「子どもの薬の誤飲事故」を防ぐために~孫を迎える高齢者宅でできる3つの対策
日ごろから何種類も薬を服用している高齢者は、自分が「飲み忘れ」や「飲み間違い」をしないように、あるいは自分の服薬が便利になるように、色々と自分なりに工夫をして薬を管理していることが多いと思います。しかし、その自分にとっては便利な管理方法が、夏休みに孫を家に招いた際には“薬の誤飲事故”のリスクに繋がってしまうことも珍しくありません。事実、0~2歳程度の子どもによる医薬品の誤飲事故は、帰省時期にあたる8月や12~1月の親類宅で増える傾向にあり1)、いつも通りの無防備な状態で孫を迎えるのは、ややリスクがあると言えます。
そこで今回は、高齢者の日常生活のどこに“子どもの誤飲リスク”に繋がる要因があるのか、具体的な注意喚起の声掛けをする際に重点的に押さえておきたいポイントを紹介します。
よくあるリスク1 薬のシートを「1錠」ずつに切り離して保管・管理している
1990年頃までは、薬のPTPシートはハサミなどを使わなくても「1錠」や「1カプセル」だけに切り離せる構造になっていました。しかし、「1錠」だけになった薬はPTPシートごと誤飲してしまう事故が多発したことで改善要望が出され2)、現在は「1錠」ごとには切り離せない構造になっています。
しかし、そんな改善がなされているにもかかわらず、やはり「1回分」がわかりやすくなるようにと、PTPシートをハサミで細かく「1錠」ずつに切り離して保管・管理してしまう人は結構おられます。こうした切り離しをしている場合、自分自身がPTPシートごと誤飲してしまうリスクにもなりますが、それに加えて「切り離した1錠を、気づかない内にどこかに落としてしまう」といったことも起こりやすくなります。こうした「床に落としていた1錠」を小さな子どもが見つけると、PTPシートごと誤飲する、あるいは薬を取り出して誤飲してしまう、といった事故に繋がる可能性があります。
つまり、薬を「1錠」だけのバラバラの状態に切り離して管理する方法は、自身の誤飲リスクを高めるだけでなく、落としても気づかず子どもに拾われてしまうリスク、さらに視認性も悪くなって3)飲み間違えるリスクなどにも繋がります。こうした習慣は、日頃からなるべく避けておくように指導することが大切です。
指導のポイント
☞薬は、「1錠」だけのバラバラの状態には切り離さない方が良い
☞孫が来る前には、床などに薬を落としていないか、しっかり掃除と片付けを行う