早見表あり:ステロイド外用薬の使い分けのポイントと強さランク

「ステロイド外用薬」の使い分けにおいて、最も基本となる基準が「薬の強さ(ランク)」です。しかし、このランクは医薬品のチューブには記載されておらず、また似たような名前が多いステロイド外用薬では取り間違いや混乱もよく起こります。そこで今回は、現場でもすぐ役立つ「ランク分け」の一覧表と併せて、このランクの意味や使い分けのポイントを解説します。
- 「ステロイド外用薬」の“強さ”のランク分類
- 「ステロイド外用薬」に保湿剤と混ぜると、ランクは“弱くなる”のかどうか
- OTC医薬品として販売されている「ステロイド外用薬」は、どのランクの薬か
ステロイド外用薬の「ランク」分け
「ステロイド外用薬」の“強さ”は、日本皮膚科学会などが分類している5段階のランク分け1)に基づいて評価するのが一般的です。
強さ | 製剤 |
Ⅰ群(Strongest) | クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート) ジフロラゾン酢酸エステル(ダイアコート/ジフラール) |
Ⅱ群(Very Strong) | ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート) ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP) モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ) ジフルプレドナート(マイザー) フルオシノニド(トプシム) アムシノニド(ビスダーム) ジフルコルトロン吉草酸エステル(ネリゾナ/テクスメテン) 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデル) |
Ⅲ群(Strong) | デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ) ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロンV/ベトネベート) デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム) デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー) フルオシノロンアセトニド(フルコート) |
Ⅳ群(Medium) | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス) アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ) クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート) ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド) トリアムシノロンアセトニド(レダコート) |
Ⅴ群(Weak) | プレドニゾロン ヒドロコルチゾン |
「ステロイド外用薬」活用のポイント①:強さのランクで明確な使い分けを行う
基本的に「ステロイド外用薬」は、このランク分けに基づいた使い分けを行います。具体的には、皮膚が厚く吸収効率の悪い手足の強い炎症には強力なⅠ群やⅡ群の薬を、逆に皮膚の薄い顔などの軽い炎症にはやさしめなⅣ群の薬を…といったように、“患部の状況”に応じて必要かつ十分な強さの薬を選択することになります。
そのため、手足と顔に処方された2種類のステロイド外用薬を、患者さんが間違って“逆”に使ってしまうことがないよう、服薬指導の際にはそれぞれの薬の強さと使い分けをしっかりと伝えることが重要です。場合によっては、薬のチューブに「手足用」「顔用」といったシールを張り付けるなど誤用対策を行うことも必要です。