「医療行動経済学」から見える患者の“クセ”
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近年、医療行動経済学の研究が進んでいます。この研究には大きく二つのタイプがあり、一つは人が意思決定する際の行動経済学的な“クセ”を突き止める研究であり、もう一つはそうした“クセ”を利用して積極的な医療健康行動を促すための方策を考案する研究です。果たして、人の行動や考え方にはどのような“クセ”が隠されているのでしょうか。
「利益強調型」と「損失強調型」のどちらが効果的?
これまでの研究によると、リスク回避的な人ほど、タバコを吸わなかったり、深酒をせず、肥満になるような生活を避けたり、血圧などの管理をきちんと行ったりする傾向があります。そのため、このようなタイプの人は慢性的な疾患を持ちにくく、リスク回避的な人の行動は、喫煙や過度の飲酒を控えたり、美食に走ったりしないぶん生活上の満足度はそれほど高くないものの、健康を悪化させる可能性が低くなるという利益が得られます。
一方、せっかちな人や、物事を先延ばしにする傾向のある人は、積極的な医療健康行動をとらず、喫煙者や肥満が多いというデータがあります。検診や予防接種などへの健康行動も少ないことがわかっています。禁煙や検診を受診すれば、健康状態の改善や病気の悪化を防ぐという利益が見込めますが、この利益はすぐに発生するわけではありません。逆に、禁煙をすることの精神的な辛さや、検診を受診するための費用や時間はすぐに発生します。せっかちな人や先延ばし傾向の人は、将来の健康的な状態の価値を大きく割り引いて評価し、すぐに発生する費用を大きな負担に感じるため、積極的な医療健康行動をとらない、と考えられています。
では、このようなせっかちな人や先延ばし傾向の人に積極的な医療健康行動をとってもらうためには、どうすればいいのでしょうか。
続きは、是非下記の記事よりご確認ください。
医療行動経済学の法則
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