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国家試験 注目の問題

更新日: 2021年6月26日 大内 邦弘

コロナ太りの悩みをトクホで解決!

第106回薬剤師国家試験【注目の問題】の画像

国試には、その時代背景に合わせた問題が出題されます。既に現場で活躍している薬剤師の方には、「いまの時代に問われている知識や資質」を再確認し、新人薬剤師を採用する会社・店舗の薬剤師の皆さんには、新人薬剤師さんとのコミュニケーションに役立てていただきたいと思います。今回は問題240について解説します。

問240

35歳男性。身長170 cm、体重81 kg。最近、体重が増加して運動不足を痛感していた。今回、会社の健康診断の後に、生活習慣病の予防のために運動に加えて特定保健用食品を利用しようと思い、健康サポート薬局の薬剤師に相談した。この男性が持参した検査値は以下のとおりである。

検査値)収縮期血圧135 mmHg、拡張期血圧85 mmHg、HDL-C60 mg/dL、LDL-C120 mg/dL、TG110 mg/dL、HbA1c5.0%(NGSP値)

検査結果から、この男性に適すると考えられる特定保健用食品の関与成分はどれか。1つ選べ。

  • 茶カテキン
  • グルコシルセラミド
  • 大豆イソフラボン
  • キシリトール
  • CPP(カゼインホスホペプチド)

解答

解答 1

この男性の状態を検査値から読み取ろう!

解説

各検査値の基準値※は、収縮期血圧129 mmHg以下、拡張期血圧84 mmHg以下、HDL-C 40 mg/dL以上、LDL-C60~119 mg/dL、TG30~149 mg/dL、HbA1c5.5%(NGSP値)以下である。
男性のBMIは、81 kg÷1.7 m÷1.7 m≒28 である。
検査結果から、この男性は肥満であり、血圧とLDL-Cが高めであると判断できる。

(※ 日本人間ドック学会2021年度判定区分表より)

  • 適切。茶カテキンは、脂肪の分解と消費に働く酵素の活性を高め、内臓脂肪を減らす働きを有する特定保健用食品の関与成分であるため、体脂肪が気になる方に適している。また、コレステロールの吸収を抑制する働きも有している。
  • 不適切。グルコシルセラミドは、肌の水分を逃しにくくする働きを有する特定保健用食品の関与成分であるため、肌の乾燥が気になる方に適している。
  • 不適切。大豆イソフラボンは、エストロゲン受容体に作用し、骨からのカルシウムの溶出を防ぐことによって骨密度、骨強度を高める働きを有する特定保健用食品の関与成分であるため、骨の健康が気になる方に適している。
  • 不適切。キシリトールは、歯の再石灰化を増強する働きを有する特定保健用食品の関与成分であるため、歯を丈夫で健康に保ちたい方に適している。
  • 不適切。CPPは、カルシウムを吸収しやすい状態にする働きを有する特定保健用食品の関与成分であるため、ミネラルの吸収を高めたい方に適している。

それぞれの関与成分の作用を確認しよう!

カテキンはポリフェノールの一種で、主にお茶の苦渋味成分です。一定量のカテキンを継続的に摂取すると、肝臓での脂質代謝・エネルギー消費が高まるため、体脂肪が減少します。また、食事由来の脂肪燃焼を上昇させ、食事誘発性熱産生も上昇させます。内臓脂肪が多い人ほど食事誘発性熱産生が低いので、カテキン摂取により消費エネルギーが増加し、肥満予防に役立ちます。

疾病予防の観点からトクホの知識

1993年(平成5年)に登場した特定保健用食品(トクホ)ですが、表示許可・承認された食品は既に1000品目を超えています。コロナ禍で様々な体調の悩みを抱えている方が増えていますので、特定保健表食品(トクホ)の関与成分に関する情報をアップデートし、健康維持・増進のために最適なアドバイスができる薬剤師になりたいですね。

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大内 邦弘
おおうち くにひろ

学校法人医学アカデミー薬学ゼミナール
担当科目:衛生/科目責任者
所属:福岡教室

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