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60代薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2024年10月20日 薬剤師コラム編集部

定年後いくら稼げる?60代の薬剤師の平均年収や働きやすい業種について解説

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一般的な薬剤師の定年は60歳ですが、多くの人は定年後も何らかの形で薬剤師の仕事を続けています。
60歳以降の年収はどのように変化するのでしょうか。また、業種の種類や働く場所によって年収に違いはあるのでしょうか。
この記事では、60代薬剤師の年収の特徴や、仕事を探すポイントについて解説します。

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定年後の60代はどのくらい稼げる

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定年後も活躍している薬剤師の人はたくさんいます。老後の生活に備えてもう少し働きたい人や、社会とのつながりを断ちたくない人、あるいはもっと地域医療に貢献したい人など、働き続ける理由はさまざまです。

定年は60歳でも国民・厚生年金の支給開始は65歳から、という社会の仕組みも、定年後も働こうと考える理由のひとつでしょう。
年金受取開始までの5年間、貯金を切り崩しながら生活するのは、やはり不安です。
また、65歳以降でも、年金の受け取りをあとに繰り下げれば、年金の受取額を増やすことができます。
長く働けば働くほど、老後の生活は楽になるのです。

厚生労働省も、定年後の雇用を確保する手立てとして、65歳までの定年の引き上げか、継続雇用制度の導入、あるいは定年の廃止のどれかを実施することを、雇用側の義務として制定しています。

多くの企業は65歳までの継続雇用制度を導入しており、その制度を利用して、定年後も引き続き同じ職場で働く薬剤師は多いです。
あるいは定年後に新しい職場に転職する薬剤師もいます。

ただ、いずれも正社員雇用とはならず、嘱託職員またはパート・アルバイトという雇用形態になることが多いため、これまでに比べて年収は下がる可能性が高いでしょう。
厚生労働省のデータをもとに算出したところ、60代薬剤師の年収は平均で550万円となっています。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出

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薬剤師の年齢別年

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60歳以上になって、年収が急に落ちてしまうことが不安だと感じている方もいるのではないでしょうか。
薬剤師の年収は高いというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

薬剤師の年齢別年収の特徴

薬剤師の年収の変化を年齢別に見てみましょう。
下の表は、厚生労働省のデータを基に算出した、薬剤師の年齢別平均年収です。
それぞれの特徴について解説していきます。

年代別 男女計
20~29歳 423万円 454万円 407万円
30~39歳 586万円 627万円 532万円
40~49歳 636万円 723万円 593万円
50~59歳 692万円 797万円 611万円
60~69歳 550万円 543万円 577万円
70歳~ 558万円 544万円 585万円

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」

20代

20代薬剤師の平均年収は423万円です。そのうち男性は454万円、女性は407万円です。
就職して間もない20代のうちは、他の年代に比べると年収はまだ低いようです。
ただ、一般労働者の平均年収が312万円であることを踏まえると、20代薬剤師の年収は一般より高水準であるといえるでしょう。

※一般労働者の平均年収は、厚生労働省「付表2 一般労働者の性、雇用形態別賃金及び雇用形態間賃金格差の推移/令和4年賃金構造基本統計調査の概況」より、男女計の正社員・正職員の賃金に12を掛けた数字を平均年収としている
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」

30代

30代薬剤師の平均年収は586万円、そのうち男性は627万円、女性は532万円です。
20代の平均年収に比べると、男性は173万円の年収アップ、女性は125万円アップと、男女ともに年収が大きく増えていることがわかります。
全年代を通して、年収アップの幅が一番大きいのが30代です。

男女の年収に差があるのは、30代は出産、育児などにより産休・育休を取得する女性の割合が多いため、勤務日数や勤務時間に男女差が生じるからと考えられます。

40代

40代薬剤師の平均年収は636万円、そのうち男性は723万円、女性は593万円です。
女性は出産や育児などのライフスタイルの変化をきっかけに、パートやアルバイト雇用に切り替える人も多く、労働時間の減少が男性との年収の差につながっている一面があります。
また、役職に就くかどうかも年収に大きく影響します。

50代

50代薬剤師の平均年収は692万円、そのうち男性は797万円、女性は611万円となっています。
管理職への昇進や、勤続年数に応じた昇給の積み重ねもあり、50代は男女ともに年収のピークを迎えます。

60代以降の年収の特徴

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定年を過ぎると、年収は大きく下がります。
60代薬剤師の平均年収は550万円、そのうち男性は543万円、女性は577万円です。
特に男性は、50代の年収の7割以下まで下がっており、20代や30代のころの年収に近いことがわかります。

