臨床情報まるわかり!ファーマスタイル!

更新日: 2023年9月19日 薬剤師コラム編集部

ALS、多職種連携の取り組みとは?

ALS、多職種連携の取り組みとは?のメイン画像

全国の薬剤師へ専門性の高い最新の医薬情報を提供している月刊誌ファーマスタイル。そのWEB版がm3.comで閲覧できるようになりました。薬剤師なら押さえておきたい医療記事を毎月ピックアップしてご紹介します。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)を知り多職種連携で支援する

指定難病でもあり現在の医療では治すことが難しい筋委縮性側索硬化症(ALS)は、病状進行に個人差があり治療や療養、生活サポートにおいて多職種での連携が重要です。そこで今回は、東邦大学医療センター大森病院、脳神経センターの平山剛久氏に、ALSの病態やALS患者さんのサポート、多職種連携の取り組みについてお話しいただきました。

筋委縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis;ALS)は、運動神経、感覚神経、自律神経といった神経系のうち、運動神経に障害をきたす疾患です。好発年齢は60~70歳代で、有病率は10万あたりおよそ10人、患者数は1万人ほどですが少しずつ増加しています。またALSの診断においては、診察に加え針筋電図検査や神経伝導検査は必須となり、頭部MRIや髄液検査、血液検査などは可能であれば、除外診断のために行います。

当院では、ALS患者さんに対するサポートの5つの柱として、薬物療法、栄養管理、呼吸管理、リハビリテーション、多職種連携の外来(ALSクリニック)を掲げています。薬物療法では保険適応のあるリルゾール、エダラボン(ラジカット)を対象となる患者を見極めて使用しますが、睡眠障害が早期から見受けられる場合、筋弛緩作用があるようなベンゾジアゼピン系の薬剤は使用しづらいため、覚醒中枢を抑制するような薬剤を少し使用することがあります。しかし中等症のALSでベンゾジアゼピン系薬剤が処方されている場合には注意が必要です。

またALSクリニックは毎週1回(木曜日の午後)オープンしており、各ブースにソーシャルワーカー、呼吸器の専門看護師などを含め、さまざまな職種が待機し1回の来院で同時進行性に全ての外来受診ができるのが特徴です。また年に1回、ALS Caféという交流会を行い、精神科医や心理士によるサポートだけでなく日本ALS協会の遺族ボランティアも参加し、気管切開を伴う人工呼吸器の体験談を聞くこともできます。患者さんのなかにはALSが進行してから来院される方もいるため、患者さんが望む方向性やライフスタイルに最大限近づけていくことを意識して関わっていくことが最善だと考えています。

「ALSの非運動症状に対する処方内容」「退院前カンファレンス」については、本記事よりご確認ください。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)を知り多職種連携で支援するの画像 記事を読む

関連記事

ALSの新規原因を同定、LRP12遺伝子5’UTRのCGGリピート伸長変異

広島大学は、筋委縮性側索硬化症(ALS)の新規原因を公表。LRP12遺伝子以外の原因によるALSの病態の解明や治療法の開発につながる可能性について示唆しています。

ALS発症メカニズム、TDP-43の単量体化が関連

筋委縮性側索硬化症(ALS)発症のメカニズムに関する話題です。細胞モデルを用いたTDP-43の変化やALSの早期病態解明に向けた研究結果が分かります。

多職種による外来診療「ALSクリニック」、患者の入院抑制と生存率向上に関与

多職種による外来診療が、ALS患者の緊急入院の抑制と生存率の向上に影響を及ぼすことを示しています。欧米諸国での治療を踏まえ、日本における外来診療の形態見直しについて言及している情報です。

まとめ

ご紹介した記事の他にも、ファーマスタイルでは最新の医療情報を豊富にそろえています。服薬指導や処方監査など、気になるテーマの記事はこちらからご確認ください。

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

薬剤師コラム編集部の画像

薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

キーワード一覧

臨床情報まるわかり!ファーマスタイル!

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

26万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 医療過誤・ヒヤリハット 業界動向 薬局経営 薬物療法 ファーマスタイル 医療クイズ