調剤薬局で働く 現役薬剤師のキクオ が、日々薬局で繰り広げられる薬剤師のリアルな日常をお届けします。
キクオが薬剤師免許以外の資格を目指した2つの話
キクオはスポーツファーマシストを取得したけども…
「結局、認定を取るって、無駄なことだったのかな…」
今回はキクオがスポーツファーマシストと認定薬剤師を目指す物語。
薬剤師免許は国家資格。だが、社会に出て「それだけでは周りの薬剤師と差別化にならない?自分はどんな強みを持つ薬剤師なのか?」私は社会人になってそう悩んでいました。
社会人2年目の時だ。スポーツファーマシストの募集要項を見て、すぐに興味が湧いた。
理由は簡単。キクオはもともと、運動や筋トレなど身体を動かすことが大好きだったからだ。
「もしも薬剤師がオリンピックに出場する選手に関わることができれば、なんか楽しそうじゃん!カッコイイじゃん!」
そんな単純な考えを大人になっても持っていたのである。
下調べもしないで速攻応募をした。
講習を受ける前にスポーツファーマシストの教材が届いたのだが、当時、病院薬剤師の仕事が忙し過ぎて、予習も何もしていなかった。
「まぁ、当日は講義があるし余裕だろう。」
今思い返しても、本当にモチベーションが低かったなと自分でも思う。
そして当日。
会場で1日中、缶詰の勉強会である。なんだか学生に戻った感覚だ。スポーツファーマシストの講義は、アンチドーピングや注意するべき薬を競技や選手を例にして進んでいった。
そうして講義が終えようとしていたが、そこで私が最も気にしていたことが起こった。
主催側にある薬剤師がこんな質問をしたのだ。
「スポーツファーマシストになれたら、オリンピックに呼ばれたりするのですか?そして活躍できるのでしょうか?」
そうだ!私がしたいこと、やりたかったことだ。私の代わりに質問をしてくれて、どうもありがとう。回答がめちゃくちゃ気になった!
しかし、主催者側の答えは到底納得できるものではなかった。
「え〜、確約することはできませんが、今後そういった活動をしていく予定ではあります」
質問者はその答えを聞いて、私と同じような顔になったはずである。
その後、私は無事にスポーツファーマシストを取得した。
薬剤師歴3年目にして他の薬剤師よりも資格が1つ増えていた。
でも、それは本当に自分の知識になっていたのかな?そして、今置かれている職場で活かせるものだったのかな。私は資格を取得してからはどんな活動をして実績を残したの?
過去の自分にこう言いたい。
資格に期待し過ぎてはいけないよ、取るだけではダメなんだね。
オリンピック選手のケアができる薬剤師はどんな知識が必要なのか?アンチドーピングのツールは何?実例は?オリンピック以外でスポーツファーマシストが活動している場面は?
本気でキクオは調べようとしたかい?
どうやってその環境に近付くのかを本気になって探そうとしたかい?
これはキクオが最初に資格を目指した話。
興味から入ったものの、環境のせいにして自分から動けずにスポーツファーマシストの更新を終えたんだ。
研修認定薬剤師を取得してキクオが気づいたこと
次の研修認定薬剤師も結論から言うと、本当に心から目指したいと思う資格ではなかった。
“じゃあ、目指すなよ”そんな声も聞こえてきそうだけど、まずは聞いてほしい。
当時、病院組織として「認定薬剤師を増やす」という議題が上がっていた。私は上司の面談で「せっかくなら目指してみろ」と伝えられたのだ。組織の一員で、上司の言うことは絶対。また、私自身、少なくとも組織はそうあるべきだと思っていた。
病院、薬局、チームとして目指すのだから、私は頑張るしかない!
今思えば、それは自分のため?患者さんのため?いや、上司から評価を得たかったのが動機だったのかもしれない。当時の薬剤師歴は3年目、「ともかく結果を出さなくては!!」とがむしゃらに頑張って、上司に認められたかった自分がそこにはいた。
研修認定薬剤師の道のりは個人的にとても楽しかった。
それに実際に参加した学会や講演会やメーカー主催の勉強会は今でも自分の糧になっている。
- 新薬情報と指定の疾患に対する副作用のモニタリング
- ガイドライン改定のポイント
- 医師が講演をする治療や薬の選択方法
などなど、専門的な領域だけでなく、幅広く自分が興味のある勉強会に参できる点が自分には合っていたと思う。
仕事終わり、クタクタになりながら駅前の勉強会に参加していた頃が懐かしい。
病院の仕事がなかなか終わらないので、平日の19時から始まる勉強会に間に合わない日もあった。
それでも、私は無事、研修認定薬剤師を取得した。
「よく頑張ったな」
上司からこの言葉をいただいた。非常にうれしかったし、達成感もあった。
晴れて研修認定薬剤師になれたキクオは、患者さんへどうアプローチできるようになったのかを改めて考えるようになった。ちょうどその頃、転職も考えていた時期である。
資格とは誰かに認められるがために取得するものなのか?
頑張っていると言われたいがために資格は取るものなのか?
一体、自分はどんな薬剤師を目指すのだろう。そこには薬剤師免許以外の資格は本当に必要?
きっと私のように悩みながらも、組織のために認定薬剤師を目指す薬剤師はいるはずだ。
今一度、自身に問いたい。
「認定を取るって、無駄なこと?」
私の答えはこうだ。
目指した時間は決して無駄じゃない。
取得する過程、取得後も医療現場に活かせる実績を自ら作ること。
これが資格を取得するよりも大変なことだと思うし、大切。
例えば、今まで勉強会で学んだことをメモして、振り返ることができる仕組みを作ってみよう!認定資格に対して執着せず、目の前の「困った」を解決するために自主的に動いてみよう!
結論として導き出されたのは「認定資格は決して無駄ではない」という事実。
これがキクオの認定薬剤師物語。
今置かれている場所で、自分に何ができるのかを改めて考えよう。
これから国民に期待される薬剤師になるために!
いかがでしたでしょうか?
私はスポーツファーマシストと研修認定薬剤師の資格を取得しました。目指すキッカケや憧れは自由です。資格を取得してからも薬剤師は一生勉強だと思います。資格の表面だけに憧れずに、取ってからの道筋や自分がどんな薬剤師を目指すのかを今一度考えるキッカケにもなると思います。今回はここまで!それでは、また!