これは、定年後は正社員としての雇用がリセットされ、嘱託やパート・アルバイト雇用となってしまうことが原因です。役職から外れるため、役職手当の支給もなくなります。
とはいえ年収500万以上というのは、一般的にはかなりの高収入であることは確かです。生活に困ることはないでしょう。

70代になるとどうでしょうか。
70代薬剤師の平均年収は558万円、そのうち男性は544万円、女性は585万円と、60代とあまり変わらない水準を保っています。
ただ、70代以降で働いている人は、自分や家族が薬局を経営している人の割合が高くなるので、平均年収が上に引っ張られている可能性も考えられます。

薬剤師の需要は、60代以降も非常に高いものであることがわかります。
年収の額は、60歳を過ぎた時点である程度下がってしまうと、その後は大きく変化する様子はありません。パート・アルバイトの時給も一般のパート・アルバイトの約2倍の金額なので、やはり薬剤師免許は60代以降も強いと言えます。

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60代の都道府県別年収・時給

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ここからは、働く地域によって年収に違いがあるかについてみていきます。

薬剤師の地方別年収の特徴

薬剤師の年収は地域によっても違います。
下の表は、都道府県別の薬剤師の年収を、金額の高い順に並べたものです。

(万円)

都道府県 男女計
1 宮崎 717.7
2 熊本 684.1
3 栃木 664.8
4 青森 651.9
5 静岡 638.0
6 茨城 637.0
7 京都 633.8
8 大阪 632.0
9 長崎 623.1
10 群馬 619.6
11 島根 617.0
12 富山 609.6
13 山形 607.0
14 鳥取 604.2
15 鹿児島 599.3
16 佐賀 596.3
17 秋田 591.0
18 新潟 590.8
19 徳島 590.7
20 長野 589.8
21 愛媛 589.2
22 広島 589.0
23 東京 584.8
24 岩手 584.3
25 北海道 583.3
26 千葉 582.3
27 愛知 581.1
28 石川 572.1
29 埼玉 571.8
30 大分 571.8
31 岐阜 571.7
32 福井 569.6
33 兵庫 569.1
34 福島 568.3
35 山梨 561.5
36 高知 558.2
37 福岡 556.8
38 香川 553.0
39 沖縄 551.9
40 神奈川 547.0
41 宮城 543.7
42 滋賀 537.2
43 岡山 534.5
44 山口 524.2
45 奈良 520.7
46 和歌山 509.1
47 三重 491.2

※平均年収は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」の、「きまって支給する現金給与額」12か月分に、「年間賞与その他特別給与額」を足した金額を平均年収として算出
厚生労働省「賃金構造基本統計調査/ 令和4年賃金構造基本統計調査」

これを見ると、上位を占めているのは宮崎、熊本、栃木、青森など、地方が多いことに気がつきます。
東京は23位の584.8万円で、全国平均値である583万円とほぼ同じです。1位の宮崎の717.7万円とは130万円以上も年収に差があります。

なぜこのように年収に差が出るのでしょうか。
ひとつには、地方の深刻な薬剤師不足があります。
人材不足を補うため、地方では少しでも良い条件での求人を出さざるを得ず、都市部よりも高い年収で人材確保に努めているといえます。
反対に大都市は病院や薬局が過密状態であるため薬剤師の数も飽和状態となっており、高収入を求人の条件にする必要があまりありません。

薬剤師の場合、必ずしも大都市で働くことが高収入を得ることにはならないといえるでしょう。

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60歳以降はどこで働くのがいい?

前に述べた通り、薬剤師の年収は地域によって違いがあり、特に薬剤師の数が少ない地方のほうが年収が高いことがわかりました。
薬学部のある大学は都市部に多いため、進学のため上京し、大学卒業後もそのまま都市部で就職する学生は多くなっています。そのため、地方では若い薬剤師の数が少なく、60歳以降になっても、薬剤師への採用ニーズは高いのです。

転居が可能であるなら、思い切って地方に移住するというのもひとつの方法かもしれません。
たとえば故郷が都市部から離れた地方である場合などは、Uターン就職を考えてみるのもいいでしょう。

とはいえ、交通の便が悪い場所や通勤時間が長くかかるような場所に勤務するのは、60代からの働き方としてはあまり現実的ではありません。
これからのライフプランを考えて、総合的に考えるようにしましょう。

