Amazon薬局、脅威になる?(後半)
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
前回に引き続き、「Amazon薬局」の話題です。
前回の記事はこちらから
コロナ禍でオンライン診療が少しずつ浸透し、利便性が高いことから、さらにオンライン化が進むことが予想されています。そこでm3.com薬剤師会員の皆さんに、Amazon薬局を契機とする電子処方箋の普及についてうかがったところ「普及が進む」63%と回答。さらに前向きな意見として、新しい時代の流れに期待する声がありました。
一方で、オンライン化に向けた課題やAmazon薬局に対する懸念点もあり、10年後を見据え薬剤師としてどう行動していくのかについて慎重なコメントも寄せられています。
Q1:Amazon薬局がきっかけで、電子処方箋の普及が進むと思いますか?
Q2:Q1の回答が「はい」の理由を教えてください。
年齢層
- ネット環境に対応できない高齢者の普及率は一時的に下がると思うが、ほぼ電子処方箋でのやり取りになると思う
- デジタル世代は違和感なく移行する
- コロナ、感冒、低用量ピルだけの若い人のオンライン診療は増える
普及すると思う理由
- 知名度が高いから
- 絶対に便利
- 処方箋の受け渡しを容易にするため
- 企業規模が大きいため何らかの影響をもたらす
- オンライン化が加速するから
- 効率、利益を重視しているから
- PayPayなどと同じように、一度デジタル化が始まれば加速度的に浸透する
- コロナ禍で接触機会をできるだけ避けたい
今後の動向
- Amazon薬局とは関係なく電子処方箋は普及するのでは
- 服薬指導など、内容の標準化が行われるでしょう
- 少しずつ電子処方箋に移行していくのだと思うが、すぐに全面的に変わるとは思わない
- データ管理に活用できる環境が構築されるので
- 処方箋元本の紛失や郵送による面倒がなくなる
- 新規参入により、調剤薬局や医療機関の古くから慣習や仕組みは変わっていく
- Amazonを使いなれている世代から利用者が増えれば、導入する医療機関も増えると思う
- 対抗するにはクラウド化は必須
- 医療業界全体でICT化を進めていくべし
Q3:Q1の回答が「いいえ」の理由を教えてください。
- マイナンバーの紐付けだと普及しづらい
- あくまで医師の裁量や病院の考え方に左右されるため、Amazon薬局の有無で決まるものではないと推察される
- 機器の導入費用の問題
- 高齢者の施設などでの普及が進まないと難しい
- これから医療が、どのようになるのか不透明
- 対面での病院受診であれば薬局での待ち時間が極端に長くない限りは利点があまりない
Q4:Amazonの参入により自分が勤めている薬局の患者数が減ると思いますか?
Q5:Q4の回答が「はい」の理由を教えてください。
Amazon薬局の方がよいと思う理由
- 対面で薬をもらうメリットはあまりない
- 高齢者は従来通りと思われるが、若い世代は積極的に活用するだろう
- 子供連れの患者は待ち時間がない方を選ぶ可能性大
- 他の客に相談内容を漏れ聞こえることがないため話しにくい内容も話せる
- 診察終了が夜遅くなる患者にはいいかも
現在の薬局事情
- 今のままの薬剤師ならアマゾンの説明で十分
- 現在、一人一人の患者とのコミュニケーション不足を感じるから
- オンライン調剤に弱い薬剤師が多い
経営面への影響
- 薬局へ足を運ぶ人が減り、売り上げの減少につながる
- 門前のメリットが少なくなる
- オンラインならば、メジャーな企業薬局が有利
数年後の予測は?
- 高齢者もスマホが当たり前になりつつあるので、数年後はさらに減る
- 実際はどうなるかわからないが、少なくとも増えることはない
- 時代の流れだから仕方がない。多少は減っていく
Q6:Q4の回答が「いいえ」の理由を教えてください。
患者さんは減らないと思う理由
- かかりつけ薬局の場合は、また来て頂けると思う
- 小児科がメインであり、既存の薬局としてやっていける
- Amazon経由で処方箋の受付があると思う
- Amazon薬局と顧客マーケットが重複しない
- 薬については、患者との関係やコミュ二ケーションが欠かせない
- 病院勤務なので、電子処方箋を出す側になるため
- 対面にこだわる人が多い
- 田舎には関係ないと思う
- 一人一人の患者を大切にするから
- 敷地内に立地していることからそこまでの脅威は感じていない。
- 利便性を超える価値を提供
- 個人宅の在宅がメインだから
- 患者さんからの信頼度が違うため
- 高齢者が多く地域に密着の店舗のため
- 緊急性のある薬が多い
Amazon薬局について
- Amazon薬局がよくわからない
- 信頼性がない
- イメージがわからない
今後の患者数は?
