ACE阻害薬・β遮断薬など重篤な副作用を起こす「高血圧薬」の服薬指導

前回の記事では高血圧薬でよくある副作用と服薬指導のポイントをお伝えしましたが、まれに重篤な副作用が現れます。薬剤師から患者さんへ、事前に重篤な副作用の特徴を伝えると、本人が異変に気が付きやすく、症状の悪化を防ぐ可能性が高まります。今回は、高血圧薬でまれに起こる重篤な副作用と服薬指導のポイントについて詳しく紹介します。
高血圧治療薬でまれに起こる重篤な副作用について
高血圧治療薬でまれに起こる重篤な副作用について、代表的なものを3つ紹介します。
① 高カリウム血症
特にACE阻害薬やARBの使用時に注意が必要な副作用が「高カリウム血症」です。体内のカリウム濃度が上昇すると、心臓のリズムが乱れて不整脈を引き起こすことがあります。頻度はごくまれですが、重度の不整脈は心停止や突然死を引き起こすリスクがあるため、注意が必要な副作用です。
② 房室ブロック
房室ブロックは心室から心房への電気信号が途切れてしまい、脈が遅れる症状です。Ca拮抗薬やβ遮断薬の副作用としてまれに起こる可能性があります。
房室ブロックは障害の程度で、以下の3つに分類されます。1)
- 1度房室ブロック:P-R間隔の延長のみ
- 2度房室ブロック:QRS間隔が時々途切れる
- 3度房室ブロック:心房から心室への伝導が完全に途切れている
軽度の房室ブロックは自覚症状がなく心電図検査で発見されることが多い一方、重度では、めまいやふらつき、意識障害などが現れるリスクがあるため注意です。
③急性腎障害
急性腎障害は「数時間から数日」という短い期間で急激に腎機能が低下する症状です。代表的な症状は以下のとおりです。2)
- 尿量の減少(または無尿)
- 倦怠感
- 浮腫
- 発疹
ARBやACE阻害薬と利尿薬、または非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の服用または併用により副作用が起こるリスクがあります。2)3)
代表的な症状を投薬時に伝えて、患者さんが適切に対処できるようアプローチしましょう。
重篤な副作用を起こす高血圧治療薬の解説
高血圧治療薬は血圧をコントロールするために必要な薬剤です。しかし、その一部はまれに重篤な副作用を引き起こします。
以下では、重篤な副作用の可能性のある、主な高血圧薬について解説します。