服薬指導にも生かせる「中医学から見る疾患」

更新日: 2022年11月28日 河本 ちかこ

「めまい」中医学からみるとどうなるの?

「めまい」中医学からみるとどうなるの?メインの画像1

普段の生活でよく起こるめまいには、いろいろなタイプがあります。女性のほうが男性よりも起こりやすいと言われることをご存じかの方も多いかと思います。これは、めまいを引き起こす原因が関係していると考えられます。

具体的に中医学的にどのような症状がどのような原因から引き起こされるかを見ていく前に、まずは簡単に西洋医学の観点からめまいのタイプを見ていきたいと思います。

西洋医学から見た「めまい」

まず、よく言われるのがぐるぐる回るような「回転性のめまい」です。これは、よく体位を変えたときなどにぐるぐると天井が回ったり、目が回ったりするような「めまい」になります。発症の原因は、体の平衡を保つための機能が何らかの原因によりうまく作動できていないことによると考えられています。皆さんご存じのように、回転性のめまいは耳の異常からくるものと脳の異常からくるもの、大きく2つに分かれると言われています。

ほかには、体がふわふわ浮いているような感覚からくるめまい。浮動性、動揺性のめまいと言われていますが、これは脳の血管に障害があることなどから起こることが多いとされています。また、このタイプの原因として考えられるのは高血圧やうつ病などがあります。

最後に、血圧の変化によるめまい。立ちくらみなどがこれに当たりますが、急に目の前が真っ暗になったり、頭から血の気が引いたりするような感覚がその特徴です。

中医学から見た「めまい」

さて中医学では、これらの「めまい」は精神的な原因や生活習慣によることで起こるとされており、「風」「痰」「虚」にめまいの原因と言われており、「肝・脾・腎」が関係しています。

「肝」は自律神経や全身の血液循環をコントロールする働きがあります。そのため、その肝が不調をきたすと自律神経の働きが乱れ、血流がうまく循環しなくなり、めまいを引き起こすと言われています。また、肝は精神的なストレスとも深く関わっているので、ストレス性のめまいなどのこの肝が犯されることにより生じると考えられます。ほかにも、熱が中にこもることや上気不足などもめまいの原因と考えられています。

またほかにもめまいは「痰湿」の体質の人に最もよく起こる症状と言われています。これは、体内の余分な水分が頭部で脳髄液や三半規管のリンバ液がうまく循環するのに悪影響を与えることによるからだと考えられています。

水分以外にも腎は耳と深くつながっていると考えられているので、腎が弱ると耳が聞こえなくなったり、内耳の障害が起こったり、めまいを引き起こしたりすると考えられています。この腎精の不足は老化や慢性疾患などによって起こることが多いと言われています。

症状別のめまいの原因と中医学的なアプローチ

では次に具体的に症状別の原因とその対処法を考えていきたいと思います。

めまいと一緒に耳鳴りがしたり、イライラしたり、顔が火照るといった症状が伴うひとはストレスなどにより肝気が上に上がってしまい、それを鎮めることができない状態にあると考えられます。この状態を「肝火上炎」と言いますが、この状態になると肝火が頭などに上がってしまい、それによりめまいが引き起こされるのです。このタイプの人は「加味逍遙散」などを用いたり、食べ物では安心作用をもつ竜眼肉やジャスミンなどを用いたりすると軽減されるとされています。

ほかに朝にめまいがひどく、起きることができないといった症状が現れるひとは気血両虚のタイプの人だと考えられます。このタイプの人は気虚または血虚により脳へうまく栄養が運ばれなく、脳内栄養不足によってめまいを引き起こしていると考えられます。このような症状の人は体の滋養するもの、例えば補中益気湯、食べ物では山芋などを中心にとるとよいでしょう。

また、ほかにも不眠や足腰の疲れを伴うめまい症状がある人がいますが、こういった人は腎精が不足していることによって引き起こされるめまいと言えるでしょう。こういった人も気血両虚の人と同様に脳への栄養不足が原因でめまいを引き起こしていると思われます。このタイプの人は腎を補う食事を取ることで改善されることが考えられます。腎を補う食材といっても難しいですが、黒キクラゲや黒ごま、黒豆などの黒色の食材がよいとされています。

最後に体内の水分調整がうまくいかない痰湿体質のひともよくめまいを起こしがちです。このタイプの人は頭が重い、汗をかきやすいといった体質の人です。このタイプのひとは体の中に停留している水分を外に出すことが必要なので、体を温めたり、利水効果のあるような食事を取ったりすることで改善されることがあります。

このように、そのタイプにより対処方法が異なってくるので、患者さんの状態がどのタイプになるかお伺いするとちょっとしたアドバイスができるかもしれませんね。

参考文献
「漢方294処方生薬解説」根本幸夫監修 じほう
「方剤学」東洋医学健康会 神戸中医学院
「図説 中医学概念」汪先恩著 山吹書店
ほか

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

こちらもおすすめ

河本 ちかこの画像

河本 ちかこ
かわもと ちかこ

薬科大学を卒業後外資系企業にてMR、新製品企画部にて勤務。その後、企業の経営を学ぶべく大学院でMBAを取得する。MBA取得後は医薬品業界の市場分析などを執筆する傍ら薬膳アドバイザー、食育インストラクターなどの資格を取得。健康な体は日々の食事からをモットーに、現在は薬局薬剤師として勤務しながら中医学の見識を深めるために中国人医師のもとで勉学にいそしんでいる。

キーワード一覧

服薬指導にも生かせる「中医学から見る疾患」

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

25万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 糖尿病 調剤報酬改定 薬物療法・作用機序 服薬指導 派遣薬剤師 医療過誤・ヒヤリハット 漢方 ライフ・雑学 年収・待遇