実際のやり取りとは違う薬歴を正しい医療記録にするには?
いつも勉強させてもらっております。今年で卒後3年目に入りました。先生の記事を毎回読んでいるうちに、自分の薬歴が患者さんとのやり取りを全く記録していないものだと気がつきました。勤務先は忙しい薬局で、薬歴をあまりたくさん書くと怒られます。みんな同じような薬歴を書いており、誰の薬歴を読んでも患者さんとのやり取りは全くわかりません。でも、これでは医療記録になっていないと思い、自分はきちんと医療を行えていないのではないかと、危機感を感じています。どうしたら良いでしょう?
(症例)
82歳の男性。しっかりと背筋が伸びて、いつもスーツをピシッと着こなすダンディなおじいさまです。先日転んで頭を打って、今日は医師の判断でいつも飲んでいたクロピドグレルが中止になったそうです。バイアスピリンも併用中で、以前から、打った覚えがないのに青あざがよく腕に出ておられたとのことでした。処方はいつも28日分ですが、今日は14日分です。
〈処方〉
Rp.カルベジロール錠2.5mg 1錠 分1 昼食後 14日分
Rp.バイアスピリン錠 1錠 分1 朝食後 14日分
Rp.アトルバスタチン錠10mg 1錠
バルサルタン錠40mg 2錠 分1 夕食後 14日分
Rp.ゾピクロン錠7.5mg 1錠 分1 寝る前 14日分
〈処方〉
Rp.カルベジロール錠2.5mg
1錠 分1 昼食後 14日分
Rp.バイアスピリン錠
1錠 分1 朝食後 14日分
Rp.アトルバスタチン錠10mg
1錠
バルサルタン錠40mg
2錠 分1 夕食後 14日分
Rp.ゾピクロン錠7.5mg
1錠 分1 寝る前 14日分
薬歴Before
OP) | 今回クロピドグレル中止。 |
S) | 頭を打ったから、脳出血になっても危険だから1種類減りました。 |
O) | 本人。 |
A) | 処方内容の確認。 |
P) | 今後も忘れなく服用を続けてください。 |
自身の薬歴と仕事ぶりに疑問を持つことが素晴らしい
まず「このままで良いのだろうか?」とご自身の仕事ぶりに疑問を持たれたこと、とても素晴らしいと思います。素直に拍手を送りたいと思います。あなたがこれから薬剤師として成長していく第一歩は、まず現状を何とかしたいと思うところから始まるのだと思います。「これで良いよ」と思っている人は、何年たっても成長は見込めないでしょう。
私がまずあなたにお勧めしたいのは、自分自身がしっかりと勉強して、きちんとした医療行為を行い、きちんとした薬歴(薬歴を記録するところまでが医療行為です)を書くことだと信じます。3年目ならもう後輩もいるのでしょうか。薬歴は同じ薬局の薬剤師たちの目に触れるものですから、あなたがしっかりとした薬歴を書くことで、心ある仲間や後輩たちにあなたの思いは伝わるはずです。そう信じて自らを磨いてほしいと思います。
そしてできれば薬局の中で声を上げて、薬局全体で薬歴の質の向上に取り組んでみてください。薬局内で勉強会を開いて、みんなで「良い薬歴とは何か」を考えてみてほしいと思います。そして症例検討会を定期的に開くようにして、日々の医療行為をみんなでブラッシュアップしていってほしいなと切に願います。