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明日使えるOTC医薬品 提案のコツ

更新日: 2024年2月1日 児島 悠史

H2ブロッカー、80歳以上の高齢者にはなぜ使えない?~OTC医薬品だけにある制限

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H2ブロッカー、80歳以上の高齢者にはなぜ使えない?~OTC医薬品だけにある制限

H2ブロッカーは、胃酸の分泌を強力に抑えることで胃酸過多による胃の痛み・不快感・むかつきなどの症状を解消する薬です。OTC医薬品としても「ファモチジン」や「ニザチジン」の製剤が販売されており、セルフメディケーションの重要な選択肢になっていますが、OTC医薬品は医療用医薬品と違って「80歳以上」の高齢者は使うことができません。今回は、この使用制限の理由や背景をおさらいします。

Point

チェックの画像1 胸やけなどの自覚症状の解消に、H2ブロッカーはOTC医薬品の中で最も効果的
チェックの画像2 H2ブロッカーによる精神系の有害事象のリスクは、血中濃度依存で高くなる
チェックの画像3 医療用医薬品のH2ブロッカーも、腎機能に応じて用量を調節する必要がある

「H2ブロッカー」は、セルフメディケーションで最も強力な薬

OTC医薬品の胃薬には、胃酸の分泌を抑える「H2ブロッカー」、胃粘膜を保護する「胃粘膜保護薬」、胃酸を中和する「制酸薬」と色々なカテゴリの薬があります(表1)。胃酸過多には「H2ブロッカー」や「胃粘膜保護薬」、胸やけには「H2ブロッカー」や「制酸薬」と、それぞれ目的に合わせて使い分けるのが一般的ですが、自覚症状の解消には「H2ブロッカー」が最も効果的とされています1,2)

薬効分類 代表的な薬剤
H2ブロッカー ファモチジン、ニザチジン
胃粘膜保護薬 テプレノン、スクラルファート、アルジオキサ、トロキシピドなど
水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、
炭酸水素ナトリウムなど

表1.OTC医薬品として販売されている胃薬

現在のところ、「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」はOTC医薬品として販売されていないため、セルフメディケーションにおいては「H2ブロッカー」が最も強力な薬として貴重な選択肢になります。

高齢者では、H2ブロッカーによる精神系の有害事象のリスクが高い

一方、「H2ブロッカー」ではせん妄や錯乱といった精神系の副作用に注意する必要があります。これは、薬が胃だけでなく、

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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