貼り薬がイヤなことを医師に言えなかった患者さん
72歳の女性。お嫁さんとお孫さんも一緒に来局。腰が痛くて動けなくなってしまったため受診。久しぶりに孫たちがやって来たので、張り切ってしまったとのこと。先生が「貼り薬と痛み止めの飲み薬出しておきます」とおっしゃったのだが、本当は貼り薬がイヤなことを医師に言えなかったとのこと。貼り薬はすぐ皮膚が赤くなって貼っていられないらしい。「塗り薬もありますので問い合わせして変更してもらいますか?」と聞いたら、「そんなことしないでくれ」と強く拒否。その時の薬歴なのですが、これで良いでしょうか?
(処方薬)
Rp. カロナール300mg 3錠
レバミピド100mg 3錠 3×毎食後 14日分
Rp. ロキソプロフェンテープ50mg 28枚 1日2枚 腰に
薬歴Before
S) | ずっと立ちっぱなしでたくさんのお料理を作っていたから腰が痛くなってしまった。 |
S) | 貼り薬はダメなんです。 |
O) | お盆で孫たちが揃って集まるので張り切っていた。 |
A) | 一時的な痛みのようなので、2週間の服用で経過を見る。 |
A) | 先生には言えなかったが、貼り薬は皮膚が赤くなってしまって使えない。 |
EP) | 痛み止めの薬が出ていますので服用して様子を見てください。2週間経っても痛みが続いていたら再度受診してください。 |
EP) | 貼り薬は使ってみてやはりダメなようならやめておいてください。次受診するようなら、先生にその旨お伝えください。 |
患者さんの悩みの状況がこの薬歴から全くわからない
患者さんは、皮膚が赤くなり貼り薬が使えないのに、先生に言えなかったとのことですが、薬歴を読んだ限りでは「お悩み」の状況は全くわかりませんね。実際に患者さん(ご家族含む)とお話した内容も、薬歴に書かれていることとはだいぶ違うのではないでしょうか?
何度も繰り返しますが、薬歴とは薬剤師の医療の記録です。実際に患者さんとお話したこと、患者さんの様子、薬剤師としてどのような判断をしたのか、それが実際の通りに書かれていなければなりません。薬歴を実際のやり取りとは全く別物のように捉えているとするならば、それは間違いです。
良い薬歴とは、その時の患者さんとのやり取りや患者さんの様子(気持ちもふくめて)がありありと思い浮かぶ薬歴です。