オンライン服薬指導とは?
少子高齢化が進む日本の医療の基盤再編のため、地域包括ケアシステムを根底に厚生労働省が掲げた「患者のための薬局ビジョン」。この方針にのっとって、2年に一度の診療報酬改定が行われています。薬剤師業務の見直し、評価制度の検討、薬局経営の変化など、日々改定に関するニュースを気にしている薬剤師も多いと思います。今後、薬局や薬剤師のあり方はどう変わっていくのか。今年の報酬改定の最新動向についてまとめました。
遠隔服薬指導は国家戦略特区で実証的に、
- 離島・へき地に居住する者が対象。
- 遠隔診療に基づく処方箋発行。
- 対面での服薬指導ができない場合に限り、テレビ電話による服薬指導を実施
――という条件で認められてきた。
対象地域は、愛知県、兵庫県養父市、福岡市。2019年9月に国家戦略特別区域法施行規則が改正され、離島・へき地以外でも、遠隔服薬指導が可能となりました。
遠隔医療とは、薬剤師による対面 での服薬指導義務の特例として、離島やへき地などの医療資源の少ない地域における対面での服薬指導ができない方々に対して、スマートフォンやパソコン等を用いて服薬指導(遠隔服薬指導)を可能としたもの。
厚生労働省は12月20日の中医協総会で、薬機法改正で可能となるオンライン服薬指導について、薬剤服⽤歴管理指導料または在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定を可能とすることを提案。同一薬剤師が対応することを原則とし、オンラインによる服薬指導の割合が一定以下であるなどの要件も設けます。
日本薬剤師会常務理事の有澤賢二氏は、「オンライン服薬指導は、あくまで対面での服薬指導を補完するもの」と念を押し、対象薬は既に対面で服薬指導をしている薬であり、新規の処方や処方変更の場合は対象外であるとした上で、厚労省の提案について「方向性はおおむね妥当だと考えている」と述べた。ただし、在宅患者の場合、プライバシー保護の観点から、患家に限定すべきであり、施設入居者へのオンライン服薬指導は認めない。また、⿇薬管理指導加算等の加算の対象としている医薬品は、対面による服薬指導が必要であり、実際には算定が想定されないので加算は不要ではないか――といった注文を付けた。全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、要件に「同一薬剤師が原則として対応」とある点について、「薬剤師と患者の信頼関係を担保することが前提だが、同一の薬剤師がずっと対応するのは、なかなか難しいだろう」などと述べ、かかりつけ薬局による対応も念頭に検討すべきだとした。
(外来・在宅患者のオンライン服薬指導「指針に準拠を」より引用)
【遠隔服薬指導の具体的な要件】
- 薬剤服用歴管理指導料に係る算定要件を満たすこと
- 患者の手元に薬剤が届いた後にも、改めて必要な確認を行うこと
- 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成 30 年 3 月厚生労働省)を参考に情報セキュリティ対策を講じていること
- お薬手帳を活用していること
- 患者ごとに作成する遠隔服薬指導に係る服薬指導計画に基づき実施されるものであること
- 服薬指導計画で策定される
①取り扱う薬剤の種類、
②遠隔服薬指導と対面による服薬指導の頻度やタイミング等については、患者のオンライン診療の利用状況にあわせて必要な見直しを行うこと
※(5)と(6)を、離島・へき地以外の要件として新たに追加。
詳細は、以下より本記事をお読みください。
外来・在宅患者のオンライン服薬指導「指針に準拠を」
2019年12月20日 (金)配信橋本佳子
(m3.com編集長)