がん薬物療法認定薬剤師とは?取得方法とメリット
がん薬物療法認定薬剤師とは?資格の概要や役割、認定団体、取得メリット、試験や論文・学会発表の有無といった取得方法や取得にかかる費用から難易度、更新情報、参考書までわかりやすく解説します。
がん薬物療法認定薬剤師とは?その役割も解説
「がん薬物療法認定薬剤師」は、一般社団法人日本病院薬剤師会による認定です。
種々のがんの薬物治療に介入し、確かなアウトカムを提供することのできる薬剤師を認定する資格です。全国にある「がん診療連携拠点病院」などで、質の高いがん治療をリードする役割を担うことを主に目指したものです。
主な活躍の場は以下のとおりです。
- 都道府県がん診療連携拠点病院:51箇所
- 地域がん診療連携拠点病院(高度型):47箇所
- 地域がん診療連携拠点病院:275箇所
- 地域がん診療連携拠点病院(特例型):26箇所
- 特定領域がん診療連携拠点病院:1箇所
- 国立がん研究センター:2箇所
- 地域がん診療病院:45箇所
※2020/4/1現在( )
この認定を目指す場合、薬学生のみなさんは上記医療機関への就職を視野に入れたほうが良いでしょう。現在薬剤師として働いている方が本気でこの認定を目指す場合も、上記医療機関への転職をするのが近道です。
取得する際には、病院でがん治療に携わっていることがほぼ必須ですが、更新の際は必ずしもそうではないようです。専門医療機関連携薬局で外来がん治療に携わる薬剤師に対する認定とも言えるでしょう。
認定を取得するメリット・強み
地域でのがんの薬物治療実践者として認識されます。
また、がんの薬物治療に集中できるため、1人の患者、1つの疾患の治療に深く関わることができます。
濃密な専門的な治療を多く経験するので、業務の中で臨床疑問を得ることができ、臨床研究を行うこともできます。
「がん薬物療法認定薬剤師」は、こんな人向け
他職種・他施設とも連携して、地域のがん薬物治療を引っ張っていく薬剤師になりたい
臨床だけでなく、がん薬物治療の研究も行いたい
専門医療機関連携薬局でも活躍したい
※難易度
領域 | 更新年 | 勤務歴 | 試験 | 論文 | 学会 | 症例報告 | 薬局薬剤師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
がん | 5年ごと | 実務3年 +実地研修 |
取得時 | いずれか1つ | 取得時 更新時 |
取得:× 更新:△ |
がん薬物療法認定薬剤師の詳細
認定団体:一般社団法人日本病院薬剤師会
申請に必要な資格:
①薬剤師の国家資格
②実務経験:3年以上
③日本病院薬剤師会、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会の会員であること
④下記の学会のいずれかの会員であること
日本医療薬学会、日本癌治療学会、日本薬学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床薬理学会、日本緩和医療学会、日本癌学会、日本緩和医療薬学会、日本臨床腫瘍薬学会
⑤下記の認定・専門のいずれかを持っていること
日病薬病院薬学認定薬剤師、
または日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師(医療薬学専門薬剤師、がん専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師、地域薬学ケア専門薬剤師)
⑥申請時に病院または診療所に勤務し、がん薬物療法に3年以上、かつ、申請時に引き続いて1年以上従事していること(所属長の証明が必要)。
※薬局薬剤師では、この条件を満たすことが困難になります
更新に必要な資格:
①認定期間中継続して、下記のいずれかの会員であること
日本病院薬剤師会、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会
②認定期間中継続して、下記の認定・専門のいずれかを持っていること
日病薬病院薬学認定薬剤師、
または日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師(医療薬学専門薬剤師、がん専門薬剤師、薬物療法専門薬剤師、地域薬学ケア専門薬剤師)
③更新申請時、下記のいずれかの会員であること
日本医療薬学会、日本薬学会、日本臨床薬理学会
④更新申請時、下記のいずれかの会員であること
日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本緩和医療学会、日本緩和医療薬学会、日本臨床腫瘍薬学会
⑤認定期間中、施設内においてがん薬物療法に関する専門的業務に従事していたことを証明できること
(初回取得時、更新時に必要な単位や条件)
初回取得時 | 更新時 | |
---|---|---|
必要単位 | 20単位 うち6単位は学会指定の講習会 |
5年間で50単位 うち6単位は学会指定の講習会 |
勤務歴の 条件 |
3年以上がん薬物治療に従事 かつ申請時点で継続して1年以上従事 |
認定期間中にがんの専門的薬物治療に従事していること |
試験の 有無 |
筆記試験あり | なし |
論文発表 | 学会といずれか1つ(共同著者でも可) | 学会といずれか1つ(共同著者でも可) |
学会発表 | 論文といずれか1つ(共同発表者でも可) | 論文といずれか1つ(共同発表者でも可) |
症例報告 | 25症例(複数のがん腫) (実績は50症例) |
提出は15症例(実績は25症例) |
推薦状 | 要 | 不要 |
かかる 費用 |