非鎮静性の抗ヒスタミン薬「エピナスチン」が車の運転に与える影響
「エピナスチン」は、抗ヒスタミン薬の中でも眠くなりにくい“非鎮静性”に分類される薬です。そのため添付文書でも、服用後の自動車運転が“禁止”はされていません。しかし、“注意すること”という記載はあることから、結局のところ、どういった対応をすれば良いのか悩ましいと思います。今回は、そんな「エピナスチン」が自動車運転能力に与える影響を推し量る上で重要な論文を紹介します。
■参考になる論文
概要)
健康なボランティアを、「クロルフェニラミン」「エピナスチン」「プラセボ」を投与する3グループに分け、それぞれの自動車運転能力を評価した研究。
(結果)
・眠気評価、遅いまばたきの出現率、10°以上の大雑把なハンドル操舵角の出現率などの項目で、「クロルフェニラミン」投与は差が現れたが、「エピナスチン」と「プラセボ」では有意差は確認されなかった。
- 「エピナスチン」服用後の自動車運転を、一律に禁止する必要はなさそう
- 「エピナスチン」を服用している人のうち、個別に注意喚起した方が良いのはどんな人か
抗ヒスタミン薬の服用後の自動車運転能力の可否
花粉症治療でよく用いられる抗ヒスタミン薬ですが、特に脳への移行率が高い“鎮静性”の薬は眠気や集中力・判断力の低下を起こしやすく、自動車運転能力にも悪影響を及ぼすことが知られています1)。そのため、基本的に“鎮静性”の抗ヒスタミン薬を服用した後の自動車運転は、すべて禁止されています。
一方で、「フェキソフェナジン」や「ロラタジン」など一部の“非鎮静性”の薬は、眠くなる作用が非常に弱く、自動車運転能力にもほとんど影響しない2,3)ため、服用後の自動車運転は禁止されていません。
| 添付文書上の扱い | 該当する薬 |
| 禁止 | セチリジン、レボセチリジン、オロパタジン、ルパフィン |
| 注意 | エピナスチン、エバスチン、ベポタスチン |
| 制限なし | フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、ビラスチン |
※服用後の自動車運転に対する記載
ここで困るのが、その中間にある「エピナスチン」や「エバスチン」、「ベポタスチン」といった、禁止はされていないけれども、制限がないわけでない、“注意する”ように記載されているカテゴリの薬です。自動車運転をするにあたって注意をするのは当たり前のことなので、敢えて注意喚起をする必要はないという考え方もありますし、かといって何も説明しないのも問題があるかもしれない…そんな中途半端な立ち位置にある薬のリスクを、どのように評価すれば良いでしょうか。
「エピナスチン」が、自動車運転能力に与える影響はどのくらい?
ここで参考になるのが、冒頭で紹介した論文です。実際に薬を飲んで公道を走り、交通事故を起こす確率を比較する…という研究は行えません。そのため、自動車運転のシミュレーターを使って、様々な運転能力と関係する指標を比較評価した研究を行っています。