抗ヒスタミン薬の眠気は効き目と相関する？眠気はどの程度のもの？～眠くならない治療を目指すためのポイント
前回の記事では、「抗ヒスタミン薬」ではなぜ眠くなるのか、そのメカニズムから「眠くなりやすい薬」と「そうでない薬」の差、眠気の副作用はどんな使い方をした時により出やすいのか、といったことを解説しましたが、今回は患者さんからもよく尋ねられる“眠気と効果の関係”や、“眠気の程度”について押さえておきたいポイントを紹介します。
眠くなりやすい薬ほど、効き目も強い？
「よく効く薬は副作用も強い」というイメージから、抗ヒスタミン薬に関しても「眠くなりやすい薬の方がよく効く」と考え、花粉症治療においても“わざわざ眠くなりやすい薬”を選ぼうとする方もおられます。しかし、抗ヒスタミン薬の眠気は、薬が血液脳関門を通過して脳のヒスタミン受容体をブロックすることで生じるのに対し、鼻炎などの症状を抑える効果は鼻粘膜のヒスタミン受容体をブロックすることで得られます。
つまり、抗ヒスタミン薬による眠気と抗アレルギー効果の発生機序は全く違う場所で起きている別の話だということです。ということは、別に「眠気の副作用と抗アレルギー効果は相関する」わけではなく、「眠くならずによく効く薬」や「眠くなるしあまり効かない薬」というものがいくらでもあり得ることになります。
実際、抗ヒスタミン薬の効果と眠気の副作用に相関関係はなく1)、花粉症治療において「非鎮静性」の抗ヒスタミン薬で特に優劣もない2)とされています。花粉症治療においては、敢えて眠くなる薬を選ぶ必要はなく、純粋に“眠くなりにくい薬”を選んでもらえれば良いのは、これが理由です。
敢えて「鎮静性」の薬を使うのはどんな時・・・？
では、眠くなりやすい「鎮静性」に分類される抗ヒスタミン薬には全く出番がないか、というと、そういうわけでもありません。
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