高尿酸血症治療薬「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の違いと注意点とは?

- 「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の違いとそれぞれの薬の注意点
- 現在の日本では「尿酸生成抑制薬」の方がよく使われている理由
高尿酸血症の薬物治療では、薬で「尿酸値」を下げることが基本戦略になりますが、これには主に「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」が使われます。それぞれ、どういった特徴と違いがあり、どのように使い分けられているのか、基本的なところをおさらいしておきましょう。
高尿酸血症の薬は「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」の2つに分類される
高尿酸血症は、高くなっている「尿酸値」を下げることで治療を行いますが、それには大きく分けて2つの方法があります。1つは“体に蓄積している尿酸の排泄を促す”こと、もう1つは“体内で新たに作られる尿酸の量を減らす”ことです。現在、高尿酸血症の治療薬として用いられている薬も、基本的にこの2つのどちらかに分類されます。
※「尿酸排泄促進薬」と「尿酸生成抑制薬」一覧
尿酸の排泄を促す薬 (尿酸排泄促進薬) |
プロベネシド(ベネシッド)、ベンズブロマロン (ユリノーム)、ドチヌラド(ユリス) |
尿酸の生成を減らす薬 (尿酸生成抑制薬) |
アロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット (フェブリク)、トピロキソスタット(トピロリック) |
一般的に、体内からの尿酸排泄が滞っているタイプには「尿酸排泄促進薬」、体内での尿酸生成が過剰になっているタイプには「尿酸生成抑制薬」を使うのが、作用メカニズム的にも合理的です。
しかし、“扱いやすさ”の点から、どちらのタイプの高尿酸血症であっても「アロプリノール」や「フェブキソスタット」といった「尿酸生成抑制薬」が選ばれることが多くなっています。
「尿酸生成抑制薬」が扱いやすい理由①劇症肝炎のリスク
「尿酸排泄促進薬」の「ベンズブロマロン」では、劇症肝炎を起こした症例が報告され、2000年にイエローレター(緊急安全性情報)が出されました1)。
このことから、「ベンズブロマロン」を使用する際には、投与開始から6ヵ月間は必ず定期的な肝機能検査を行う必要があります2)。
こうした制限のない「アロプリノール」や「フェブキソスタット」といった「尿酸生成抑制薬」は、高尿酸血症の薬物治療として最初に選びやすい、というメリットがあります。