- 患者の層に、働き世代が多くないので今は問題ないと思うけど、今後年数を重ねたら分からない
- 介護施設の処方箋が多く、小児科の近くなので急性疾患の方が多い事もあり、さほど影響がない可能性が高い
- 地域でのオンライン診療が普及していないので患者数にしばらく変化はないと考える。
むしろ電子処方箋応需の体制をとれば、患者増も可能ではないか - 受診や、処方薬をもらうために薬局へ行くことも、ライフワークのひとつにされている方も多いと思う
- 使い勝手が良くなり、普及すれば日調など大手チェーンもこぞって参入するだろう
- 対面とオンラインは二極化すると思う
- すぐには変わらないが、10年のスパンなら分からない
Q7:Amazon薬局について、お考えをお聞かせください。
次世代の薬局、薬剤師
- 今後の薬局の一つの形ではないでしょうか
- 今までが甘い業界だった。これからは大変な時代が来る
- Amazonが仲介業者となって、薬局は下請けとなるのではないか
- オンラインと対面の線引きか大事。ハイリスク疾患や小児科など対面で管理していかないといけない
- 患者様のメリットになればいい
- 電子処方箋にした際に疑義紹介や医療介護の連携がどうなるのかが疑問
- 時代の流れなので仕方ない。それよりも自分の知識を深めるしかない
- 対物的な仕事メインで仕事をしていた薬剤師、調剤薬局経営陣に一石を投じる事になりそう
- 今後の薬局、薬剤師のあり方に不安をおぼえる
トラブル多発予想
- 何でもかんでも楽だからといってオンラインで済ませると患者へ害となり得る
- 利便性はあるが、薬の配送の際の紛失の時に問い合わせが面倒
- 定期薬であっても、患者の様子観察が必要。機会的な処理では いずれ大きな医療過誤が起こる可能性あるため 医療従事者としてあまりおすすめしたくない
- チェーン調剤薬局のようなトラブルの多い薬局になるのでは
日本への経済効果は?
- 楽天をはじめとする国内企業が参入し、国内でお金が回るのであれば日本経済にプラスになるが、Amazon参入は米国に公的資金が流出し経済に悪影響を与えると思う
- 一時的な増益を狙うのでなく、その仕組みを育てることも考えて欲しい
Amazonに転職考える?
- 給料が高く、やりがいがあるなら働いてみたい
- 患者にとって良いレベルなら自分も仕事として参加することもある
- 薬剤師の勤務形態としても、在宅で服薬指導かできるので、子育て中や、定年後などでも働くことができるので興味深い
- AI化して給与を上げれば優秀な薬剤師だけが生き残り、患者にもメリットがある
- 既存薬局の欠点を補う形で発展するなら、自分もAmazon薬局で働きたいと思うかもしれない
- 病院と調剤薬局の薬剤師格差を広げてしまう
これからの薬局業界の方向性
- 安易な参入でこれまで築いてきた医療体制が破壊されかねない
- 規制改革を進めてもらいたい
- 地域で生き残れる薬局になれるよう頑張るだけ
- Amazonじゃなくても今後はネット薬局が出てくる可能性が大
- 人間関係が希薄になり地域性もなくなる。健康サポート機能など地域の拠点がなくなる
- 本屋さんのようにネット販売がすすむと脅威になる
- どれくらい利用する患者がいるのか分からないが、面白い
- 制度の穴をついて必ず悪用する人たちが出てくる
- 何年か後には認知度が上がると思う
- この流れを活かして薬剤師に活躍の場を広げたい
- 薄利多売できるのは、実店舗をセンターに集約しロボット調剤で宅配
ベン:
新たな働き方の選択肢として期待できそうだね
ゼン:
トラブルが増えるのは困るぜ
カン:
患者さんとの信頼関係が益々大切になるね
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
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