薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2023年9月26日 児島 悠史

新型コロナの抗ウイルス薬、1回の治療にかかる薬代はいくら?

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新型コロナの治療薬、「自己負担」になるとどのくらいの値段になる?

これまで、新型コロナウイルス感染症の治療にかかる費用は全額が公費によって賄われてきました。そのため患者さんにとっては、どんな薬が処方されていても薬局窓口で会計をする必要がなく、「薬の値段」を気にする機会はありませんでした。しかし、2023年5月に、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げられたことにより、こうした公費負担も終わることになります。薬代については、経過措置として9月末までは公費負担の対応が続けられていましたが、2023年10月からは所得に応じて3,000~9,000 円、2024 年4 月以降は他の疾患と同様に1~3割の窓口負担が発生するようになる予定です。

このとき注意したいのが、新型コロナウイルス感染症の治療薬、特に「抗ウイルス薬」には非常に高額なものが多い、という点です。たとえば、季節性インフルエンザでも「抗ウイルス薬」を使うことがありますが、新型コロナウイルス感染症に対する「抗ウイルス薬」と比べると、成人の通常治療1回にかかる薬代は大きく異なります(下表)。

※季節性インフルエンザの「抗ウイルス薬」の値段

代表的な薬 成人の通常量にかかる薬代 計算式
タミフル
(オセルタミビル)
2,302円
⇒3割負担で690円程度
75mgカプセル(230.20)
⇒1cap(230.20)×2回×5日
リレンザ
(ザナミビル)
2,554円
⇒3割負担で770円程度
1ブリスター(127.7)
⇒2ブリスター(255.4)×2回×5日
イナビル
(ラニナミビル)
4,359円
⇒3割負担で1,300円程度
1キット(2179.5)
⇒2キット(4359.0)×1回
ゾフルーザ
(バロキサビル)
4,877.6円
⇒3割負担で1,460円程度
20mg錠(2438.8)
⇒2錠(4877.6)×1回

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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