薬剤師の業務に役立つ、コミュニケーションで気をつける3つのこと
せっかく豊富な知識や経験があるのに「コミュニケーション」が苦手で、なかなかうまく患者さんに接することができない、地域医療に貢献することができない…そんな悩みを抱えている薬剤師は多いと思います。話し方や接し方が上手で、多くの患者さんの心を掴む薬剤師、医師や看護師からも頼られる薬剤師、地域イベントで人気の薬剤師と、いったい何が違うのでしょうか。
そこには、”埋めることができないほどの大きな溝”はありません。
実は、ほんのちょっとの心がけ、ほんのちょっとの工夫で、相手に与える印象は大きく変えることができるのです。
そこで本連載では、様々な職種の「接客の達人」に、薬剤師にこそ取り組んでほしい接客のコツを色々と語っていただきます。コミュニケーションに苦手意識を抱いている人は、ぜひ真似できるところから業務に取り入れていただければと思います。
IT業界の営業として活躍する前さんに聞く、薬剤師の接客術
第7回目の今回は、デジタルマーケティングのコンサルティング業務を行う、PLAN-Bで働いている前夏葵さんにインタビューさせていただきました。営業のトップセールスとして、新規や既存のお客さまと広く関わる傍ら、採用にも携わって活躍されています。
昔から周りの人を笑わせるのが好きだったと話す前さんですが、入社してすぐにコミュニケーションの難しさを知ったそうです。競合が多く存在する業界で、どのような苦労があって、そしてそれをどのように乗り越えてコミュニケーション能力を高めていったのかをおうががいします。
今回のコミュニケーション上達のポイント
- 相手を観察し、TPOを意識して話す
- 沈黙の”間”を楽しむ
- 分からないことは分からないと伝える
お話を伺った方
前夏葵さん
2017年に新卒としてデジタルマーケティングのコンサルティングを行うPLAN-Bに入社。営業として新規、既存のお客様と広く関わる傍ら、採用にも携わっている。トップセールスとして活躍している。
印象的な薬剤師のエピソード
新入社員時代、営業がうまくいかなった時に気づいた3つのこと
前さんの仰る3つの点は、薬剤師にとっても非常に重要な点です。”個別性”というキーワードを第5回の記事でご紹介しましたが、コミュニケーションにおいては相手がどのように思うかを考える必要があります。そして、患者さんには考える時間が必要な場合もあるので、沈黙などの”間”が大事です。私は、患者さんが少し考えたり時間が欲しそうな時は”わざと視線を外す”こともあります。そうすると、急かされているような雰囲気にならないので効果的です。最後の嘘をつかないことについては、医療においても「わかっていること」と「わかっていないこと」をしっかり区別してお話することは大切です。事実として明らかなことは数字などを使いながら説明し、わからないことについてはあやふやにせずに「わからない」と伝えるのが良いです。
お客さまのことをお客さま以上に考える
コミュニケーションの向上に寄り添ってくれる人を探す
インタビュー中は笑顔が印象的で、時折冗談を言ったりして場を和ませてくれた前さんですが、最初は営業がうまくいかなかったというエピソードが印象に残りました。私も薬剤師になる前からコミュニケーションには自信がありましたが、実際に患者さんと話をした場合や、医師や看護師などの医療者と話をした場合に、うまくいかなかったと思う経験はたくさんあります。
それでも色々なことを乗り越えて今があるということは、コミュニケーションの上達にとって重要な点です。コミュニケーションに苦手意識があると、口数が少なくなったり、情報量が減ってしまうことがあるかもしれません。しかし、実際に会話で色々と試すことによって自信につながったり、会話の仕方も身についていきます。
前さんが上司の方から色々と教わったように、周りにうまくコミュニケーションをとる先輩や同僚がいればアドバイスをもらうように頼んでみてください。例えば、普段の業務で患者さんと話をしている場面を見てもらい、改善する点を議論して次に活かすことが良いでしょう。何度もそれを繰り返すことで、その状況に適した受け答えができるようになります。そうすると、コミュニケーションに余裕が生まれて、これまで気づかなかった患者さんの様子に気付いたり、さらに踏み込んだ介入ができるようになるはずです。