新型コロナ「抗原検査キット」、医療用・一般用・研究用の精度と“偽陰性”に対する注意
みなさんはじめまして、私はチェーン薬局で勤務しているヤクイノックスといいます。
新型コロナウイルスの「抗原検査キット」を薬局でも販売できるようになって、はや二年が経過しました。薬局やドラッグストアに勤務している薬剤師の方でしたら、一度は「抗原検査キット」について販売したり相談を受けたりしたこともあるのではないでしょうか?
そんな「抗原検査キット」ですが、その扱い方や性能について、まだまだ世間では正確に理解されていないことが多いようです。そこで今回は、薬剤師として押さえておきたい、「抗原検査キット」に関する基本をおさらいしたいと思います。
ポイント1:「抗原検査」の精度について
「抗原検査」は、その精度の問題から、実際には新型コロナウイルスに感染している人でも“陰性”という結果になってしまう(偽陰性)ことが少なくありません。そのため、“陰性”という結果が得られても“感染していない”ことの証明にはなりません。
ところが、検査で陰性=感染していないことを確認できた、と勘違いした人が出歩き、感染を拡大させてしまった、というケースはあちこちで起きています。実際、2023年9月に公表された「医薬品販売制度実態把握調査」によると、「抗原検査」を“陰性証明”、つまり新型コロナウイルスに感染していないことを確認する手段としては用いることができない、ときちんと薬局で説明されていたのは3割程度だった、とされています。年末から年始にかけて帰省する方も多く、抗原検査キットの需要が高まることが予想されます。「抗原検査」のキットを販売している薬剤師は、まずはこの偽陰性の可能性についてしっかりと説明する必要があります。
また、偽陰性とは異なりますが、抗原検査キットの陽性の線が薄いため、陰性と勘違いしてしまっている事例も多いようです。
偽陰性はなぜ起こる?
この偽陰性が生じる主な理由は以下の通りです。