薬学生の就活ガイド・薬剤師に人気の就職先の選び方と就活スケジュール
薬剤師は就職に困らないと言われていますが、誰にとっても就職活動は初めての経験です。
また、薬学生は5年生になると実習が始まって忙しくなりますし、6年生になれば国家試験の準備もしていかなければなりません。
実習や国家試験対策で手一杯なのに、並行して就活をどのように進めればいいか、不安に感じている薬学生も多いのではないでしょうか。
ここでは、希望の就職をかなえるためにどのように就活を進めればいいのかについて解説します。
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薬学生に人気の就職先
新卒の薬学生に人気なのはどの就職先なのでしょうか。
職場にはそれぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。
自分の適性や、これからのキャリアプランに応じて選ぶことが重要です。
ここからは、薬学生が多く就職する職種について、それぞれのメリット・デメリットと就職を成功させるポイントについて解説します。
病院
新卒の薬剤師に人気なのが病院です。
病院のメリット
- 臨床の現場で医師や看護師と連携しながら患者さんの治療に貢献できる。
- 患者さんと向き合いながら服薬指導を行い、その後の治療経過を確認できる。
- 医療現場での経験が積めるため、薬剤師としての専門性を高めやすい。
- 注射剤など調剤薬局で経験できない薬剤を扱える。
病院のデメリット
- 年収が他の職場と比べて低い傾向がある。
- 夜勤や日直がある病院では、勤務形態が不規則になりやすい。
- 勤務時間が変則的だったり、患者さんの病状に直接関わったりするため、身体的・精神的な負担が大きいことがある。
病院の就職ポイント
- 臨床経験を積みたい人やチーム医療に興味がある人に向いている。
- 特に大学病院や総合病院では新卒のときが最大の就職のチャンスになるので、しっかり対策して就職活動を行う。
調剤薬局
薬剤師が最も多く働いていて、選択肢が多いのが調剤薬局です。
調剤薬局のメリット
- 幅広い処方箋に触れることで、さまざまな医療や医薬品に関する知識を深められる。
- 患者さんとのコミュニケーションをとる機会が多く、地域医療に貢献できる。
- 平日昼間の開局が基本、日曜祝日は休日で、時間の面で働きやすい。
- 薬局の数が多く、自宅の近くで探しやすい。
- 調剤スキルが身につくので、その後の転職が有利になる。
調剤薬局のデメリット
- 処方箋の内容が門前となっているクリニックに偏る場合、身につけられるスキルや知識が限定的となる。
- 少人数の職場では人間関係の問題が生じた場合に逃げ場がない。
調剤薬局の就職ポイント
- 地域密着型で働きたい人や安定した勤務時間を求める人に向いている。
- 薬剤師が最も多く働いている職場であり、比較的就職しやすい。
ドラッグストア
近年店舗数が増えているのがドラッグストアです。
ドラッグストアのメリット
- 調剤併設の店舗であれば、調剤スキルも高められる。
- 医薬品以外にも化粧品や日用品など幅広い商品知識を得られる。
- 初任給が高め。キャリアパスも比較的多く、高年収をねらいやすい。
- 店舗数が多く、自宅の近くで就職先を探しやすい。
- 店舗経営などのおもしろさを感じられる。
ドラッグストアのデメリット
- 接客業務が多いため、コミュニケーションスキルが求められる。
- OTC専門のドラッグストアだと調剤スキルが身につけられない。
- 年中無休で営業時間が長いので、働く時間が不規則。
- 店舗によっては忙しく、労働時間が長くなることもある。
ドラッグストアの就職ポイント
- 接客が好きな人や、店舗運営に興味がある人に向いている。
- 自分がドラッグストアのどのような面で貢献したいかを具体的にアピールする。
製薬会社
薬学部での研究経験が活かせる職場として人気なのが製薬会社です。
製薬会社のメリット
- 新薬開発などに研究スキルを活かせる。
- 新薬を開発することで医療の進歩に貢献できる。
- 給与水準が高く、福利厚生も充実している。
- MRはインセンティブがあり、高年収が期待できる。
- 勤務時間が安定していて、土日祝が休み。長期休暇もある。
製薬会社のデメリット
- 高度な専門性が必要。職種によっては大学院卒でなければならない。
- 募集人数が少なく、競争率が高い。
- 調剤経験ができないので、転職で不利になることがある。
製薬会社の就職ポイント
- 研究開発志向の強い人や新薬開発で社会に貢献したい人に向いている。
- 研究職を希望する場合は大学院へ進学する。
治験関係の企業
新薬開発というと製薬会社が思い浮かびますが、治験関係の企業である治験実施機関(CRO)や治験施設支援機関(SMO)でも関わることができます。
治験関係企業のメリット
- 新薬の開発プロセスに携わることができ、社会への貢献度が高い。
- 給与水準が比較的高く、福利厚生も充実している。
- 勤務時間が安定していて、土日祝が休み。長期休暇もある。
治験関係企業のデメリット
- 書類作成の仕事が多く、スケジュール管理能力が求められる。
