隠岐の島における老人ホームなどの施設の営業方法
こんにちは!薬剤師キクオです。私は島根県にある離島。隠岐の島で薬局経営をしているアラサーの薬剤師です。昔ながらの地域の健康薬局として経営されていた薬局を引き継いで現在に至ります。また「地方創生」をキーワードに薬局経営以外の取り組みもしています。今回はこれから独立を考える薬剤師が知りたい「老人ホームなどの施設への営業方法」を隠岐の島における体験を元にお話していきます。独立を目指す薬剤師に読んでいただけたらうれしいです。それではいきましょう。
隠岐の島の施設を分類しよう
人口約1万2000人の離島、隠岐の島。老人ホームなどの施設はあるのでしょうか?答えはイエス、高齢者が多い地域だけあり、施設は島にこれだけありました。
- グループホーム5つ
- 特別養護老人ホーム3つ
- 介護老人保健施設1つ
グループホームは主に認知症の方が、共同生活をおくるための施設です。「認知症対応型共同生活介護施設」とも呼ばれ、専門スタッフの支援を受けながら自立した生活を目指す場所となっています。
特別養護老人ホームは介護を必要として在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設です。略して特養とも呼ばれます。比較的費用が安いのが特徴で、入所希望者が多く、申し込みをしてもすぐに入所できるとは限らないという特徴があります。看取りの対応も可能となっています。
介護老人保健施設は在宅復帰と在宅療養支援を行うための施設です。老健とも略されてリハビリを提供し、心身機能の維持改善の役割を担う施設とされています。介護や看護のサービスに加えて医師のサポートも受けられます。理学療法士や作業療法士などリハビリを行うスタッフが常勤しているのも老健の特徴の1つです。
都会と地方での施設の違いは連携の質
都会と地方における施設の機能役割の違いはありません。私は大阪でも薬局を経営しているので、そこで気が付いた大阪と隠岐の島の施設の違いをお話できればと思います。
「薬局がお薬を持っていく?薬局までお薬を取りに来る?」
関西の施設に関してはお薬を届けることが普通になっていました。ところが隠岐の島の場合は施設の従業員が薬局までお薬を取りに来ます。都心部は薬局と施設の連携の質が高いと思います。現状は都心の方が施設に対し薬局としての役割がより求められ、連携が進んでいます。一方で隠岐の島の施設はまだまだ薬局として介入するべき箇所が多く、薬の配達一つとっても遅れています。
施設によって薬局の関与ポイントは異なる
「薬に関わることはすべて薬局に相談をしてほしい」。そんな想いが私にはあります。剤形のこと、ちょっとした飲み合わせの相談から保存方法まで薬局に相談できるようになってほしいと思っています。
そのためには施設で働く看護師さんや医師、介護の担当者、施設長とのコミュニケーションは必須になると考えています。お互いのことを知らずになにかを依頼をしても対立してしまう恐れがあるでしょう。
個人的には施設によって薬局が関与するべきポイントが異なると思うので、ヒアリングをしながら話を詰めていく必要があるでしょう。隠岐の島の場合は薬局からお薬の配達をすると看護師さんらの手が合く時間が増えるため、これが施設営業のキッカケの1つとなりました。
実際に私が実践した施設営業方法
お薬の配達をどの薬局も実施していないことを把握していたので、薬局ができることを誰にどのように伝えるのかを考える必要がありました。これがつまり営業につながりました。
①施設の困りごとをあいさつとしてアポ
まずは施設の困りごとをリスト化するために「あいさつ」として面会を依頼していきました。電話でもOKですし、直接個人在宅に行ったときの隙間時間にあいさつに行くこともありました。薬局としてできること、施設が薬のことで困っているかどうかをヒアリングしてニーズを引き出しました。
②オーナーもしくは施設長もしくは看護師のトップに会えるようにアポ
次に施設の中で信頼をつかもうと考えました。
まずは施設のオーナーや施設長にアポを取ることを目標にしてあいさつをしに行きます。
私が実際に施設長に会って話した時に伝えられたのは「薬の管理などは看護師にも共有しておきます」ということです。つまり、現場においては看護師が一定の主導権を持っていることがわかりました。そこで看護師にも会うようにして、直接相談をやり取りする関係を作りました。
③具体的に次の日付を決めて実行する
一度お会いできたら、次回のアポ取りをすることが大切です。そして事前に質問されるであろう内容を整理しておきましょう。例えば会計は今まで通りか、締め日はいつか、振込かどうかなどお金に関わることは聞かれる頻度が多かったです。他には他科処方における一包化をできるかの質問も多かったです。ネガティブな回答をせずに迅速に答え「薬に関して頼りがいがある」印象を与えましょう。
まとめ
隠岐の島にも施設はあり、まだまだ薬局としてやれることは多いと感じました。人手不足に悩む離島の医療ですが、想いを持った薬剤師であれば、未来を切り開いていけると考えています。24時間対応が当たり前になるように、精一杯のできることを施設に提案してみると連携も上手くいくと考えています。少しでも老人ホームなどの施設営業の参考になれたら幸いです。