腎臓病薬物療法認定薬剤師とは?取得方法とメリット
腎臓病薬物療法認定薬剤師とは?その役割も解説
「腎臓病薬物療法認定薬剤師」は、日本腎臓病薬物療法学会(JSNP)による認定です。この認定は腎臓病の薬物療法に携わり、高度な薬物治療を実践する薬剤師であることを示します。
昨今では腎臓病の治療に特化した医療機関だけでなく、地域の高度医療を担う医療機関においても薬剤師が処方設計を行う必要があります。腎臓病薬物療法認定薬剤師はこれらの役割に大きく貢献します。
認定を取得するメリット・強み
超高齢化社会が進み、高齢患者さんの腎機能に応じた薬物治療の需要が高まっている現在では、腎臓病薬物療法認定薬剤師の持つ知識が求められる場面が増えています。
腎臓病薬物療法認定薬剤師が、高度・専門的な治療を行う医療機関でそれぞれの患者さんの腎機能に合わせた処方を設計し、地域の薬局で薬を調剤する連携の要となり、病診連携と薬薬連携を支えます。また、腎臓病薬物療法専門薬剤師の取得のために必須の認定です。
「腎臓病薬物療法認定薬剤師」は、こんな人向け
腎臓病薬物療法に深く関わりたい
多職種と連携して地域医療を支える薬剤師になりたい
臨床研究にも携わりたい
難易度
領域 | 更新年 | 勤務歴 | 試験 | 論文 | 学会 | 症例報告 | 薬局薬剤師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
腎臓病 | 5年ごと | - | 取得時 | - | 取得時 更新時 |
取得時 更新時 |
○ |
腎臓病薬物療法認定薬剤師の詳細
認定団体:日本腎臓病薬物療法学会
申請に必要な資格:
(1)医療機関での薬剤師歴通算5 年以上(直近 2 年間は常勤並みの継続勤務)
(2)申請時において 3 年以上日本腎臓病薬物療法学会会員
(試験を受ける年を含めて3年間:日本腎臓病薬物療法学会の会計年度は前年9月1日から本年8月31日です。会計期間の途中で入会して場合の減免措置はありません。
初回取得時、更新時に必要な単位や条件
初回取得時 | 更新時 | |
---|---|---|
必要単位 | 申請年の直近3年以内に12単位 | 5年間で20単位 学会関連単位が6単位以上(毎年1単位以上) 学会の指定講演2回以上受講 |
勤務歴の条件 | 医療機関での薬剤師歴通算5年以上 (直近2年間は常勤並勤務を継続) |
なし |
試験の有無 | 筆記試験あり(多肢選択形式100問) | なし |
論文発表 | 不要 | 不要 |
学会発表 | 直近10年以内で3回以上 (筆頭発表者1回以上) |
直近5年間で1回以上 (筆頭発表者1回以上) |
症例報告 | 自験例30例(直近5年間) | 自験例30例(直近5年間) 腎臓病薬物療法に関わった活動履歴書 |
推薦状 | 必要 | 不要 |
かかる費用 | 書類審査料(症例審査料含む) 11,000 円(税込) 認定試験受験料 16,500 円(税込) →合計27,500円(税込) |
書類審査料(症例審査料含む) 11,000 円(税込) |
腎臓病薬物療法認定薬剤師の新規取得・更新時の流れ
大まかな流れは以下のようになります。
腎臓病薬物療法認定薬剤師の取得の流れ
大まかな流れは以下のようになります。下部に詳細を記載しました。
1. 日本腎臓病薬物療法学会の会員になる
新規認定の要件に、日本腎臓病薬物療法学会の会員を3年継続することがあります。
学会の会計年度は前年9月1日からその年の8月31日まで、年度途中で入会しても会費が割り引かれることはありません。
入会する最、学会ホームページのトップページにある「入会申請はこちら」からフォームに入力し、申請が受理されてから会費を振り込むことになります。
日本腎臓病薬物療法学会サイト
会員になることで、腎臓病薬物療法学会への参加費用が割安な会員価格となります。
また、腎臓病薬物療法学会で発表する場合、会員である必要があります。
例)2021年に申請する場合
2019年度から2021年度の年会費を納入していることが必須となります。
2019年度の会計年度は2018年9月1日から2019年8月31日
2021年度の会計年度は2020年9月1日から2021年8月31日
→この期間中に継続して入会している必要があります。
2.学会発表を行う
申請要件:腎臓病薬物療法に関連する発表を試験年の直近10年以内に3回以上
(うち1回は筆頭発表者)
対象となる学会:日本腎臓病薬物療法学会
(日本腎と薬剤研究会も含む)
対象となる学会:日本腎臓病薬物療法学会(日本腎と薬剤研究会も含む)
日本腎臓学会
日本透析医学会
日本医療薬学会
日本薬剤師会学術大会など
全国レベルの学会や関連する国際学会
3.自験例30例を集める
対象となる期間:薬学的介入終了日が認定申請開始日より5年以内のもの
対象となる自験例:症例の対象は慢性腎臓病や透析医療などの腎疾患患者であること。
申請者自身の薬学的介入を実施した結果が含まれた症例であること。
申請者自身の薬学的介入を実施した結果が含まれた症例であること。
(ただし、保険薬局で検査結果などが不明のため、介入後の結果判定が困難な場合は
現場の業務実態を考慮して審査)
自験例を記載するのには時間がかかるため、予め学会が示した記載要項に沿って指定の書式に記載しておくことをおすすめします。
日本腎臓病薬物療法学会 認定薬剤師の認定資格における自験例の提出要項
認定薬剤師の認定資格における自験例・症例記載
4. 指定の研修会・講座で必要単位を取得(3年)
新規認定申請に必要な認定:20単位
対象となる期間:試験を受ける年の直近3年間
対象となる単位の範囲
3単位
日本腎臓病薬物療法学会学術集会
日本腎臓学会
日本透析医学会
日本腎臓学会東部または西部学術大会
日本腹膜透析医学会
日本臨床腎移植学会
日本小児腎臓病学会
2単位
1単位
日本糖尿病性腎症研究会
日本 HDF 研究会
日本 CKD チーム医療研究会
日本医療薬学会年会
日本薬剤師会学術大会
日本薬学会年会
日本 TDM 学会
日本臨床薬理学会
医療薬学フォーラム
研修単位として認める研修会
※2021年申請に置いては、2020年の単位取得数に関しては不問とし、過去4年間で12単位取得としています。
→勉強会・研修会を探す5. 審査料の振込み、申請書類の提出
毎年5月が申請期間となります。
審査書類の書式は日本腎臓病薬物療法学会のサイトより入手できます。
書式には提出チェックリストがありますので、必要な記載が確実になされているか照合した上で郵送しましょう。
郵送する形式:配達状況の確認が可能な送付方法(レターパックや簡易書留など)にて、封筒の表に「認定試験申請書在中」と朱書し郵送
6. 筆記試験
毎年8月頃に実施