- 医療機関との調整業務にストレスを感じる場合もある。
- 募集人数が少なく、競争率が高い。
- 調剤経験ができないので、転職で不利になることがある。
治験関係企業の就職ポイント
- 新薬開発や臨床試験に興味があり、社会に貢献したい人に向いている。
- コミュニケーション能力と調整力が求められる。
一般企業
薬剤師免許を活かして、医療現場ではなく化粧品メーカーなどの一般企業で働くという選択肢もあります。
一般企業のメリット
- 薬剤師免許を医療業界以外で活かすことができる。
- 接客のない仕事をすることができる。
- 薬剤師免許に対して資格手当がついて高年収が見込める。
- 勤務時間が安定していて、土日祝が休み。長期休暇もある。
一般企業のデメリット
- ルーティンワークが多く、細かさと粘り強さが必要。
- 募集人数が少なく、競争率が高い。
- 調剤経験ができないので、転職で不利になることがある。
一般企業の就職のポイント
- 一般企業で安定して働きたい人向け。
- 対象となる企業が少ないので粘り強く探す。
- 自己分析で自身の適性を見極めておく。
公務員
公務員にも薬剤師を対象とした募集があります。
公務員のメリット
- 給与と福利厚生が安定しており、定年まで見通して働くことができる。
- 社会的に貢献度の高い仕事をすることができる。
公務員のデメリット
- 就職するためには公務員試験を受けて合格しなければならない。
- 募集人数が少なく、競争率が高い。
- 初任給は民間企業より低い。
- 定期的に転勤や配属先の異動がある。
- 調剤経験ができないので、転職で不利になることがある。
公務員の就職ポイント
- 安定志向で地域に貢献したい人向け。
- 公務員試験対策を早期から計画的に進めておく。
薬学生の就活スケジュール
薬学生は勉強に追われていますが、5年生になると実習も始まり、ますます忙しくなります。
では、就職活動はどのように進めるのがいいのでしょうか。
まず、就職活動に関わる全体のスケジュールを把握しておくことが大切です。
どの時期に何をすればいいかを把握し、きちんと準備して動いていくことを心がけましょう。
就活はいつから始める?
薬剤師の就職活動はいつから始めるのがいいのでしょうか。
5年生の実習が終わってから就職活動に本腰を入れようと思っている人もいるかもしれません。
薬剤師が就職に強いというのは事実で、就職先にこだわらなければ新卒で就職できないということはほぼ起こりません。
ただ、希望の職場に就職するためには、早めに準備してスタートしておく必要があります。
5年生の前半から就職活動を始めれば、余裕をもって就職先について考えることができます。
4年生のCBTとOSCEは実務実習のためのハードルですが、無事クリアしたら就職に対しても意識を向けていくとよいでしょう。
では、具体的にどのような活動をしていけばいいか、時期ごとに詳しくみていきます。
1.自己分析・業界研究(5年生春~冬)
就職先を決める際には、就職先の知名度や企業規模、給与が気になるという人が多いのではないでしょうか。
しかし、そのような外的な条件で決めてしまうと、実際に働き始めたあとに「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
ストレスなく自分の能力を活かして働くためには、自分の能力や価値観と職場の状況がマッチしていることが最も大切です。
就職活動を始める際には、まずしっかりと自己分析を行いましょう。
現在の自分を客観的に見つめて、長所や短所、どのように医療と関わっていきたいか、仕事に対して大切に考えるものは何かなどを棚卸ししていきます。
そうすることで、自分に向いている職種や希望の就職先が明確になります。
自己分析がきちんとできていれば、自己PRする際のアピールポイントにもつながります。
同時に、薬剤師の就職先となる薬局や病院、企業についてリサーチを進めていきます。
ひとくちに薬剤師の仕事と言っても、調剤薬局、病院、ドラッグストア、一般企業など多岐にわたり、働き方も違います。
さまざまなガイダンスや合同説明会に参加して、情報を収集していきましょう。
給与や待遇とともにその業界で働く自分の姿がイメージできるかどうかも考えてみましょう。
2.インターンシップへの参加(5年生夏~冬)
インターンシップは、学生の立場で興味ある仕事や職場を実際に体験できる貴重な機会です。
インターンシップは5年生に行うことが一般的です。
5年生は病院と薬局での実務実習があり、インターンシップに参加する余裕がないと感じるかもしれません。
また、実習を行うのでインターンシップの必要はないのではと考える人もいるでしょう。
しかし、薬剤師の実情はそれぞれの病院や店舗によって差があり、実際にそこで働いて初めてわかることもたくさんあります。
また、実務実習で触れることのなかった業界については、インターンシップが実務を知る貴重な機会になります。
インターンシップの期間は、短くて5日以内、長い場合は1〜3か月間というところもあります。また、実習の間に参加しやすいように1dayのインターンシップを用意しているところもあります。
実習とのかねあいを考えながら、積極的に参加していきましょう。
