Amazon薬局、脅威になる?(前半)
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
Amazonは2018年に処方箋デリバリーサービスの大手PillPack(ピルバック)を買収後、オンライン薬局としてAmazon Pharmacyを立ち上げ処方箋販売事業に参入。
すでに米国で処方箋のネット販売を開始しており、日本での電子処方箋の本格的な運用が始まる2023年1月に向けAmazon薬局の動向が注目されています。
オンラインでの処方薬販売は、オンライン診療や服薬指導と合わせて活用することで業務の効率化に向け期待が高まるサービスです。
しかし一方で、過度な効率化の追求にともない「処方箋を取り次ぐだけの薬局」が常態化し、本来の機能を持たない薬局が増えることで、地域医療に必要な調剤サービスに影響を及ぼす可能性も指摘されています。
そこでm3.com薬剤師会員の皆さんにAmazon薬局ついてうかがったところ、脅威と感じていると回答した方が72%。いずれの回答においてもコメント記載が多く、Amazon薬局に対するメリットやデメリットを含め、今後の動向に注目が集まっていることが分かりました。
Q1:Amazon薬局は既存薬局の脅威になると思いますか?
Q2:Q1の回答で「はい」と答えた理由は?
利便性
- 急がない薬剤は、Amazon薬局を活用するようになる
- 慢性疾患等の場合利用しやすそう。 家、職場まで届けてもらえるのは便利
- フリーアクセス、価格も比較しやすい、届くのも早い
- 時間にかかわらず利用できる
- 他の客に相談内容を漏れ聞こえることがないため話しにくい内容も話せる
- 気楽に、自宅から購入、配送まで行ってもらえる
- 配達のノウハウを持っているため当日配達が可能。急性期の患者にも対応可能
- 患者は薬剤師が思っているほど説明を求めていないし、管理もされたくない
Amazon薬局が脅威と感じる点
- 圧倒的な顧客数は全ての商品に結び付く
- 最初はマーケットプレイスの形にしていても、いずれは自社の薬局を出してくると思う
- ネット通販と言えばAmazon一択
- 人件費がかからない
- 既存の薬局にはなかった画期的なシステムが構築さえる期待があるから
- 物流の利便性が高まれば、今のままの薬局では淘汰されるかもしれない
- 全てオンラインで行う為、機械に弱い薬局、薬剤師には死活問題
- 利便性の観点から既存の薬局の集客力は減ると思う
- 電子処方箋を独占される可能性がある
- 資金力があるので厚労省の規定を、採算度外視で運営してきそう
今後の方向性
- Amazonの下請けの薬局と既存の大手チェーンに分かれるのでは?
- 服薬数の多い高齢患者は従来の薬局を利用し効率は低下するかもしれない
- 立地依存によらない処方箋応需が実現しそう
- Amazonのおすすめに挙がる薬局が選ばれやすくなると思われる
- ここまで規制を緩和して医薬品に関する安全性が保てるのか?
- 患者と対面で服薬指導をしない為、見逃してはいけない症状など見逃されてしまうおそれがある
- 今後どんな規制緩和がされるかわからない。外資大手の影響は大きい
- 20年前にあった町の本屋は、アマゾンが出来てあっという間になくなった
- 電子処方箋の解禁とともに、若い世代はほとんどがAmazon薬局に流れると思う
Q3:Q1の回答で「いいえ」と答えた理由は?
