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薬剤師のいまを知るトピックまとめ

更新日: 2020年9月27日

これからの薬局経営に必要なこと

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薬局は収益の大部分を保険調剤が占めており、経営は診療報酬改定に大きな影響を受けます。診療報酬改定には、「国が薬局業界に求める役割」についてメッセージが込められており、そのメッセージを読み取り体制を整えることが薬局経営において非常に重要です。
近年、国が薬局に求めていることは「対人業務への注力」です。
薬局薬剤師の本来の業務とは、服薬アドヒアランスを高める服薬指導と服薬管理、そして医師をはじめとする他職種との連携です。単に薬を渡すだけの「対物業務」に終始する薬局・薬剤師は淘汰されていき、「対人業務」として充実した服薬指導や服薬管理を提供できる薬局・薬剤師のみが生き残れる時代が近づいています。
今回は、薬局業界に求められてきた役割の変遷を振り返るとともに、対人業務を実践している企業の取り組みについてご紹介します。

薬局経営を左右するのは国が求める役割への対応力

前述のように、薬局は収益の大部分を保険調剤が占めています。そのため、厚生労働省が薬局に求めている役割を読み取り、体制を整えることが大切です。ここで、薬局業界に求められてきた役割の変遷を振り返ってみましょう。
1951年の「医薬分業法案」提出以降、長らく薬局業界の最重要課題は「医薬分業の推進」でした。1974年度診療報酬改定により、院外処方の経済的インセンティブが大きくなったことで、医薬分業率は伸長。2015年には分業率70%を超え、厚生労働省は医薬分業の量的目標は達成したという見方を示しています。
医薬分業が進むなかで取り沙汰されるようになったのが、「分業に対する患者メリットの薄さ」です。薬剤師は「薬を渡すだけ」の対物業務に終始しており、「薬を飲んだ後までフォローする」などの対人業務を担っていない、と世間から厳しい批判を受けました。こうした批判の回答として、2015年10月に厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン」を公表。「対物業務から対人業務への転換」という方向性を明記し、(1)服薬情報の一元的・継続的管理とそれに基づく薬学的管理・指導、(2)24時間対応・在宅対応、(3)かかりつけ医など医療機関等との連携強化、を薬局・薬剤師に求めました。
この方針は現在も変わらず、2019年の改正薬機法や2020年度診療報酬改定でも一貫して示されています。

薬剤師がおさえておきたい 2016年度調剤報酬改定
分業率が70%に到達したものの、分業に対する患者メリットの薄さや調剤医療費の高さが批判の的に。

転換期に問う「薬剤師とは何をする人か?」
「薬剤師とは何をする人か?」医師、薬局経営者、両方の立場から狭間 研至氏が語る。

「対人業務」へシフトできない薬剤師・薬局は厳しい時代に
薬剤師の業務が「対物から対人へ」と急速に変化するいま、国民・社会に求められる薬剤師の役割、あるべき薬剤師像とは。

対人業務を重視した薬局経営とは

対物業務から対人業務への転換が求められているいま、経営者は何を重視して薬局経営に臨んでいるのでしょうか。
株式会社阪神調剤薬局の岩崎代表取締役社長が重視しているのは、「接遇教育」。「患者さんの来店時・退店時は従業員がドアを開ける」「薬を渡すときは、患者さんをカウンターに呼ぶのではなく、薬剤師が患者さんの元に向かう」など、独自の接遇を徹底しています。
岩崎社長は、「患者さんが薬局や薬剤師のもとを『訪れて』薬をもらい説明を受けるのではなく、薬局や薬剤師が患者さまを『お迎え』する姿勢があって初めて、患者さんは『自分のことを考えてくれている』と感じられる」と語ります。

株式会社ファーコスの島田代表取締役社長は、「あの薬剤師さんがいる薬局が良い」と患者さんに思ってもらえる薬剤師・薬局になることが重要だと指摘します。その一環として、薬剤師の健康相談機能の向上に取り組んでいます。OTC医薬品の取り扱いを増やしたうえで、ドラッグストアの登録販売者では難しい処方薬とOTC医薬品の飲み合わせに関する相談などに応える薬剤師を育てるなど、「地域の健康相談窓口」としての機能を強化しています。

患者さまに寄り添う「医療人」としての信念
創業以来変わることのない「医療」の提供者としての念(おも)い──阪神調剤薬局が目指す「街のかかりつけ薬局」にはお客さまへの篤い心遣いがある。

薬のスペシャリストとしての職域を拡大
患者から「選ばれる薬局」になる──ファーコスのビジョンの根底にある、薬剤師の存在意義追求への強い想いを知る。

薬局経営で在宅医療を重視する理由

対人業務を形づくる大きな要素のひとつに「在宅医療」があります。福岡や首都圏を中心に薬局運営を行っているHyuga Pharmacy(ヒューガファーマシー)は2008年の創業当初から在宅医療に注力しています。その理由は、「少子高齢化とともに在宅医療は薬局の必須業務になる」という創業者の黒木社長の確信でした。
当時は、薬剤師による訪問薬剤管理が評価されはじめたばかりの黎明期。しかし、その後は地域包括ケアシステムの推進や「患者のための薬局ビジョン」の発表などを経て在宅医療の重要性は年々高まり、在宅患者調剤加算の新設など診療報酬でも評価がされるようになりました。
社会のニーズから国が求める薬局像をいち早く読み取り、「対人業務」の薬局経営を実践しているヒューガファーマシー。在宅医療にかける熱い思いや、在宅医療に従事する薬剤師のやりがいなど、是非記事を読んで確認してください。

「薬剤師の在宅ありき」に込められた薬局経営者の想い
薬局で患者さんを待っているだけではなく、「患者さんのもとへ駆けつける薬局」でありたい。在宅医療に注力する理由は、創業者の熱い思いにありました。

まとめ

2019年の改正薬機法や2020年度調剤報酬改定を受けて、対物業務だけに終始する薬局の経営は成り立たない時代に入ってきています。
また、2019年の改正薬機法では「機能別薬局制度」が導入されました。機能別薬局には「地域連携薬局」と「専門医療機能連携薬局」の2種類があります。「地域連携薬局」は入退院時や在宅医療に他医療提供施設と連携して対応できる薬局が、「専門医療機関連携薬局」はがん等の専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬局が認定されます。
機能別薬局になれない薬局は、他の医療職・医療機関との連携に消極的、つまり対人業務に注力していない薬局と捉えられ、生き残りが厳しい状況になる恐れもあります。どちらの機能別薬局を目指して舵を切るのか、薬局経営者の決断が求められるでしょう。

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