薬剤師の気になるトピックをお届け!今月の特集

更新日: 2024年1月17日 児島 悠史

おすすめ風邪薬の選び方.2~血管収縮薬・気管支拡張薬に期待できる効果と睡眠への影響

おすすめ風邪薬の選び方.2~血管収縮薬・気管支拡張薬に期待できる効果と睡眠への影響メインの画像1

前編では、「自宅でゆっくりと療養する」ことを目的に風邪薬を使う場合、睡眠を妨げる「カフェイン」の入っていない商品を選ぶのが良い、という話を紹介しました。しかし、「カフェイン」を避けさえすれば睡眠への悪影響を防げるかというと、そういうわけでもありません。風邪薬によく配合されている「血管収縮薬」や「気管支拡張薬」もまた、その中枢神経興奮作用によって睡眠を妨げる可能性があるからです。

そこで今回は、「血管収縮薬」や「気管支拡張薬」に期待できる効果を踏まえて、どんな時に使う薬か、どんな時には避けた方が良いのか、風邪薬を選ぶ際のポイントを解説します。

風邪薬の「血管収縮薬」に期待できる効果と、睡眠への影響は?

風邪(ウイルス性の上気道感染症)の90%以上で「鼻水」と「鼻づまり」の症状が現れる1)ため、ほぼ全ての風邪薬にはこの“鼻症状”に対する薬が配合されています。通常、風邪による「鼻水」の症状には「鎮静性の抗ヒスタミン薬」が使われます(※眠くなりにくい非鎮静性の抗ヒスタミン薬ではほとんど効果を期待できない2))が、抗ヒスタミン薬だけでは鼻づまりを十分に解消することができません2)。そのため、多くの風邪薬には抗ヒスタミン薬と合わせて「鼻づまり」の症状を解消するための「プソイドエフェドリン」や「フェニレフリン」といった血管収縮薬が配合されています。

☞ちょっと余談

血管収縮薬の「フェニレフリン」は、アレルギー性鼻炎による鼻づまりにはほとんど効果がないという報告が数多くあり3,4)米国FDAも「効果なし」と結論づけた、というニュースが今年9月に話題になりました 。しかし、風邪の鼻づまりに対しては多少の効果が期待できそう5)、という報告もあります。

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児島 悠史
こじま ゆうし

薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。
2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。
「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。
主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。

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