「予防接種したのに、インフルエンザにかかった」と不信感を抱く患者への説明
患者さんの質問に対して、回答に困ったことはありませんか? このシリーズでは臨床論文から得た知識を活用し、より説得力のある服薬指導をめざします。
実際の服薬指導のシーンを想定した会話形式で紹介します。第5回はインフルエンザワクチンについてです。
今回の論文
N Engl J Med.369(26):2481-91,(2013) PMID:24328444
内容:3~8歳の小児5,000人を対象にした、4価のインフルエンザワクチン接種の効果を検証した研究で、感染を55.4%、重症化を73.1%抑制した、というランダム化比較試験。
インフルエンザのワクチン接種で得られる感染予防効果は、およそ60%程度
ワクチンが防ぐ重症化とは、死亡や入院といった生命に関わるような事態のこと
「ワクチン接種したのに発症した」という経験から、ワクチン軽視に繋がらないよう丁寧な説明を
服薬指導をアップデート!去年の経験から今年のワクチン接種を悩んでいる親御さんに、ワクチンで得られる効果を正確に伝えるとともに、去年の選択も間違いではなかったと肯定する寄り添いを。
本論文の他にも、インフルエンザワクチンの感染予防効果を検証した研究は数多くあります。シーズンによって40~70%で変動します1)が、平均すると60%くらいです。これは、100人中10人が発症する事態を、100人中4人が発症する事態にまで抑えられることを意味します。