インフルエンザのワクチン、「今シーズンは接種した方が良い?」と聞かれたら…?~2023-2024シーズンの状況
最近、あまりインフルエンザを見かけないのは何故?
季節性インフルエンザは、毎年秋から冬にかけて流行するウイルス性の感染症です。ところが、最近はあまり耳にしなかった人も多いと思います。ここ数年で現場に出てきた新人薬剤師にとっては、「インフルエンザ」はまだ見ぬ未対応の疾患である、なんてことも珍しくありません。実際、下記のように季節性インフルエンザはここ2~3シーズンほど、ほとんど流行することはありませんでした。
▲厚生労働省「インフルエンザ報告数推移」より
これには、2020年初頭に「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」の流行が始まって以降、日本国民が手洗い、マスク着用、換気、人混みを避けるといった基本的な感染対策を極めて強力に行ってきたことが影響していると考えられます。実際、イギリスでもインフルエンザによる小児の入院が94%減少した1)、というデータが報告されているなど、新型コロナウイルス感染症への対策がインフルエンザの流行も抑え込んだという事例は、世界でも共通した現象として確認されています。つまり、ここ最近インフルエンザがほとんど流行しなかったのは、新型コロナの対策を物凄く頑張っていたからだ、と言えます。
じゃあ今シーズンもインフルエンザは流行しない?
・・・では、「今シーズンもまた引き続きインフルエンザは流行しないのではないか」、「であればインフルエンザのワクチン接種もする必要はないのではないか」、と考える方は非常に多いと思われます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。