3.就活イベントへの参加(5年生春~6年生春)
就活イベントには、合同説明会や大学内で行われるイベントなどがあります。合同説明会とは、ひとつの会場に複数の企業や病院などが集まって、就活生に企業説明をするイベントです。企業や病院ごとにブースが設置されているケースが多く、詳しい話を聞き、人事担当者とのつながりを作ることもできます。
就活イベントは1年を通してさまざまな規模のものが開催されています。
自分の就職先を選ぶヒントになるので、企業研究のために積極的に参加していきましょう。
4.志望先にエントリーして面接を受ける(6年生春~夏)
5年生の3月ごろからいよいよ本格的に就職活動がスタートします。
エントリーシートを作成し、志望の就職先へ応募していくことになります。
志望する就職先にエントリーし、選考、面接へと進んでいきます。
自分がその就職先をなぜ志望したのか、自分のどんな能力をもって貢献できるかをアピールできるように準備していきましょう。
5.国家試験を受け、結果を伝える(6年生冬)
志望先から晴れて内定をもらえても、それで就職活動が終わりではないのが薬学生です。
無事就職するためにも、国家試験に合格しなければなりません。
就職活動後は、卒業試験と国家試験対策に集中しましょう。
国家試験の合格後は、内定先へその結果を報告します。
では、万が一国家試験が不合格になった場合はどうなるのでしょうか。
不合格となった場合の扱いは、内定先によって異なります。
内定取り消しとなる場合もあれば、内定を継続してもらえることもあります。
事前に内定先に確認しておくとよいでしょう。
【国家試験】就職活動との両立のポイント
忙しい薬学生が薬剤師の国家試験と就職活動を上手に両立していくためには何が大切なのでしょうか。
就活スケジュールを早めに進め、国家試験の勉強が本格化する6年生後半までに就職活動を終わらせておくことが理想です。
その時々で大切なことを優先しながら、試験対策を上手に織り込んでいきましょう。
実習期間は実習で学んだ範囲の問題を解いたり、試験内容につながる薬剤の知識を勉強したりできます。スキマ時間も活用して試験勉強を継続していきましょう。
優先順位を明確にすることも大切です。メリハリをつけながら、試験直前期には勉強を最優先にしましょう。
また、体調管理を徹底し、無理のないスケジュールで進めることが成功への鍵です。
就職先を決めるポイント
薬剤師の就職先を決める際は、自身の価値観やキャリアプランに基づいて選ぶことが重要です。以下に、主なポイントを解説します。
どのような分野に興味があるか
薬剤師として働く場所は多岐にわたります。調剤薬局や病院、ドラッグストア、製薬会社、公務員など、それぞれの職場で求められるスキルや業務内容が異なります。
自分にはどのような強みをもっているかを考えて、興味のある分野を選ぶことが大切です。
薬学への専門性を重視する場合は、製薬会社での研究開発に携わったり、総合病院で最先端の医療に触れたりすることが適しています。
調剤スキルを磨くことや地域貢献を重視する場合は、調剤薬局で働くことでやりがいを感じられるでしょう。
接客が好き、調剤だけでなく店舗の経営的なことに興味があるという人は、ドラッグストアが向いているといえます。
どのような働き方がしたいか
自分が理想とするライフスタイルに合った働き方を選ぶことも重要です。
自宅の近くで安定して働きたいと考える場合は、調剤薬局が仕事を探しやすいでしょう。公務員も適していますが、転勤が伴うことを理解しておく必要があります。
高収入を目指す場合は、ドラッグストアや企業でのMRなどが選択肢になります。
結婚、出産後も働き続けたいと考えている人は、就職先の育児支援制度や、実際にママ薬剤師がどのくらいいるかなどを確認しておきましょう。
どのようにキャリアアップしていきたいか
薬剤師としてどのように成長していきたいか、長期的なキャリアプランも考慮しておきましょう。
キャリアアップを志向する場合は、ある程度大きな組織で、管理薬剤師や薬局長、マネージャーなどの管理職を目指せる環境が整った職場が適しています。
専門性を高めたい場合は、どのように患者さんと関われるか、チーム医療の一員として貢献できるか、どのような処方箋を扱っているかなどを確認しておきましょう。
給与や福利厚生はどうか
長く働き続けるためには、経済的安定も重要なポイントです。
基本的に薬剤師は高年収ですが、病院は新卒時の給与が低い傾向があります。
高収入を求める場合は、ドラッグストアや製薬会社が選択肢になるかもしれません。
また、大手企業や公務員のほうが手厚い福利厚生が期待できます。
エージェントがピッタリの企業を
ご紹介します
まとめ
薬学生の就職活動では、自分自身の適性や将来像を明確にすることが鍵です。それぞれの就職先の特徴やメリット・デメリットを理解し、自分に合ったキャリア選択を行いましょう。
また、実習や国家試験対策で忙しいなかで希望の就職をかなえるためには、スケジュール管理も重要になります。
早めに取りかかっていくことを心がけて、余裕をもって就職活動に取り組んでいきましょう。
ご相談は無料です。コンサルタントに相談して、希望に合った企業を一緒に探してみませんか?