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60代の業種別年収・時給

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業種の違いによっても年収に違いはあるのでしょうか。
60代からの主な勤務先には調剤薬局とドラッグストアがありますが、それぞれの平均年収と時給を比較したのが下の表です。

正社員
(年収)
パート
(時給)
ドラッグストア(調剤併設) 528万円
ドラッグストア(OTCのみ) 500万円
ドラッグストア一律 514万円 1862円/時間
調剤薬局 517万円 2072円/時間

※薬キャリエージェント調べ

60代からの雇用はほとんどがパート・アルバイトといった形態になります。
表を見ると、ドラッグストアの時給は1862円、調剤薬局の時給は2072円となっています。
ドラッグストアと調剤薬局の間の時給の差はそれほど大きくなく、店舗ごとの差のほうが大きくなります。
これまでの自分の経験や、自宅からの通いやすさなどを考えて選ぶとよいでしょう。
ただ、調剤経験はあるほうが選択肢は広がります。

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60歳以上の薬剤師が仕事を探すポイント

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定年後の薬剤師が仕事を探すとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
仕事を探す際に押さえておきたいポイントをまとめました。

自分が求めるものを明確にする

定年後も働き続ける理由は何でしょうか。
生活のため、趣味を楽しむため、社会に貢献するため、体力維持のため等、さまざまな理由があることでしょう。
働くことに対して、自分は何を求めているのかをまずはきちんと整理してみることをおすすめします。

働く理由がはっきりしていれば、必要な働き方がわかってきます。勤務条件や給与についても、譲歩できる部分とできない部分の線引きが明確になるため、よりスムーズな転職活動が行えます。

人生プランのなかで必要な年収を考える

年収はできるだけ多いに越したことはありませんが、60歳を過ぎるとあまり高望みはできないことも事実です。
また、住宅ローンの支払いや子育てが終わって、これまでほど多くの収入は必要ではなくなるという面もあるでしょう。
まずは、これから生活していく上で必要な年収はいくらなのかを明確にしてみましょう。

定年後の生活に必要な額は、それぞれの家庭の事情や環境によっても違います。
65歳からは年金の支給も始まります。
自分を取り巻く環境や今後のことを吟味して、最低限これだけは必要という額を考えておくとよいでしょう。

年収が下がることは覚悟する

60代の雇用は、嘱託やパート・アルバイトになることが一般的です。
若いころのような高いパフォーマンスをずっと維持し続けるのは難しくなる年代ですし、今後働ける期間も短いため、高待遇で雇ってもらえる可能性はどうしても低くなります。
正社員時代と比べると、必然的に年収は下がってしまうことは理解しておきましょう。

60代からの仕事は、給与が下がることよりも、働けることがありがたいとおおらかに受け止めるくらいの心持ちで臨むといいでしょう。

体力面で無理のない範囲で働く

60代はまだまだ元気な年代ですが、何かの折にふと体力の衰えを自覚することもあるでしょう。過度な残業やフルタイムでの勤務が、次第にきつく感じるようになるかもしれません。勤務時間や勤務日数の調節がしやすく、体力的に無理のない範囲で働ける職場を探しましょう。

通勤時間の長さも体力を奪います。勤務地を探すときは、自宅からの通いやすさも考慮しましょう。

転職エージェントを利用する

60歳以上の求人を探すときは転職エージェントを利用するほうが効率的です。
60代でも薬剤師の需要はありますが、20代や30代向けの求人に比べると、求人数はそれほど多くありません。自分ひとりで探すのは骨が折れます。

転職エージェントに登録すると、一般の求人サイトには公開されていない非公開の求人を紹介してもらえますし、そのなかからこちらの希望にあう求人をピックアップしてもらえます。
求人先の実際の雰囲気や仕事の実情など、さまざまな内部の情報を教えてもらうこともできます。
労働条件等の交渉もコンサルタントが代行してくれるため、わずらわしさがありません。

転職後のミスマッチを防ぎ、満足のいく再就職を実現させるために、ぜひ転職エージェントを利用してみましょう。

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まとめ

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60代薬剤師の年収は、それまで得ていた年収に比べるとかなり下がってしまう可能性があります。
それでも平均年収は500万円以上なので、一般に比べれば高収入だといえるでしょう。
定年後でも、まだまだ薬剤師の需要はあります。
資格を生かして、無理のない範囲で長く働ける職場を探してみてはいかがでしょうか。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
m3.com薬剤師会員への意識調査まとめや、日本・世界で活躍する薬剤師へのインタビュー、地域医療に取り組む医療機関紹介など、薬剤師の仕事やキャリアに役立つ情報をお届けしています。

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