【2026年度改定版】調剤後薬剤管理指導料の算定要件をわかりやすく解説
近年、薬剤師の対人業務の充実と薬局・医療機関の連携強化が求められています。「調剤後薬剤管理指導料」では、糖尿病患者や慢性心不全患者に対する薬剤師の積極的な取り組みが評価されており、その重要性はますます高まっています。
本記事では、調剤後薬剤管理指導料の算定要件や点数、評価対象となる具体的な取り組み内容などをわかりやすく解説します。
調剤後薬剤管理指導料とは
調剤後薬剤管理指導料とは、糖尿病薬や慢性心不全治療薬を使用している患者に対し、薬剤師が調剤後に症状の変化や副作用の有無などを確認し、必要な薬学的管理を行った際に算定できる薬学管理料です。
変更後の処方薬や新規薬を服用すると、症状の変化や副作用が現れやすく、調剤後にも継続して患者の体調を確認していくことは、安全な治療を提供していく上でもとても重要です。
調剤後薬剤管理指導料の点数と対象患者
調剤後薬剤管理指導料は2区分あり、対象患者と点数は以下の通りです。
| 区分 | 対象患者 | 点数 |
| 調剤後薬剤管理 指導料1 |
糖尿病患者、糖尿病用剤の新たな処方 または投薬内容の変更あり |
月1回まで 60点 |
| 調剤後薬剤管理 指導料2 |
慢性心不全患者、心疾患による入院経験あり 作用機序が異なる循環器官用薬等の複数の 治療薬の処方を受けている慢性心不全 |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
調剤後薬剤管理指導料2の算定対象となる循環器系疾患にかかる治療薬には、以下のようなものが含まれます。
【循環器系疾患の対象となる治療薬】
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(ARB)/アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤
- β1受容体遮断薬
- ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)
- ナトリウム・ブドウ糖共輸送担体2(SGLT2)阻害薬
- アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI) 等
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
調剤後薬剤管理指導料の算定要件
調剤後薬剤管理指導料を算定するためには、調剤後に対象患者に対して服用状況や副作用の有無等について確認を行い、必要な指導等を行うことが求められています。
以下の4つの条件が必須となりますので、確認しておきましょう。
1.地域支援・医薬品供給対応体制加算2〜5の届出をおこなっている
調剤後薬剤管理指導料を算定するためには、地域支援・医薬品供給対応体制加算の2から5までのいずれかの届出をおこなっている必要があります。地域支援・医薬品供給対応体制加算とは、医薬品の安定供給や地域の医療を支える取り組みを評価するもので、調剤基本料の加算項目です。
2026年度の調剤報酬改定において、従来の「地域支援体制加算」と「後発医薬品調剤体制加算」が統合され、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新設されています。こちらの加算の届出をおこなっていない薬局では、他の要件を満たしていても調剤後薬剤管理指導料は算定できないため、注意しましょう。
2.医師の指示や患者等の求めにより実施する
調剤後薬剤管理指導料は以下の場合に算定が可能です。
- 保険医療機関からの求めがあった場合
- 患者もしくはその家族等の求めがあり、保険薬剤師が調剤後の薬剤管理指導を必要と認め、処方医の了承を得た場合
このように、薬剤師が対象の患者に対してフォローアップをするときは、医師の指示や患者の求めに応じたものである必要があります。
また薬剤師が必要性を認め、実施する場合には、患者またはその家族等の同意をとった上で、処方医に了承をとることで調剤後薬剤管理指導料を算定することができます。
3.フォローアップは電話等で行う
調剤後に薬の使用状況や体調変化、副作用の有無などを確認する際は、電話や訪問といった直接コミュニケーションがとれる方法で患者や家族に対して行うことが求められています。
メールやチャット等で一方的に情報を発信する形では算定対象とはならないので、注意しましょう。
後日フォローアップの電話等を行うことが決まった際は、スムーズに連絡が取れるよう、あらかじめ日時も患者と相談して決めておくと良いでしょう。
4.病院へ文書によるフィードバックを行う
フォローアップで得た患者に関する情報は、医療機関へ文書にて提供する必要があります。一般的な内容は以下のようなものです。報告書の内容に特別な決まりはないため、薬剤師の判断で必要な情報を伝えると良いでしょう。
【報告するべき内容】
- 服用状況や体調変化
- 副作用発現の有無
- 対象薬以外の情報(食事や生活習慣など)
- 必要に応じた処方提案
- 薬学管理に密接に関連する情報(体重の増減、塩分摂取、飲水の状況など)
重大な副作用など緊急性が高いと思われる情報については、文書ではなく、電話で直接連絡し、服薬継続や受診の必要性を医師に問い合わせましょう。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
調剤後薬剤管理指導料の算定要件についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
慢性心不全患者に対する退院後の医療機関との連携
2024年度の診療報酬改定において、「心疾患による入院歴のある作用機序が異なる複数の治療薬の処方を受けている慢性心不全患者」が新たに調剤後薬剤管理指導料の算定対象となりましたが、特に薬剤師による退院後のフォローアップが期待されています。
退院時に医療機関から情報を得て、薬局でその後の継続した患者フォローアップを実施することで、症状の悪化・再入院の回避等に繋げることが期待できるでしょう。
医療機関との連携方法は以下を参考にしてみてください。
1.退院時に医療機関から薬局へ向けた情報提供
医療機関では、退院時に薬局に対して「心不全フォローアップシート」及び「薬剤管理サマリー」を発行し、入院中等の服薬に係る情報を提供します。これは、医療機関における退院時薬剤情報連携加算の算定要件の一つでもあります。
心不全フォローアップシートは病院ごとに独自の様式が用いられている場合が多いですが、一般的なチェック項目は以下の通りです。
心不全フォローアップシートにおけるチェック項目
- 薬の飲み忘れの有無
- 塩分過剰摂取の有無
- 過労の有無
- 禁煙の実施
- 節酒の実施
- 体重測定の有無
- 浮腫の確認
- 労作時の息切れの確認
- BNPの推移
- 心不全増悪時の受診目安の理解
2.「心不全フォローアップシート」を用いて退院後のセルフケアの状況を確認
薬局では、医療機関から入院中の使用薬剤や退院処方に関する情報を受け取り、心不全フォローアップシートを用いた継続的な経過確認の依頼を受けます。そのため患者に対し、退院後のセルフケア状況を定期的に確認していきましょう。
セルフケアが十分にできていない場合は、必要性を十分に説明するなどして、再入院回避に薬剤師が貢献していくことが期待されています。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】 /厚生労働省
調剤後薬剤管理指導料が算定できない例
ここでは、調剤後薬剤管理指導料が算定できないケースについて見ていきましょう。