サービスの認知度や顧客層
- 高齢者にとっては理解しづらいのではと思う
- 新しいシステムが浸透するまでには時間がかかる
- 顧客層が分かれるだけだと思う
- 一般市民が購入しやすくなることは進めるべき
既存薬局との違い
- すぐに欲しい薬には、向いていない
- 対面の安心感を求めたい人はドラッグストアで購入することになる
- 仕事終わりで購入したいなど夜間についてはAmazon薬局にメリットがあると思う
今後の予想
- 既にたくさんの院外薬局があり、敢えて脅威となるとは思えない
- 簡単な処方箋や継続使用の場合に利用できるので、それほど影響しない
- 将来的には脅威になっていくが、その間に既存の薬局も対処していけると思う
- 目先の給料に踊らされる人がそんなに多いとも思えないため
Q4:現在考えられるAmazon薬局のメリットデメリットを教えてください。
メリット
- 時間に縛られない人には楽であること
- 便利。サービスが多様化する。体力が違う
- 利用者はポイントが貯まって、便利に薬を受け取ることができる
- 増えすぎた調剤薬局数が適正化でき、流通の改善によるコストの改善も図れる
- アマゾンプライムに入っている人は送料が無料なのはメリット
- 海外でのノウハウから利用者が使いやすいサービスを提供できる
- 慢性疾患の経過観察には良いかも。
- 薬局もかかりつけの体制をとりやすい
- 遠隔地、時間外、休日、離島、無医村での対応が可能
- 薬局に寄らずにお薬を受け取れる(非接触、感染リスクの低下、利便性)
服薬指導のデメリット
- 対面説明、服薬指導ができない。医薬品を容易に入手できるので、相互作用等の理解が及ばないことから、有害事象が増える
- 利便性の追求で、必要な服薬指導などの薬学管理が漏れないか
- 患者と薬剤師の関係性が希薄になる
- 自己注射、吸入剤など、初回導入時、デバイスの使用方法の説明は伝わりにくい
- 薬剤師の質の低下
システムに関するデメリット
- 緊急の対応を要する場合は不向き
- 送料などで通常より金額が高くなる可能性
- 常に配達が完遂されるかどうか
- 未成年者も気軽に購入できてしまうリスクはある
- 疾患情報などかなりプライバシーの高い情報がネット上に上げられ、偽サイトなどが現れる
- 輸送中の温湿度管理不足
- 向精神薬等の過大処方
- 薬価制度の崩壊
気になる意見や疑問
- 中小薬局が淘汰される
- 物流システムにどれだけ薬剤師の経験が反映できるか
- 何かあった時の責任の所在
- 送料の負担は誰がするのか分かりません
- 日本の保険制度の中で、外資資本が利益を得てもいいのか?
- 疑義照会はきちんと行われるのか?
- 先発・後発医薬品の患者選択意思の確認はされるのか?
- 緊急時(被災時)の対応はされるのか?
- 在宅はどうなるのか?
Q5:自分が患者だとしたら、Amazon薬局を利用したいと思いますか。
Q6:Q4の回答が「はい」の理由を教えてください。
- 便利でポイントが付いたら利用する。
- 素人だったら便利に感じる。ただし抗がん剤などは対面を好むと思う
- 自宅にいながらにして診察、服薬指導、薬の受け取りが完結するのは便利だと思われる
- 知名度ナンバーワンで通販としてインフラの一部になっている
- 品揃えが多く、薬が直ぐに届きそう
- 受け取りの時間、場所に制約がなくなる
- 飲み慣れた薬なら安心して購入しやすい
- 体調不良で動けないとき、薬局、ドラッグストアに行く都合がつかないとき。対面が煩わしいときなど。
- 気楽。ただし、既存の薬局より支払いが高額なら利用しない
- マイナンバーカード普及でオンライン診察、オンライン調剤実施になれば全国何処でも処方薬入手可能
- プライバシーが守られ、時間と出向く手間が省ける
- 説明はリアルな薬局で聞いて、二度目からはネットで購入
Q7:Q4の回答が「いいえ」の理由を教えてください。
- 薬はすぐに欲しい
- かかりつけ薬局がある
- 得体のしれないところへ個人情報を渡したくないため
- 自分が薬局勤務なので
- 案外、薬を受け取るまで時間がかかる可能性がある
- 信頼性が低い
- その場で診察・薬をもらうまでを完結させたいから。
- 薬品の使用期限や保存温度などの環境管理に不安
- 近隣に病院、薬局等があり不便を感じていない
- イレギュラーな事象(調剤ミスや輸送事故など)があった時になにかと時間や手間を取られそうだから
- 大事なものなので実物を確認して受け取りたい。いざという時の責任者が近くにいるのといないのでは違う
ベン:
急ぎの薬は、近くの薬局の方が良さそうだね
ゼン:
いつ届くのか不安になるぜ
カン:
責任の所在を確認しておく必要がありそうね
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
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