ぺんぎん薬剤師のスッキリわかる臨床ニュース

更新日: 2024年12月18日 ぺんぎん薬剤師

週1回インスリン製剤や新規オレキシン受容体拮抗薬が登場〜2024年11月20日薬価収載

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参考記事:ドナネマブ薬価を承認、保険適用へ 年308万円、投与短縮期待でレカネマブより高く

中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)は11月13日、アルツハイマー病の新薬ケサンラ点滴静注液(一般名:ドナネマブ)の薬価を350mg20mL1瓶6万6948円とすることを承認した。対象は軽度の認知症患者で、4週間隔で30分以上かけて点滴静注する。投与期間は原則18カ月だが、12カ月後にアミロイドPET検査を実施し、脳内のAβプラークの除去が確認されれば投与を完了する。初めの投与から1年間の薬価は患者1人につき約308万円となる。ピーク時(10年度)の投与患者数は2万6000人で、予測販売額は796億円。薬価収載予定日は11月20日(資料は厚労省のホームページ )。

令和6年11月20日、ケサンラ点滴静注液を含む17成分19品目の新薬(報告品目は除く)の薬価収載が行われました。今回は薬価収載された新薬のうち個人的に気になるものについて簡単にまとめてみたいと思います。

1、クービビック錠

製品名 クービビック錠25mg
クービビック錠50mg
有効成分 ダリドレキサント塩酸塩
効能・効果 不眠症
製造販売元 ネクセラファーマジャパン株式会社
販売元 塩野義製薬株式会社

新規のデュアルオレキシン受容体拮抗薬です。

2022年に米国や欧州で承認済の製品です。クービビックはスイスのイドルシアファーマシューティカルズが創薬した薬剤で、日本国内では持田製薬とネクセラファーマジャパン(イドルシアファーマシューティカルズジャパンとそーせいの合併会社)が共同開発を行いました。日本国内の販売では、製造は持田製薬工場、製造販売はネクセラファーマジャパン、流通・販売は塩野義製薬という体制で展開されます。

高齢者に対する用量制限はありませんが、強いCYP3A阻害薬は併用禁忌となっているので注意が必要です。オレキシン受容体タイプ1(OX1R)とオレキシン受容体タイプ2(OX2R)を選択的に阻害し、半減期が短い特徴から持ち越しを認めない用量での入眠・睡眠維持効果が期待されます。

2、ビルタサ懸濁用散分包8.4g

製品名 ビルタサ懸濁用散分包8.4g
有効成分 パチロマーソルビテクスカルシウム
効能・効果 高カリウム血症
製造販売元 ゼリア新薬工業株式会社

非吸収性の陽イオン吸着ポリマーです。

旧来のカリウム吸着薬は「急性及び慢性腎不全に伴う」高カリウム血症に限定されていましたが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(製品名:ロケルマ懸濁用分包)は「高カリウム血症」であれば使用可能でした。ビルタサ懸濁用散分包も同様に効能・効果を「高カリウム血症」とした製品で、ナトリウムを含まないため浮腫等の体液負荷を軽減することが可能とされています。導入期の用法は特に存在しないため、一定の用法・用量で治療を行うことも可能です。保管方法が冷所(2〜8℃)となっているので注意が必要です。

3、アリッサ配合錠

製品名 ビルタサ懸濁用散分包8.4g
有効成分 エステトロール水和物・ドロスピレノン
効能・効果 月経困難症
製造販売元 富士製薬工業株式会社

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP配合薬)です。

日本で初めて、エストロゲンとして合成エストロゲンであるエチニルエストラジオールではなく、天然型エストロゲンであるエステトロールを含有するのが特徴の薬剤です。エチニルエストラジオールと比較して血液凝固系の副作用が軽減される等のメリットが期待されています。

実薬24錠、とプラセボ4錠を合わせた28錠で1シートとなっており、実薬を24日間服用した後、プラセボを4日間服用する28日間で1周期となっています。1周期を服用し終えたら29日目から出血の有無に関わらず次の周期を開始します。

新医薬品ではありますが、14日のルールを延長することができる品目として処方日数制限は30日間になっています。

4、ケセンラ点滴静注液

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ぺんぎん薬剤師
ぺんぎんやくざいし

4年制薬学部を卒業後、大学院では特許を取得。その経験を患者さんの身近な場所で活かしたいと考え薬局に就職。薬局では通常の薬局業務に加え、学会発表、研修講師、市民講座など、様々な形で「伝えること」を経験。自分の得た知識を文章にし、伝えていくことの難しさと楽しさを学ぶ。 薬局での仕事が忙しくなる中、後輩に教える時間がなくなり、伝える場としてブログ「薬剤師の脳みそ」の運営を開始。その後はTwitter、Facebook、Instagramなどの各種SNSも開始し、より多くの薬剤師に有意義な情報を提供できるメディアを目指して運営を続けています。

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