子どもの熱さまし、体温は「何℃」を超えたら使えば良い?~服薬指導のコツ2:より細やかな対応
前回の記事で、熱さましの薬は“熱で辛いとき”に使ってもらうのが基本になる、ということを解説しましたが、この回答だけではうまく対応できないケースもあります。今回は、そんなときに役立つ、薬剤師として知っておきたい熱さましのポイントを解説します。
「熱で辛そうなとき」という説明が、思うように響かなかったとき
子どもは、「自分で自分の状態をきちんと把握して言語化する」、といったことが難しいため、“実際にはすごく辛い状態”なのに、“それが大人から見てわかりづらい”という状況が多々起こります。そのため、薬剤師が熱さましの薬を使うタイミングを「熱で辛そうなときに」と指導しても、その「辛そうなとき」がどんな時か想像しにくい、と思われてしまうことがあります。
「熱で辛そうなときに使ってください」と説明して、思うように響かなかった場合は、“辛そうなとき”をもう少し具体的な事例で説明する必要があります。
いつもより元気がない | |
水分をあまり摂りたがらない | |
なかなか寝付かない |
※「辛そうなとき」を言い換えた時の例
保護者 「この熱さましの薬は、いつ使ったら良いですか?」
薬剤師 「熱で辛そうにしているときに使ってください。(なんか反応が悪いな?)・・・たとえば、いつもより元気がないとか、水分をあまり摂りたがらないとか、夜になかなか寝付かないとか、そういったときには是非使ってくださいね」
「熱性けいれん」の再発を不安がっている保護者の場合
熱性けいれんは、基本的に無害なもののため、何か特別な処置や治療をしなければならないというわけではありません。また、熱性けいれんの再発リスクは全体でも30%程度、リスク要因(例:家族に既往歴がある、1歳未満で発症した、発熱から発作まで1時間以内、39℃以下の体温で発作)を抱えていない人では15%に満たないくらい低く1)、一度経験したからといって再発を強く心配する必要もありません。
そういった意味で、熱性けいれんを起こしたことがある子どもだからといって、熱さましの薬を厳密に使わなければならない・・・といったこともありません。他の子どもと同じように“高熱で辛いとき”に使ってもらうのが無難です。