【2024年度改定版】麻薬等加算の算定要件や改定内容をわかりやすく解説

麻薬等加算とは、対物業務に対する評価項目である調剤技術料の中の、薬剤調製料に加算できる点数です。今回は、麻薬等加算の算定要件、点数、対象薬剤、麻薬管理指導加算や在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算との違いについて解説していきます。
麻薬等加算とは
麻薬等加算とは、麻薬や向精神薬、覚醒剤原料、毒薬を調剤した際、薬剤調製料に加算できる点数のことです。正式名称は「麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬加算」と言います。単に、麻薬加算、向精神薬加算、覚醒剤原料加算、毒薬加算と言うこともあります。
麻薬等加算の算定要件と点数
麻薬等加算は、処方中に対象薬剤が含まれているとき、処方中の品目数、投与日数に関係なく、1調剤につき以下の点数が算定できます。
加算名 | 点数 |
麻薬加算 | 70点 |
向精神薬加算 | 8点 |
覚醒剤原料加算 | 8点 |
毒薬加算 | 8点 |
「1調剤」と「1剤」は異なるものです。
「1剤」とは、処方箋受付1回につき、服用時点が同一であるものをいいますが、「1調剤」とは服用時点が同一でかつ投与日数も同じ場合のことをいいます。
ここでいう向精神薬とは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第6号の規定に基づく同法別表第3に掲げる向精神薬のことを指します。
参照元:麻薬及び向精神薬取締法 /e-Gov法令検索
算定時のポイントは以下の通りです。
- 内服薬だけではなく、頓服薬、注射薬、外用薬においても算定可能
- 同一薬剤で重複した規制を受けている薬剤は、重複算定できない
例えば、「モルヒネ塩酸塩水和物原末」は、麻薬であり毒薬でもありますが、麻薬加算の70点と毒薬加算の8点が重複して算定できず、点数の高い麻薬加算の70点のみの算定となります。
- 時間外加算等の計算には含めない
時間外加算を計算するときに使う基礎額に含めないためです。
- 1調剤ごとに算定可能
服用時点が同じ場合でも、投与日数が異なる場合は1調剤ではないため、麻薬加算、向精神薬加算、覚醒剤原料加算、毒薬加算がそれぞれ算定可能です。
2種の麻薬が処方されていて、残薬調整などで1種のみ日数が変更になった場合、2調剤となり麻薬加算を2回算定できるようになるため、投与日数が減ったにもかかわらず患者さんの窓口負担額が増える可能性があるので注意が必要です。
- 成分が該当していても、規制含有量以下で麻薬、覚醒剤原料又は毒薬の取り扱いを受けていない場合は算定できない
具体例は次に解説します。
参照元:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
対象外となる倍散・予製剤に注意
使用した薬剤の成分が麻薬、覚醒剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤もしくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚醒剤原料又は毒薬の取り扱いを受けていない場合は、麻薬等加算は算定できません。
コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩
麻薬取締法により、千分中十分以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有しこれら以外の麻薬を検出しない物を「家庭麻薬」として麻薬取締法にいう「麻薬」の範囲から除外されます。そのため、濃度が1%以下となるコデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩は麻薬とはならないため、麻薬加算は算定できません。
一般名 | 剤形・規格 | 麻薬・非麻薬 |
コデインリン酸塩水和物 | 原末 | 麻薬 |
散10% | 麻薬 | |
錠剤20mg | 麻薬 | |
散1% | 非麻薬 | |
錠剤5mg | 非麻薬 | |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 原末 | 麻薬 |
散10% | 麻薬 | |
散1% | 非麻薬 |
参照元:麻薬取締法の施行について /厚生労働省
エフェドリン・メチルエフェドリン
覚醒剤原料のエフェドリン・メチルエフェドリンですが、10%を超えて含有するもののみを覚醒剤原料とし、10%以下のものは覚醒剤原料とはなりません。
硫酸アトロピン
アトロピンも毒薬となりますが、原薬が毒薬に指定されていても、希釈された製剤は劇薬となることがあります。
例えばアトロピン硫酸塩水和物原末は毒薬ですが、アトロピン硫酸塩注0.5mgや、アトロピン点眼液1%は毒薬ではありません。
併算定が可能な麻薬に関する加算
麻薬に関する加算として麻薬加算の他に、麻薬管理指導加算と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算があります。
いずれの加算も麻薬加算との併算定は可能となりますが、麻薬管理指導加算と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算を同時に算定することはできません。
それぞれの項目について解説します。