【2026年度改定版】薬剤業務向上加算の算定要件や改定内容をわかりやすく解説
薬剤業務向上加算は、2024年の診療報酬改定で病院薬剤師の研修体制の整備などを目的として新設されました。
具体的には病院薬剤師の充実した研修体制の整備等を実施した場合に算定できる加算になります。
この記事では加算の点数や算定要件、施設基準、疑義解釈について詳しく解説します。
薬剤業務向上加算とは
薬剤業務向上加算とは、「病棟薬剤業務実施加算1」または「病棟薬剤業務実施加算2」に対する加算です。
この加算は薬剤師の養成強化をおこなうことで、チーム医療の発展、薬物を用いた治療の向上を目指して研修体制を整えた医療機関を評価した点数になります。
参照:別表第一 医科診療報酬点数表 /厚生労働省
病棟薬剤業務実施加算とは
薬剤業務向上加算の対象となる「病棟薬剤業務実施加算」とは、薬剤師が病棟において病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する薬剤関連業務(病棟薬剤業務)を実施している場合に算定できる項目です。
1〜3の3区分がありますが、薬剤業務向上加算の加算対象となるのは、「病棟薬剤業務実施加算1」と「病棟薬剤業務実施加算2」です。
| 区分 | 算定点数 |
| 病棟薬剤業務実施加算1 | 300点(週1回)【2026新設】 |
| 病棟薬剤業務実施加算2 | 120点(週1回) |
| 病棟薬剤業務実施加算3 | 100点(1日につき) |
主な算定要件は以下のとおりです。
【主な算定要件】
- 対象となる入院基本料や特定入院料を算定している
- 薬剤師による病棟薬剤業務の実施
- 医師や他の職種への情報提供
- 2種以上の薬物に対する相互作用や持参薬などの管理
その他にも、チーム医療推進のため医師の負担軽減を目的とした業務も、可能な限り実施するよう定められています。
【主な施設基準】
- 常勤薬剤師2人以上の配置(週3日以上、所定労働時間は週に22時間以上)
- 病棟薬剤業務をおこなう専任の薬剤師を各病棟に配置
- 直近1ヶ月において週に20時間以上の病棟薬剤業務時間の確保
- 医薬品情報管理室の整備
- 病棟専任薬剤師と医薬品情報管理室の薬剤師が必要に応じてカンファレンスをおこなう
- 業務手順書に従った必要な措置がされている
- 区分番号「B008」薬剤管理指導料の届出をおこなっている
- 病棟専任薬剤師の氏名が病棟内に掲示されている
病棟薬剤業務実施加算1は、これらの施設基準の他に「A250 薬剤総合評価調整加算」や「B014 退院時薬剤情報管理指導料」の実績も要件として定められています。
参照:別表第一 医科診療報酬点数表 /厚生労働省
参照:医科診療報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号) /厚生労働省
薬剤業務向上加算の算定要件と点数
薬剤業務向上加算は、算定要件や施設基準を満たした医療機関において、週1回に限り100点を病棟薬剤業務実施加算1または2に加算することができます。
主な算定要件は以下の2つです。
【薬剤業務向上加算の主な算定要件】
① 施設基準を満たしていて届出をおこなっている
② 薬剤師が定められた薬剤業務をおこなっている
定められた薬剤業務とは、患者さんの副作用歴の把握や、医薬品・医療機器の情報収集などです。
また緊急安全情報や安全性速報の医師への情報提供、入院時の持参薬の確認や相互作用の確認も必要になります。
薬剤業務向上加算の施設基準
薬剤業務向上加算を算定するために満たすべき3つの施設基準をご紹介します。
どれも大切な基準になりますので詳しく把握しておきましょう。
(1)免許取得直後の薬剤師を対象として病棟業務等に係る総合的な研修が実施されていること
この加算は、薬剤師の養成を強化する目的として2024年の診療報酬改定で新設されました。
よって、免許取得直後の薬剤師を対象とした総合的な研修が実施されていることが必要になります。
【病棟業務に係る総合的な研修の内容】
- 研修のための責任者の配置、研修計画の委員会の配置
- 指導能力のある常勤薬剤師が指導に当たっている
- 研修内容の評価、伝達、修了認定がおこなわれる
- 幅広い業務を習得できる研修内容になっている
- Webページなどで研修プログラムの公開をしている
なお、研修を実施するにあたり、無菌製剤処理を行うための整備や、医薬品情報管理室等の設備の整備も求められています。
研修プログラムには、以下の内容を含める必要があります。
【研修プログラムの内容】
- 内服・外用・注射剤の調剤(医薬品(麻薬・毒薬・向精神薬)の管理、処方鑑査を含む。)
- 外来患者の薬学的管理(外来化学療法を実施するための治療室における薬学的管理等)
- 入院患者の薬学的管理(薬剤管理指導、病棟薬剤業務、入院時の薬局との連携を含む。)
- 無菌製剤処理(レジメン鑑査を含む)
- 医薬品情報管理
- 薬剤の血中濃度測定の結果に基づく投与量の管理
- 手術室及び集中治療室等における薬学的管理
研修プログラムは実施状況や評価を踏まえ、定期的に見直すことが求められています。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【個別改定事項(Ⅱ)】/令和6年3月5日版 /厚生労働省
(2)自薬局の薬剤師を他の保険医療機関へ出向を実施させる体制を整えていること
2つ目の施設基準は、都道府県と協力して他の保険医療機関へ出向を実施させる体制を整えていることです。
自薬局に勤務している薬剤師を他の医療機関に出向させる体制を整えることで経験を広げスキルアップを目的としています。
他の保険医療機関への出向の要件として以下の項目があげられます。
- 薬剤師が足りていない地域を対象にチーム医療を充実させなければならない医療機関から選ぶ
- 出向する薬剤師は病院勤務3年以上、自薬局において1年以上勤務している常勤の者
薬剤師が足りていない地域は都道府県の基準によって判断がされています。
自薬局がある都道府県に出向先の保険医療機関が見つからない場合は他の都道府県への出向も許可されています。
また、出向先の保険医療機関と都道府県の担当部署が協議を行い、具体的な計画が必要になることも要件の一つです。
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【個別改定事項(Ⅱ)】令和6年3月5日版 /厚生労働省
(3)特定機能病院もしくは急性期充実体制加算1〜4に係る届出を行っていること
3つ目の施設基準は、特定機能病院もしくは急性期充実体制加算1〜4までのいずれかに係る届出を行っていることです。
特定機能病院は、高度な医療の提供や医療技術の開発などの機能を整えた医療機関です。
一方、急性期充実体制加算は高度で専門的な医療の提供を評価した加算になります。
参照:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号) /厚生労働省
