「90歳以上の患者への薬剤継続・中止の判断基準」について専門医が回答
処方箋や投薬に関する薬剤師の疑問のうち、疑義照会で解決しづらいものについて、m3.com医師会員<エキスパート>からの回答を掲載します。
Q. 超高齢患者(90歳以上)における薬剤継続・中止の判断基準
高齢者(90歳以上)における各薬剤の継続・中止の判断についてです。
スタチン製剤、ARNI、SGLT2阻害薬などについて、何歳を超えたら中止するなど、年齢を基準とした中止の目安を設けていらっしゃいますでしょうか。ご教示いただけますと幸いです。
30代/病院・診療所勤務
10名の「循環器内科」「糖尿病科」医師の回答を紹介します。
医師回答のまとめ
90歳以上でも年齢だけを理由に薬剤を一律に中止するのではなく、フレイルやADL、生命予後、治療目的、薬剤のメリット・デメリットなどを踏まえて個別に判断します。減薬する場合も、QOLや本人・家族の意向を考慮し、必要性の低い薬剤から検討します。
屋宜 宣仁先生の回答
90代の患者像は「極めてフレイルが進行し臥床傾向にある方」から「ゴルフや畑仕事を楽しむ自立度の高い方」まで非常に多様です。そのため暦年齢ではなく、生命予後や服薬負担・アドヒアランス、アドバンス・ケア・プランニング、ポリファーマシーの害を軸に、個別に減薬の是非を検討しています。
スタチンは、一次予防で生活自立度が低下している場合や要介護状態では、ベネフィットが生命予後に与える影響は小さくなるため、中止を検討します。二次予防では、超高齢であっても再発リスクが無視できないため、ADLや希望が許せば継続を優先します。
ARNIやRAS阻害薬は、血圧や腎機能が許す限り、粘り強く継続することが多い薬剤です。ただし、脱水、フレイルによる収縮期血圧の低下、高K血症、腎機能急低下を認めた場合は、速やかに減量・中止します。
SGLT2阻害薬は、脱水や尿路・性器感染症、フレイルの悪化などに注意し、水分摂取量が少ない方や、著しいやせがある方では減薬を検討します。
超高齢者では、薬の効果が得られるまでの期間と予想余命を比較し、検査値を美しく保つことよりもQOLや本人・家族の意向を優先して判断することが重要です。
50代/地域医療支援病院/循環器内科
循環器内科先生の回答
個人的な意見ですが、その人の予後に心血管イベントがどれぐらい寄与するかによるかと思います。フレイルが進行し、QOL重視となるような患者においては、予後改善を狙った薬などは中止することもしばしばです。エビデンスがありませんので、結局は話し合いでしょうか。
30代/臨床研究中核病院/循環器内科