ドラマ「アンサング・シンデレラ」薬剤師が共感したキャラクターは?
新型コロナウイルスの影響により撮影・放送が延期されていたドラマ「アンサング・シンデレラ」の放送が7月16日、ついにスタートしました。「病院薬剤師 葵みどり」の活躍を心待ちにされていた方も多いのではないでしょうか。今回、「クレデンシャル8月号」と「m3.com」で薬剤師約2,500人にアンケートを実施。その結果をご紹介します。
「ドラマ『アンサング・シンデレラ』をご覧になりましたか?」という質問に対しては、なんと84%もの薬剤師が「見た」と回答。「まだ、見ていないが、見ようと思う」(9%)と「興味はあるが、見ていない」(3%)を合わせると、96%の薬剤師が関心を示している結果となりました。薬剤師が主役のドラマとあって、注目度は非常に高いようです。
Q: ドラマ「アンサング・シンデレラ」をご覧になりましたか?
これまでドラマや漫画などの世界で、なかなかスポットライトを浴びることのなかった病院薬剤師。今回、薬剤師に「薬剤師を主人公にしたフィクションが与える影響について」どのように考えるかについてもうかがいました。
回答は「薬剤師の仕事について、患者さんからの理解が深まる」が73%と最も多く、続いて「薬剤師の仕事について、他職種からの理解が深まる」が52%、「薬剤師の仕事について、家族や友人からの理解が深まる」が41%という結果になりました。
ドラマを通じて、薬剤師の仕事を患者、家族、友人、他職種の方々へ知ってもらえることについて、多くの薬剤師が好意的に捉えていることがうかがえます。
Q: 薬剤師を主人公にしたフィクション(ドラマや漫画など)が与える良い影響について、先生のお考えに近いものをいくつでもお選びください。
ご自身の経験や立場によって、ドラマ「アンサング・シンデレラ」をどのキャラクター目線で楽しむかは人それぞれ。先生は誰に共感し、どの人物像に自分を重ね合わせて楽しみましたか?
Q: ドラマのキャラクターのうちだれに共感しましたか?
Q: 選んだキャラクターに共感した理由を教えてください
葵みどり(石原さとみ)に共感
- 常に前向きな姿勢と医師に意見が言えるところが共感できるから。
- 若い日の自分のよう。ドラマのようにすらすらと知識はでてこなかったけど、熱意はあったと思う。
- 葵みどりのようなこれほどの仕事のできる薬剤師が日本にどのくらいいるのかと思いました。それには周りの環境も整っていなければならないので。
- 患者さんに寄り添いすぎてトラブルを起こしてしまう姿に共感した。
- 未熟ながらも患者の気持ちを考え寄り添う、薬剤師としてできることを考える姿が自分と 重なった。
- 感謝されない職業というフレーズ。ドクターに処方の疑義照会することで何度となく煙たがられたか。
- 医師との接し方について、正論だがもう少しうまくやれよと思った。
- 現実は不可能なことが多いが、こうありたいと思うことをしてくれているから。
- 自分の知識を患者さんのために一生懸命生かしているところ。なんか20代の時の自分を思い出す。
- 臨床薬理学を相当勉強しており、薬理を相当学んだ者にとっては非常に共感できる。何といっても、薬理は”医師との共通言語”のようなものであるから。
瀬野章吾(田中圭)に共感
- 半分諦めた感じを出しつつも、薬剤師の職能に対し、プライドを持っている発言。葵を一人前と理解し、突き放しつつも陰で心配して見守るところ。
- 疑問は医師と患者に聞け。患者のために働け。患者の言葉を期待するなに共感した。
- 薬剤師としての立場をわきまえつつ、冷静に判断しているところ。クールに見えて、しっかりフォローしているところ。
- 医者の性格を上手く理解しながら物事を円滑に進めていくところ。
- 自分の立場(役職)が同じだから。
- 医療現場での各職種の線引きはヒエラルキーのトップに位置する医師に依存しているため、その中でどういう主張ができるのかを考えているから。
- 組織に属していながらも、患者のほうを見て仕事をしようという姿勢。
- 主人公の患者第一に動けるのは良いが、主人公を理解しいい意味で制御できる上司がいるのがよい。
販田聡子(真矢ミキ)に共感
- 薬剤師は裏方です。医師のミスはこっそり教えていて医師のプライドを保ってあげている姿は自分そのものでした。
- 他職種とうまく折り合いをつけて仕事をしていくところ。
- 薬剤部長として倫理委員会でさりげなく産婦人科部長に事実を伝え、みどりの退職決議を回避させた。
- 管理職として世渡りが上手。ちょっと卑怯な感じがしたがしょうがない感じ。
相原くるみ(西野七瀬)に共感
- 率直に薬剤師の仕事が誰からも評価されないことを不思議がっているシーンが印象的でした。
- すぐに鞍替えをほのめかす最近の新入職と同じような考え方をしているから。
- 初めてなことや失敗したことを恐れること。また、殺伐とした環境で慣れるのかどうかの不安などが如実に描かれていたのと、どうしてその人はあんなにもがんばれるのか憧れを抱くことに共感したからです。
- 仕事に夢を持ってないところ。
- 薬剤師でありながら第三者的な見方をしているから。
刈谷奈緒子(桜井ユキ)に共感
- 主人公ほど周りを無視して熱くはなれないから。
- 実際にこんな感じの病薬の先生を見ているから。
- 指示通りひたすら仕事をこなす姿は薬剤師のルーチン業務だから。
羽倉龍之介(井之脇海)に共感
- 現実に振り回されながらも、自分らしく仕事をしているところ。
原作の漫画「アンサングシンデレラ」を読んだ方は、ドラマと原作のキャラクター設定の違いを楽しむのも面白いのではないでしょうか。
今後のストーリー展開とともに各キャラクターがどのように成長していくのかも見どころのひとつですね。
ドラマのあのシーンに薬剤師が驚き
キャラクターだけでなく、ドラマのワンシーンからの共感も寄せられました。
「バイアルから薬液を採取するシーン、一瞬でしたが、とても練習されたのではと思います。他の方もそうですが、ちょっとした動作や、薬のアクセントなど、きっと沢山の指導がされて大変だったと思います。そういうことを思うと、どんな場面でも共感できてしまいます」
ドラマと現実との差についてもご意見が寄せられています。
「患者さんの気持ちや想いを汲み取ることも、薬物治療において軽視できないポイントだと思う。でも現実的には、目の前のこなさなければいけない業務を確実に着実にすすめることが求められるし、優先度が高い状況が多い」
「患者さんに寄り添いたいという気持ちはあるものの、実際にはそれが許されない環境にあるので(回転を上げることを常に求められるため)、ドラマの中だけでも理想を叶えてもらって、満足しています」
目の前の仕事をテキパキとこなしつつ、患者一人ひとりに寄り添うことの大変さを実感している「現場の薬剤師」ならではの意見が多くありました。「アンサング・シンデレラ」は、理想と現実の間で試行錯誤しながら、患者によりよい薬物治療を提供する、そんな薬剤師の励みにもなっているようです。 次回は「主人公の葵みどりに立ちはだかる、病院、医療業界の問題は?」についてお届けします。