【薬剤師の資格】がん専門薬剤師の資格取得体験記
「がん専門薬剤師」とは?
がん専門薬剤師に関する定義などは様々あると思いますが、私個人の意見としては、がん患者さんに寄り添い、より良いがん薬物療法を安全・安心に提供できる薬剤師だと思います。そのために、患者さんの生活背景や性格、趣味などを把握したうえで、現在行っているがん薬物療法は適正なのか、副作用が出現したときにはどのような提案ができるかなどを考えながら患者さんと面談しています。
「がん専門薬剤師」取得のきっかけ
私は現在300~400床程度の病院に勤務しております。資格取得のきっかけは、病棟業務を行っていた際に、がん化学療法で治療していた患者さんから、副作用を少なくしてほしいと言われたことでした。
なんとか抗がん薬の副作用を軽減させて、長く治療を継続してもらうためには、医師や看護師などの様々な職種と協力していくことが重要です。しかし、多職種とのカンファレンスでコミュニケーションを図るたびに、自分自身の勉強不足を痛感させられました。
「がん専門薬剤師」の取得を目指すことで、自分自身の知識を増やし、様々な症例に向きあえるのではないかと考え、がん専門薬剤師の取得を決心しました。
がん専門薬剤師は取得後も更新要件があるため、今でも患者さんと向き合いながら、日々知識を蓄えています。
仕事と勉強を両立させるコツは?
私は子育てもしており、勉強時間を捻出するのには苦労しました。そのため、仕事の時間帯に、参考書などを開けるタイミングがあれば、参考書を開き、現在受け持っている症例と勉強している部分を重ね合わせて勉強していきました。
また、調剤や注射の払い出し、監査を行っているときも、手間はかかりますが、必ずがん種、stage、何次治療か、処方意図、検査値、CTCAEのGrade評価などを確認したうえで調剤などを行っていました。
プライベートの時間をすべて勉強に費やすことができない状況でしたので、子供が眠っている時間帯も勉強の時間にあてました。睡眠時間を確保するために、子供と共に入眠、翌朝午前3:00頃に起床し、5:30頃までの約2時間半の勉強時間を確保していました。
仕事と勉強でオーバーラップする部分があるため、実務の中で勉強するとともに、生活の中でずらせる時間を移動させて勉強時間を確保してみてはどうでしょうか。
「がん専門薬剤師」の申請に必要なこと
がん専門薬剤師の申請に関して様々な要件がありますが、私が重要だと感じたのは日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師、日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上のいずれかの認定を受けていることだと思います。
例えば、今、目の前にいる患者さんの症状が、抗がん薬の副作用によるものなのか、それ以外なのかを評価するためにはがんや抗がん薬以外のことも知っておく必要があります。そのような評価をするための最低限の知識が備わっている証明になるのが上記のような資格だと思います。
また、そのような評価を行い、提案をすることで、薬学的介入を伴った症例報告50症例が提出できるのです。
詳しくは、一般社団法人日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師認定制度規程 を確認してください。
「がん専門薬剤師」試験会場での心構え
資格を取得すると決断したのは自分自身なのですが、試験会場に入ると変なプレッシャーに襲われました。
その際に、自分が勉強した参考書などを試験会場に持参しており、その参考書を眺めるだけでも落ち着きを取り戻すことができたので、何かの「心の拠り所」を持っていくといいかもしれません。