新薬リベルサス®(セマグルチド)について知ろう!(2)臨床試験結果
さて、前回はリベルサス®の特徴、注意点、展望などをご紹介しましたが、今回はリベルサス®で行われた臨床試験結果をご紹介したいと思います。
PIONEER10
この試験では、経口血糖降下薬で効果不十分な日本人患者さんを対象に、デュラグルチド0.75㎎(トルリシティ®)と各投与量のリベルサス®を上乗せしたときの効果を比較しています。
ベースラインのHbA1c変化量での比較では、トルリシティ®と比較しリベルサス®7㎎で非劣勢、14㎎では有意に改善効果を示しています。また、その効果は52週間に渡って維持されることも確認されています。
さらに、リベルサス®では、トルリシティ®では期待できなかった体重の減少効果に関しても7㎎から有意な差を認めています。お互いの維持量(トルリシティ®0.75㎎ VS リベルサス®7㎎)では、血糖降下作用は同等であり、体重はより減少する効果を認めるリベルサス®、中長期的にもメリットを見いだせるかもしれません。また以下の通り、薬価比較でも感じるメリットが強くなるでしょう。
薬品 | 4週間薬価 |
---|---|
トルリシティ®皮下注アテオス | 3396円×4週=13584円 |
リベルサス®7mg | 334.2円×28日=9357.6円 |
リベルサス®14mg | 501.3円×28日=14036.4円 |
PIONEER3
この試験では、日本人を含むSU薬単独、または、SU薬+メトホルミンで治療されている血糖コントロール不良患者に対して、シタグリプチン(グラクティブ®、ジャヌビア®)100㎎と各投与量のリベルサス®を比較した試験です。
ベースラインからのHbA1c変化量では、リベルサス®の開始量である3㎎では、劣勢ですが、7㎎、14㎎いずれも有意に高い効果を示しています。(ただし、日本におけるシタグリプチンの維持量は50㎎です)また、この効果は78週間とかなり長期間維持されることも確認されています。
また、この薬の特徴の1つである体重減少効果についても、シタグリプチン100㎎と比較し、開始量のリベルサス®3㎎から差が確認されています。こちらも78週の長期間維持されることが確認されています。参考データとして、以下の薬価もご参照ください。
薬品 | 薬価 |
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シタグリプチン100mg | 188.7円 |
リベルサス®3mg | 143.2円 |
リベルサス®7mg | 334.2円 |
リベルサス®14mg | 501.3円 |
PIONEER2
次の試験は、海外でのデータではありますが、メトホルミンを90日以上使用している血糖コントロール不良患者に対して、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)25㎎とリベルサス®14㎎を比較した試験です。
主要評価項目であるベースラインからのHbA1c変化量は、有意差を持ってリベルサス®14㎎の方が低下しています。また、この効果は52週間に渡り維持されることも確認されています。
体重の減少効果に関しては、対象となるSGLT2阻害薬もこの体重減少効果を前面に出している薬だけあって、リベルサス®は非劣性となっています。(ただし、日本におけるエンパグリフロジンの維持量は10㎎です。)この体重減量効果も、52週間に渡って維持されていることも確認されています。
PIONEER6
この試験では、心血管リスクの高い2型糖尿病患者さんに対して、標準治療に対してリベルサス®14㎎を使用したときの、3point MACE(心血管死、非致死性心筋梗塞又は非致死性脳卒中)を発症するまでの時間を主要評価項目として検討しています。
結果としては、両群に95%信頼区分における有意差は認められず、主要評価項目である3point MACEを発症するまでの時間に関しては、非劣性が証明されています。
以上の臨床試験結果より、使用方法に注意し、適応する患者さんに使用することで、自己注射によるGLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬と区別化した使用が可能と考えられるのではないでしょうか?新しい選択肢の1つとして、皆さんも患者さんの役に立てるかを検討してみませんか?