この早発型の予防策として注目されているのが、低用量アスピリン(バイアスピリン®)の予防投与です。2017年のASPRE試験では、早発型HDPのリスクが高い妊婦に対し、妊娠12〜16週の早期からアスピリン150mgを投与することで、発症リスクが約60%低下したと報告されました。ただし、この投与量は海外での研究結果であり、日本では100mg製剤が一般的に使用されています。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

りーこの画像

りーこ
りーこ

総合病院勤務の中堅薬剤師。妊婦さん、授乳婦さんが薬に対して不安を感じている原因は薬剤師側も妊婦授乳婦の薬物療法への知識や関わり方が分からず、服薬指導に自信がないからではないかと感じ、妊婦授乳婦の薬物療法について発信を開始。 経験を活かしてinstagramの投稿を続けることで薬剤師の皆さんの妊婦授乳婦の服薬指導への苦手意識がなくなれば、その薬剤師が関わる妊婦さんや授乳婦さんの不安も減ることを願っています。Instagram:https://www.instagram.com/ph_riiko_gram/

キーワード一覧

服薬指導に役立つ、妊婦と薬の話

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット プロブレム 医療クイズ 疾患・病態 SOAP 薬歴 ebm