薬剤師キクオが疑義照会する際に気を付けていること5選!
疑義照会の呼吸!その①話す内容の順番を自身で決めておこう
「え?誰?どういうこと?なに言ってるの?」電話の先は処方元の院長でした。
キクオが新人の時に実際に言われた言葉です。キクオは電話をしたのはいいけれど、うまく話せずにパニクってしまったのです。
疑義照会は誰でもいきなりできるものではありません。私も電話をする前は大丈夫だったけど、電話をすると一気に頭が真っ白になり、伝えたいことが飛んでしまったのです。当時はそんな恥ずかしい薬剤師でした。そんなキクオを見かねて、当時の先輩は以下のように指導しました。
「伝える内容をしっかりと明確化して順番に話すこと。1つずつゆっくりとね」
フローとしては以下になります。
ステップ1:こちらの所属を伝える
↓
ステップ2:電話をした目的を伝える
↓
ステップ3:誰の問い合わせか(患者番号や診察券番号もあれば伝える)
↓
ステップ4:何を確認してほしいのかを伝える
↓
ステップ5:いつまでに答えがほしいのかを伝える
学生の時にも習う基本的な疑義照会の流れですよね?
このように流れと基本の型を必ず自身で作ることをおすすめします。
私も新人時代は自分専用のメモを作成、ユニフォームにお守りのように入れていました。
また、薬剤師になりたてのころはカルテや薬歴の操作が上手くできないこともあるでしょう。そんな時にもまずはメモです。疑義照会専用のオリジナルノートを作成してみてください。
あと、周りから「遅い!」と思われても気にしないで!正確に伝えるために視覚でサポートできるものは徹底的に使いましょう!
疑義照会の呼吸!その②返ってくる質問を想定してみよう
「じゃあ、この薬はキャンセルね。で!他の薬は何があるの?」と医師に問われて言いよどんでしまう…。疑義照会あるあるですね。
薬剤師は医師からの質問に対して、咄嗟の返答をする場面が多いです。基本的に質問をもらってから、調べて回答するのは普通のこと。誤った情報は伝えてはいけませんので、わからないことは調べた上で答えるのがベストですよね。でも医師の立場になって考えてみてください。果たして代替薬をだけを知りたかったのでしょうか?
「検査値や腎障害ならどれだけ減量する?」「他の剤形やジェネリックはある?」など想定される質問は事前に考えられるはず。そんな質問にすぐに答えられれば「薬剤師も患者さんをみていますよ!」と疑義照会を通じて医師に伝えられるのではないでしょうか?
いつも質問をしてくる医師がいたらチャンスと思って、私たち薬剤師も一緒になって患者さんが求める内容を探してみてください。伝えたいこと+次に相手はどんな疑問を抱くのだろうを意識してみましょう!このあたりは、特に若手薬剤師にはがんばってもらいたいです。
経験上、医師から良く聞かれる項目を要チェック!↓
- ジェネリックってあったっけ?
- 値段いくら?
- 違いは?
- 効くの?
- 保険は通るの?
疑義照会の呼吸!その③電話では最初に患者さんの名前と薬の名前を伝えよう
電話にて「あれやこれや、薬局ではこうでこうで…」
こんな風に疑義照会で不要な情報を伝えていませんか?疑義照会をするに至った経緯は、重要視されません。電話の目的をはっきりとさせ、余程のことがない限り、結論から伝えることを意識しましょう。
例えば、患者さんの名前+〇〇の薬の件でお電話しました。というフレーズを使ってみてください。咄嗟の電話で相手が覚えられるのはせいぜい2つ、3つです。
電話を受け取る先も慣れていると、薬局からの問い合わせ=疑義紹介であることが理解されているはずです。病院薬剤師時代は医師の携帯に直接電話をして、1対1で対話をすることができていました。しかし、調剤薬局の勤務では、受付がクリニックの事務員になっていること、そして薬の内容を専門的に話しても理解できない可能性があることを知っておきましょう。
そのとき、相手側の事務員が取捨選択して受け取れる情報であるのか、医師だからといってあまりにも専門的な言葉を使ってしまっていないかなど迷うことがあるでしょう。
それゆえ、最初に「患者さんの(誰の)+薬名について」と伝えると、伝える情報もクリアになり、相手に意図が伝わりやすくなるでしょう。また患者さんの名前はフルネーム、薬品の名前は強調をしてはっきりと伝えてみてください!
疑義照会の呼吸!その④急ぎである旨と感謝をセットで伝えよう
基本的に疑義照会は急いでいるケースが多いです。しかし電話が折り返しになることもあります。待っている方は予想を上回る時間が経過してしまいますよね。「まだかな…」と焦る気持ちと、患者さんのイライラする雰囲気が伝わってきます…。
ここで、コールバックになりそうなときに、使えるフレーズをいくつかお伝えいたします。
「ありがとうございます。患者様が待ってらっしゃるので折り返しご連絡ください」
「すぐにお返事いただけますでしょうか?ええ、ありがとうございます!」
「どのくらい返事にはかかりますでしょうか?はい、はい、ありがとうございます!」
最後には必ず感謝で締めることを忘れずに。押し付けの強い感謝は皮肉にも聞こえる場合があるので、声のトーンは限りなく明るくいきましょうね!「患者さんのために」を強調してみてください。
疑義照会の呼吸!その⑤質問をされた場合は根拠と合わせて自分の意見を伝えよう
経験上、疑義照会では根拠を求められることがそこまでありませんでした。でも、薬剤師としては、しっかりと根拠に沿った話や引用元を説明できるようにしておく必要があると思います。「それはどこの情報?」私は医師から言われたことがありますよ!
一般的には添付文書を元に薬剤師が疑義照会を実施することが多いです。加えてそこに自分の意見や言葉を交えて伝えるのが大切なのかなと私は思うのです。
「この薬に変更してください!」なんて医師と信頼関係がない状態で行うべきではありません。あくまでも薬剤師は治療に対して縁の下の力持ちだと思っています。痒い所に手が届く存在が、薬剤師の美徳と考えましょう。
時間が許すなら「この副作用が出た場合はどう変更していきますか?」と提案するスタイルで実行していくと、本人の成長にも繋がると思っています。根拠だけでなく、自分の考えを提案するスタイルを確立すると頼られる薬剤師になれると信じています!
疑義照会の型を作るべし!疑義照会の呼吸!
型その①「どう説明するのかを流れを書き出そう!」
型その②「医師が気になる質問ってなんだろう?想定せよ!」
型その③「患者さんの名前をフルネーム+薬の名前ははっきりと!」
型その④「急いでいる雰囲気の共有と感謝の言葉を!」
型その⑤「疑義照会には根拠ある提案をして頼られる薬剤師を!」
最後に、疑義照会では、感謝を伝えるのを忘れないでください。それが医師だけでなく、医療事務さんに対してもです。
お互いに気持ちのよいコニュニケーションが実施できることを祈って!それでは、また!