「プロブレム」がみつからないときはどうしたらいい?
「飲み忘れがなく治療効果も出ていて、とくに問題ありません。」いつもお元気で若々しく、年齢を感じさせない素敵な女性。家族性高コレステロール血症により、7年ほど前より継続服用中。多剤併用なし。アドヒアランスも良好で、ほとんど飲み忘れることはない。血液検査は年1回5月と決めており、運動は週2回プールに通っている。
[処方内容]
アトルバスタチン錠 10mg 1日1回夕食後 28日分とてもよく聞くお悩みです。しかし、実はプロブレムは必ず見つかるものです。薬歴添削に入る前に、まずはプロブレムについてしっかり理解できているか、確認しましょう。
プロブレムをそのまま日本語に直訳すると「問題点」となりますが、POSにおけるプロブレムとは、「何か問題があるところ」という意味ではありません。「何か問題があるところ」があれば、それもプロブレムなのですが、プロブレムは「着目したところ」あるいは「医療者として着目すべきところ」と理解してください。医療者として、この患者さんの、いったいどこに着目して指導を行ったのかがプロブレムなのです。
- 「プロブレム」は「気づきリスト」で見つけられる
「薬歴ビフォーアフター」の第2回において、「プロブレムは患者さんの人生の中にある」というお話をしました。患者さんの人生の中にあるプロブレムを見つけていくためには、こちらから質問して聞き出さなければなりません。ではいったい何を聞けば、患者さんの人生の中にあるプロブレムにたどり着けるのでしょうか。これを私は「気付く力」と呼んでいますが、「気付く力」をつけるために、「気付きリスト」という練習方法があります。最初は実務以外でワークのような形で練習すると良いと思います。また、実際の業務でも常に頭の中で「気付きリスト」を書いてみるようにすると、プロブレムの種とでもいうべき「気付きポイント」をすぐに見つけられるようになります。
さてそれでは、もし私がこの患者さんを担当したとするならば、という想定で、気付きリストを書いてみました
- プールに通っているというが、プールでは泳いでいる? それとも歩いている? 運動量はどれくらい?
- 食事のことがまったく書かれていないが、何か気を付けていることはあるのか?
- 検査値はどのくらいなのか?
- 値は改善しているのか?
- 医師は現状をどのようにアセスメントしているのか?
- スタチンはまだ本当に続けなければならない状態なのか?
- 日常生活の様子がほとんどわからないが、どんな生活状況なのか?
- 家族構成は?
- 本人は自分の病気のことをどのように認識しているのか(病識)?
- 薬のことをどのように認識しているのか(薬識)?
気付きポイントがこんなにたくさんありました。こうしてみると、この患者さんについて、知らないことばかりだということがわかりますね。これをもとに、気に…